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なまえのない新聞102「いのちの祭りレポート」特集より

愛と喜びと幸せがふつうになる

21世紀の新しいシャーマニズム

〜山根 麻衣さんに聞く〜


いのちの祭りにはたくさんのすてきな歌姫がいた。その中でも麻衣さんのハスキーボイスとシンプルだが深い意味を含んだ歌詞、それに暖かい波動をもった音楽に惹かれた者は多く、感動して泣き出す人もずいぶんいたようだ。祭りではコンサートだけでなく、瞑想やヒーリングの会を開いていた麻衣さん。以前は10枚のアルバムを出してメジャーで活躍していた彼女が、ドロップアウトして自分探しの旅に出、再びまた音楽の世界に戻ってきてくれたのはありがたいことだ。いのちの祭りの中でも21世紀の実験サイトとなった虹の村で、彼女の旅の話し、祭りの話し、そしてこれから21世紀に向けての心構えなどを聞かせてもらった。 (浜田)


聞くだけで癒され 細胞が元気になる

 二十歳の時にボブ・マーレーの来日公演を見たんです。その時私はレゲエのレの字も知らなくて、ただチケットもらって行ったんですよ。そしたら見た瞬間に、音楽って力があるってめちゃくちゃ信じられたんです。私がそれまでそうじゃないかと思っていたことが、まさにそこで起こっているって。「やっぱりこれだわ」って思ったんだけど、音楽業界に入っているとそれ以外の要素がいっぱいからんできて、純粋に自分が何をやりたかったか、何のために音楽をやりはじめたかが見えづらくなくなってきたんです。で、こいつはいけない、いっかい離れてみようと思った。そしたら、同じタイミングで自分はいったい何を歌うべきか、何のために生まれてきたかというようなことを考える時期になったんです。
 そこから自分さがしの旅がはじまって、気が付いたら、私は喜びと幸せという感覚、それをみんなとシェアしたい、そして喜びとか幸せとか、そういう言葉についた垢をとって、もう一度純粋にその意味が輝きを放つような世の中に、それがふつうのこととして受け入れられる世界になるといいと思ったんです。
 私は瞑想をやりますから思うんですが、みんなの意識の力と、音楽(アート)と、テクノロジーの三つを合体させて、効率よく、聞くだけで、一緒にその場を共有するだけで、心が癒される、肉体の細胞が元気になる、したがって気持ちがハイになるということをやりたいと思ったんです。つまり、いい音楽に意識テクノロジーを使ってイノチを吹き込むことで、まず魂の真ん中、本質のところが共鳴をはじめて心の垢が落ちてきて、それがだんだん細胞の1ヶづつにしみ通ってさっと流れる落ちるっていう感じ。それが私のヒーリングのやり方でもあるんですが。一気に本質に働きかけた方が迷いを生まずに、横道にそれずに、ストレートに伝わるだろうと考えたんです。


自分の中に火を起こす

 私はそれが21世紀からの新しいシャーマニズムだと考えています。癒しというのは依存になっちゃう危険性があるような気がするんです。頼っちゃうしマンネリになっちゃうし。私は自分のつくってる音楽を、ヒーリングミュージックではなく、アウェイクニングミュージックと呼んでるんです。目覚めの音楽。目覚めれば勝手に癒しは起こるし、勇気も出てくるし創造につながる。他に依存せずにね。そこが一番大切なところじゃないかと思うんですよ。
 たとえば平和の火を一緒に見るでしょ。それで一つになったと思う人達もいるよね。その場は共有できると思うし、それぞれ人の感じ方によって、ちゃんと心に火が灯って家まで持って帰れる人もいると思うんだけど、全員が全員そういうわけにはいかないでしょ。だって一つになろうといっても一つになる感じがわからない人達もいっぱいいるわけだよね。だから母親を殺したりとか信じられないようなことが起きるわけで。それは知らないからですよ、一つにつながった安心の感覚を。だからね、その場にいた人達全員にちっちゃな火でもいいから持って帰ってもらうためには、やっぱりその火を心の中に自分で起こさなきゃだめなんですよ。そこがその依存になりがちな癒しとの違いだと思うんです。意志をもつには自分の理想とか目的がはっきりしないとだめでしょ。
 たとえば、果てしない、通ったことのない道がある。目的地はだいたいわかってるんだけど、曲がり角がいっぱいあって先が見えないとなると困るでしょ。不安になる。(笑)でもそれが、とりあえずあそこの薬屋の角まで行こうとなると、たいした道のりじゃないし余裕もでるから、世の中の景色を楽しめたりもするじゃない。ちょっと先のことを目標にして楽しみながら進んでいけば、もっと楽に楽しく毎日が生きられると思うんです。

─── 今回のお祭とそれはどういうふうにつながっていくのかなと思うんですけど。21世紀の実験サイトとか言ってる一方で、お祭の中でいろんなトラブルが起こったりしてますよね。

 人間的なネットワークの整理整頓が行われてるんじゃないかと思うんですよ。いままで、「こっちでしょー」って一緒に来てたけど、進んでいくうちに、ほんのちょっとのことなんだけどお互いの考え方とか雰囲気とか好みが違ったりということが見えてきているという気がするんです。ケンカになるってことは、自分はこう思ってたのに、相手はそう思ってないというわけでしょ。だからそれもそれぞれの思いこみとかこだわりだと思うわけ。自由になるために決めた規律みたいなのを一回はずさないと、ほんとの自由じゃないんじゃないか。決めちゃうということはもう一度しばることになるでしょ。
 一つ一つのケンカとか見ていくと、時にはたわいなかったり、もっと楽に考えられないかなと思ったり、その人にとってみればそれぞれ言ってることは正しかったり。自分の役割、自分のやりたいことをもっと自分に正直に、無理のない範囲でやってれば、他人とぶつかることもなく、うまくいくと思うんだよね。楽しくないから、喜びがないから、みんな文句とか不満が出るわけ。やってあげてるとか、自分で自分を認めるためにやる、とかいう意識がある。もっと、自分がこういうことを自然にやったことで、こういう人たちがすごい喜んでる‥‥「いいよねー」っていうそういう自然で楽なバイブレーションが生まれてくる喜びがなければね。

自分自身にありがとう

 今回のお祭というのは、日本のサブカルチャーといわれた世界の集合体みたい。それぞれが自分の信じることを通すために、自分として生きるために、いろんな困難を乗り越えたりいろんな体験をしながらここまで来たと思うんです。どの一つがなくても、今の状態、あるいはこれから向かう状態というのはなかったかもしれないわけですよね。だけど、人に対して、「自由な世界にしよう」って自分が呼びかけてきたはずなのに、そして人がそれで目覚めたりしあわせになったりしてきたのに、実はひっぱってきた自分自身は人のためにエネルギーを使ってばかりで、あんまり報われてないとか、そういう想いがたぶん残ってると思うのね。でも年とっていったり、自分が先生みたいになっていったりすると、そういうこともなかなか言えないじゃない。(笑)だからね、そういうところにはまっちゃってる人もけっこういるんじゃないかと思うんです。ほんとに自分の気持ちに正直にやってる人は全然そういう問題は起きてないと思うんです。自分を好きだと認めてる人はね。でもそこを認めないで、修行のように生きてる人は苦しかったり歪みが出るよね。これは批判でも評論でもなんでもないんだけど。
 私がヒーラーという立場で見たときに、全ての人たちがそれぞれのジェネレーションに合った形で癒されて、「お疲れさまー、これからだよー」って感じで、さらに楽しくもう一度21世紀に向けてのスタートを切る必要があると思う。
  最近、オールジェネレーション向けに提案しているやり方があるんですよ。すごい簡単なんだけど:
それは自分自身に感謝することなんです。自分の名前を、他人を呼ぶように「さん」をつけてフルネームで呼ぶ。そのあとに「ありがとう」と続ける。それを3回繰り返すだけ。私の場合なら「山根麻衣さん、ありがとう」って感じで。結婚したり洗礼名があればその名前でも同じようにやってあげる。マントラみたいに声に出してもいいし、心の中で言ってもいい。自分が信頼し、大切にしている友達とか理解者を呼ぶような気持ちで、愛と尊敬をこめて自分の名前を呼ぶんです。ありがとうって。ただそれだけなんですけど、自分の中からじわーっと暖かくなってくるのがわかってね、今まで自分がいろんなことやってきてがんばってきたっていうのを、ずっとあきずに呆れずに見てきてくれたのが、他の誰でもない自分自身だったということに気が付くわけですよ。で、自分がすごくいとおしくなってくるんだよね。気持ちが楽になってくるんです。

幸せは伝染するんです
 
─── WISHというCDを何人かのミュージシャンと一緒に出されましたね。それは今回の虹の村でもWISHフィールドをやるということですが、どういうことをやろうとされているんですか?

 私にとっては、ただダンスカルチャーとかお祭りに入っていくというだけじゃなくて、もっと内側の自分を見つけていくというスピリチュアルな意識と統合するということが大切なことだと思ってたんです。それで99年はピラミッドでのパーティーをオーガナイズしてたんですね。DJやライブの他に瞑想とかヒーリングのワークショップを入れたり、精神的に安心と自己発見みたいなことができるようなフィールドをつくろうっていう試みでした。みんなが いろんなトリップで体験したことを、ちゃんと自分の中におさまえて、しっかりとグランディングして現実に戻るっていうことが大切で、そこまで責任をもってなされる場所が少なかったように感じたんです。それで、そういう場を作りましょうよっていうことで始めたんです。
 WISHは去年開かれたイクイノックスというパーティの中に創られた、癒しとリラクセーションのスピリチュアルなフィールドだった。大きなイベントのひとつのエリアで、みんなの祈りを確認するみたいな。そしてそのフィールドに参加したミュージシャンのコンピレーションがWISHというCDになったんです。NASは「ふつうの唄」の新しいバージョンで参加しています。
 いのちの祭りでは、虹の村というのがそういう場所になっている。名前や形や参加者の顔ぶれは変わっても、人類のしあわせや世界の平和を静かに純粋に祈るというか、そういう場は必要だと思うんです。
 人が忘れてたことを思い出したり、自分の本質に気が付いたり、あるいは単純に喜びの幸せーな体験をしているときっていうのは、ものすごいエネルギーを生み出してるわけです。そういうときは伝染するんですよ。悪い病気も伝染するけど幸せも伝染する。(笑)意識テクノロジーというのは、そこで生み出された幸せとか喜びのエネルギーを無限に増幅させるものなんです。ですからそれを上手に使いこなして、生み出されたエネルギーの方向をディレクションすることによって、とてもスケールの大きい浄化や覚醒が起こせると考えているんです。NASはそれを実験している。

─── さいごに、この祭りの参加者へのメッセージをお願いします。

 私たちの本質は喜びなんだ、生きてることは喜びなんだということをいつも忘れないようにしたいと思ってます。
 平和も調和も人と人との関係、外側の世界に求めがちだけど、自分の中にそれをまず達成することが、そういう社会になる一番大切な、一番身近なやり方だと思うんです。人間の本質の偉大さを分かった人は強いですよ。それが愛だと思うんです。ぜひこの愛とか喜びとかいのちという言葉がもう一度輝き出すような世の中になってほしいと思います。            ●


CDインフォ

★「ふつうの唄 MAI YAMANE with NEW ARCHAIC SMILE」(3曲/24分 /¥2400=〒含)→AGP(アセンション・プロジェクト)Tel.0554-26-5563/Fax. 26-5564

★「WISH」麻衣さんの他に前号に登場したGOCOOや風の楽団など8つのバンドの1曲づつを集めたアルバム。(57分/¥2500税別)→03-5770-6921 向坂事務所



いのちの祭りHPin アマナクニ

No.102=2000年9・10月号

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