amanakuni Home Page | なまえのない新聞ハーブ&アロマテラピー | 八丈島の部屋

なまえのない新聞102「いのちの祭りレポート」特集より

いのちの祭 ゴミ奮戦記

小 林 一 郎


 今回は講師ということで会場入りしたボク。お祭に講師としてだけ行くのは申し訳ないなあと思いつつスタッフミーティングに出てみれば、まだゴミをどう扱うかが決まっていないという。いつの間にか、間違って手を挙げてゴミの担当者に立候補してしまった。一度担当になったからには、「いっちょやったるか!!」とまたまた意気揚揚。A SEED JAPANのマサと組んでシステム作り。
 イベントではついゴミの問題が後手後手に回る。これは「環境」や「いのち」を標榜したイベントでもついそうなりがち。ボクが到着した時、まだゴミのことがなーんも決まっていなかったから、ここでもそうだったんだなと思った。つい、祭をどう盛り上げるか、など派手な部分には力が入るけど、いかに円滑に裏側の部分を進めるかにはなかなか手が回らない。本来、イベントの盛り上げに掛ける人手を小さくしてでもゴミの問題には気を配るべきだけど、つい後手に回ってしまう。かく言うボクも自分がかつて仕切ったイベントでそうしてしまった。それが社会の縮図なのだね。
 事前の告知でゴミは基本的に持ち帰りとしていた。しかし、今回キャンプでの長期滞在者が多く、放っておけば不衛生になってしまう生ゴミなどのへ対策が必要だった。そこで有料での引き取りをすることにした。一枚300円で指定のゴミ袋を販売し、ゴミをその袋に入れてきてもらって、回収場所で自分で分別してもらう、という方法にした。一旦袋を買えば会期中はゴミを出すことができるという排出権みたいな方法ね。このやり方については受付の際フライヤーを渡して告知した。
 ゴミスタッフの仕事はゴミを持ってきた人へのナビゲート。分別の仕方や、指定の袋で持ってきているか、空き缶を灰皿代わりにしていないかなどをチェック&サポートする(缶に吸殻を入れるとリサイクルできなくなっちゃうのだよ)。実はこのとき大事なのは「コミュニケーションをとる」ということ。ポイントは「明るく、気楽に!」。きちんとゴミを扱ってくれない人にはつい文句を言いたくなってしまいがちだけどそれはNG。その後のその人の行動に自分のナビゲートが実は結構影響する。フレンドリーに伝えられるかどうかって、ゴミに限らずとても大切なこと。人間って強制されるの嫌なものだもの。
 ナビゲートをしていると男性と女性で反応の違いが目立った。男性はゴミ回収が有料であることを説明すると「じゃあ持って帰るわ」が多い。しかるに女性は「袋買います」が多い。この辺りにいつもゴミに接している女性と出したらハイ終わり、の男性との違いを感じた。やっぱり環境は女性のセンスが必要だね。ゴミ処理はタダではないのだ。税金や参加費にゴミ代込みでは実感しにくいのでNGなのだね。ナビゲートは当番制にした。今回祭りには役割りごとに班ができていたけど、それらの班から一日一時間くらい人を出してもらった。ボクの仕事はそのシフトをそつなく回すこと。シフトに入った人が来場者とコミュニケーションを取れるような設定、大きなトラブルが出にくいような基本的な設定をしておいてあとはやってもらっちゃう。シフトに入った人にもいい体験になるのです。多少のトラブルに対応したりコミュニケーション取ったりするのが。事前から祭のスタッフをやっている人の中には、既に重要な仕事を持ってしまっているからゴミの仕切りができなくて、それを突然来たボクに廻してしまったことを随分気にしてくれた人もいた。そういった人たちの協力はとてもありがたかった。その気持ちに動かされ一生懸命やってしまいました。
 全体的に他のイベントに比べ来場者のゴミに対するマナーはよかったですね。朝一番で会場を廻ってみたけどさして問題になるほどのゴミは落ちてなかった。一つ落ちてるとついついみんなが捨ててしまうので、夜と朝はさくっと拾い集めました。夜、ボクがそうやって周っていると、申し訳なさそうにボクを見る人がいましてね。見ても手伝わずにいる自分を見つけたのかな、なんて思った。もちろん手伝ってくれる人もいたけど、つい自分の仕事と他人の仕事を別モノとして考えがちですね、ボクらは。手伝っちゃえば楽になるのに。
 あとは、そうそう。ちょこっとだけ気になったこと。ゴミの回収は指定の袋でやっていることはスタッフには告知が行き届いていたはずなんだけど、「ちょっと捨てさせて」と袋なしでゴミを持ってくるスタッフが少なくなかった。スタッフルームに袋を置いておいたのですがね。お客さんも見ているわけだから見本を見せて欲しかったのだけど、どこかにスタッフである自分を特別扱いしているところがあるのではないかな、なんてね。別に責める気はないんだけど、ボクらは誰しもが自分にできる範囲の無責任、特別扱いをしてしまう。ついついね。自分の力が小さいうちはいいけども、それが肥大するとトンデモナイことになる。環境やいのちを守ろうとする側と壊そうとする側とどこかでボクらは同じものを抱えちゃってたり。それを知るのは原点なのかな、なんてね。楽しかったですね。

環境・サイエンスライター 小林一朗 ichiro.k@d4.dion.ne.jp


(会場で配ったふらいやー)
★ごみについての基本ルール★
1 持ち込んだごみは、すべて持ち帰ってください。(自分の家から捨てましょう。)
2 会場内で出たごみは、買ったところに返してください。
3 ごみを持ち帰れない場合は、有料で引き取ります。専用のごみの袋をお買い求めください。
 回収所(本部前)で分別してください。
 ごみを出せる時間は、朝9:00〜18:00です。
【有料ごみ袋について】
 一枚300円です。これは、ゴミの処理費用にあてられます。ごみを出す人は、このふくろにごみを入れて、分別ボックスまで持ってきて、それぞれのボックスに分別して自分で入れてください。袋は何回でも使えます。ごみの回収所(分別ボックス)は、本部前の入り口付近にあります。わからないことがあったら、近くのスタッフに聞いてください。
★たばこのポイ捨ては、やめましょう。
 ここは牧草地なので、牛がたばこを食べてしまいます。



いのちの祭りHPin アマナクニ

No.102=2000年9・10月号

なまえのない新聞のHome Page

amanakuni Home Page