文:今渕恵子
イラスト・ロゴ:向井則博
この日本で、野生の動物に会う、なんて、まず無理じゃない?
東京だったら、せいぜい、ドブネズミとか、ゴキブリぐらい。あなたは、そう思っていませんか。
実は、かなりの動物好きのわたしたちも、長い間、何となくそう思いこんでいました。
が、あちこちと、鳥をみたり、植物をみたりしているうちに、この日本の国の中でも、その気になりさえすれば、けっこういろいろな動物に出会えることに気づき始めました。
ついこの間も、一応東京都内の奥多摩で、カモシカ、見ました。それも、普通に人が生活している場所から、ほんの数分のところです。ホンドリスもちょろちょろしてたし、キツネや、タヌキの足跡もあるし、テンか、イタチのウンチも発見。野ネズミ類のかじった、クルミの殻もありました。最近ではツキノワグマも、かなり出没しているとか。同じく東京都の高尾山や御嶽山では、ムササビが頭の上を飛ぶのを見ることだってできます。
その気になりさえすれば、チャンスは、あります。
ただ、問題は、彼らの方はあまりわたしたち人間に会いたくない、っていうこと。だって、下手をすれば命取りです。そっとしておいてほしいんだ、と思います。
でも、もう、そうっとしておくだけの余裕もないような気がしてきました。道路や住宅を造るために、ぽんと道路を通せば、その森にひっそり暮らしてきた動物たちは絶滅してしまうかもしれません。わたしたちが、彼らの暮らしを知って、彼らを理解し、尊重しなくては、もうどうしようもないところまできているような気がするのです。
一度でも、あのヤマネの愛くるしい目を見てしまったら、誰だっていろいろ考えてしまうのではないでしょうか。カモシカの、のほほんとした姿を見れば、彼らには、静かに、自分たちの命を全うする権利があること、そのためには豊かな森が必要なことに、気づいてくれる人も増えるかもしれません。
と、そんなわけで、昨年まで3年以上にわたって連載させていただいた、「鳥が教えてくれるに」かわって今月から隔号で、この連載をはじめさせていただきます。鳥を見ながらアニマルウウォッチングに目覚めた向井一家(絵を描いている夫向井と、わたしと、鳥や動物のためなら、学校なんか平気で休む小学生、周平9才)で、日本列島を、北から南へ歩きます。
わたしたちも、今、アニマルウォッチング勉強中のため、何かと無知をさらけ出すこともあるかもしれませんが、どうかご容ください。もし、出会ってみたい、お好き
な動物などリクエストがございましたら、ヒイキして、さがします。お便りください。
前置きだけで、一号分使っちゃいました。次回は、ズバリ、ホンドリスです。かわいいやつですよー。