去年の刈羽村住民投票の勝利以来、「次はいよいよ、本丸・六ヶ所再処理工場を止
めよう」と昨夏以来、各地のいろいろな方々と相談しながら、少しずつ動き始めまし
た。
再処理工場の本体はほぼ完成。通水試験もすでに始まり、2003年にはウラン試
験、2005年に本格稼働という事業者の目論見です。
私たちに残された時間はあまりありません。
「まずは六ヶ所村民の一人ひとり、ホンネの所ではどう思っているのかあらためて聞
くことから始めてみよう」ということで、去年の夏に小手調べ。
その後、昨秋、グリンピースの尽力でフランス、ラ・アーグ周辺の「怒れる母」が
青森県内各地で講演。
そして、12月から、刈羽村、海山町それぞれの住民投票で威力を発揮した高木章
次さんのマンガパンフレットの「六ヶ所再処理工場版」持って、六ヶ所村内の戸別訪
問を始めました。
初めは、「何しに来た。帰れ」と怒鳴られたり、「反対派の人たちとは考え方が違
うから」と拒絶されることも覚悟していたのですが、意外にもわりと平静に、時に
は、かなりの共感を持ってこちらの説明を受け止めてくれます。それどころか、いっ
たん警戒心が解けるや、どうして今まで来てくれなかったのかと言わんばかりに、こ
れまでのいきさつや今現在の核燃に対する不安を話し出して止まらないといった人ま
で中には居たりして。
ようやく時の流れで癒やされたとはいえ、「賛成派」「反対派」とお互いいがみ合
い、同じ家族、親子、兄弟、親戚の間でもいさかいがあったという余韻を十数年後の
今なお感じさせます。
そんな中、戸別訪問を通して、こちらの思いを一方的に訴えるよりも村の人たちの
今抱えている思いを受け止めることこそが、より重要なことなのではないかと思い始
めています。
また、これまで、村内はもちろん、県内でも、「反核燃」の「運動」として、 原
燃に勤めている人、原燃関連で働く人イコール「推進派」イコール「敵」という図式
が意識・無意識にあったように思います。
そのことによって、目下のところ原燃(関連)を生活のよりどころにするしか方策
がない多くの人たちをも「敵」にまわしていたのかもしれないとも思います。そして
また、その人たちや家族もまた、内心では大きな不安を抱えているのだということを
直接伺うことが出来たのは、今回の戸別訪問での大きな発見でした。
十二月、一月十三.十四と回った限りの印象では、基本的に六ヶ所村民の多くは、
「ここまで進んできたんだもの今さらしょうがない」という、「あきらめ」が多いの
ですが、心から核燃がいいと思っている人は今のところいませんでした。パンフレッ
トの受け取りを拒否する人も何人かはいましたが、それでも、心苦しそうに、あるい
は、周囲を気にして、関わりになりたくないといった反応でした。
正直なところ、ウラン濃縮工場、低レベル核廃棄物、高レベル核廃棄物、使用済み
核燃料、イーター、モックス燃料加工施設、等々、続々と押し寄せる既設、未設の核
のゴミ施設の中にあって、再処理工場がどんなものか区別できない村の人も結構多い
のですが、だからこそ、「仮に建物は出来ても、再処理工場だけは動かさない」「仕
事で 原燃に勤めているのは仕方がない、だけど、あまりに危険すぎる再処理工場だ
けは止めましょうよ」という一点に絞った呼びかけは、かなり有効だと感じます。
残念ながら、今回の一連の戸別訪問によって、すぐさま刈羽村や海山町のような住
民投票となり、「再処理工場反対に○」と言って回れないのが辛い。
それどころか、村議二十二人中二十一人が推進、一人が慎重派−とはいえ実質推進派
という議会構成では住民投票による勝利など夢のまた夢かもしれません。
が、かの刈羽村だって「初めは似たようなものだった」そうですし、「あの刈羽村で
出来たんだから六ヶ所でもできる」とまで言われたら、「アータねえ、六ヶ所のこと
知らないでしょ」と言いたいのをグッとこらえて「そ、そ、そっすかぁ、ンだばやっ
てみっかぁ…」と言って、やるっきゃないのであります。
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六ヶ所村・泊での反応からいくつか。
「ウン、ウン、ウン、あんたたちの言うのはその通りだ。そでも、ワもこの通りトシ
だすて、若い者に読ませておく。」−70代男性。
「6〜7年(核燃の)中で働いたことあるけど、あんな工事やってて、何十年ももつ
なんてことあるわけネェ、おらんどでもわかる。」−50代男性。
「危険だってのはみんなわがってます。どこかサ引っ越さねばネェ。あんたたちが
今そうやってやってるようなこと、命がけになって私らやったものだもの。
これがいぐね(良くない)もんだって、みなわがってます。あんただち以上にやった
たんだもの。それでも負けてこうなったんだもの。反対、反対って一緒になってやっ
たったのがいつの間にか賛成に移って、カネがっぽりもらって、あの人たち儲けさせ
るために反対やったみたいになって、最後までやったのが馬鹿見たようなもんだ。
カネがあったらとっくに越してるベな。カネねんだもの、いくらおかね(怖ろし
い)たって、ここさ居るしかないベ。土地担いで行くわげにいがねんだもの。オラは
ハァ、あとはもう死ぬがらいいけど…。ご苦労さん。みんなサ知らせて下さい。」
−70代女性。
「おかあさんのとこでも誰か 原燃に行ってますか?」
「ウン、一人行ってる。」
「でも、この間も、こうやって回っていたら、−ウチでも 原燃に行ってるけど、
ホントは心配だ−って言ってましたよ。」
「いやーホント?(ホッとした表情になって−急にそれまでの警戒していた顔から
変わって)ウチでも心配だよ、そりゃ、わかってるんだもの、良くないものだって。
案じてる(心配してる)よ、案じるよ、そりゃぁ…。」−50代女性。
「十ねんメ(前)にはみんなして反対言ってらったけど、今はハァ、誰も(反対運
動に)行がねがべ。
今度もまだ、低レベル(核廃棄物)が来るって新聞でゆってらったって、よそがら
の人ばり(核廃棄物を六ヶ所村に)入れるなってゆってくれてるけど、こごの地元の
人だち誰も(抗議行動に)行かなくなったんだもの。マァ、こごまで進んで来たんだ
もの、今さら(しょうがない)ってみんな思ってらんでないが。
漁協の人だちもよ、みんなただでない(とほもない)カネもらってるんだもの、今で
も何人かはダメだって言ってくれてる人もいるかもしれないけど、ほとんど、みんな
カネもらって、今だら何も言わねんだもの。あの人たちこそ(反対を)言わねばネの
に。」
「誰か 原燃に行ってるんですか?」
「一人行ってるけどヨ。」
「ホントは中で働いている人が一番危ないと思うんですよ。何か事故あった時、
まっ最初に被害受けるのって、現場で働いている人でしょ?」
「あんたたちそうゆってくれるけど、みんな、今日明日のママかねばネェ(飯を食
わなければならない)、生活かがってるんだもの、仕事ねば(仕事がないと)終わり
だべ。そりゃ、あんた、みんな不安せ。不安は、不安よ、みんな、誰でも。今だっ
て、だーれ、いいと思ってる人だらでも(なんかだれも)いねがべ。まず、もし、住
民投票ズごとになったら反対サ丸書ぐよ」−70代男性。
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このマンガパンフは四月始めまでに全戸配付したいと思っています。
配付しながら村の人のホンネを聞き、次の動きを探っていこうと思っています。
六ヶ所村は「村」と言いながら広すぎます(東京23区より広いかも)。
六ヶ所村民のナマの声を聞きたいと思っておられる方、この機会に六ヶ所村を見たい
という方、ご一緒に動いて下さる方、お待ちしております。
この時期に嬉しい、温泉とセットの格安航空チケットあり。
日本一の温泉ホテル三沢の古牧温泉二泊三日冬季限定格安航空チケット
羽田空港〜三沢または青森空港往復+小牧温泉二泊三日でなんと21000円出発
日限定、5人以上。
関西からも同じ条件で25000円のパックがあります。
いずれもお問い合わせは近畿日本ツーリスト
というわけで、第2回六ヶ所村・冬景色・マンガパンフ配付ツアー参加者募集中!
近いうちに「再処理とめよう全国ネットワーク」のご案内も届くと思いますが、どう
ぞよろしくお願いします。
暖かい日が続き、雪が溶け始めたと思ったらまた昨日から雪。
どうぞみなさまお元気で。(F)
花とハーブの里
六ヶ所村豊原
TEL/FAX 0175−74−2522