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『雨の中、赤ちゃんを連れて』──ラファ、またも侵攻

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◇『雨の中、赤ちゃんを連れて』──ラファ、またも侵攻
ラファ・トゥディ(“Rafah Today”)より
ムハンマド
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ラファはパレスチナ・ガザ地区最南端のエジプト国境にある町です。こ
こはこの間、恒常的にイスラエル軍による攻撃を受けてきました。特に
国境に近い地区は家屋破壊が日常茶飯事のこととなり、米国人のレイ
チェル・コリーさんが壊されようとしている家を守るためにブルドー
ザーの前に立ち、ひき殺されるという事件も起こりました。

この10月9日〜18日にかけてイスラエル軍によって行われた大侵攻
は、きわめて苛烈なもので、途中の調査段階ですでに家を失った人は
1500人を超えると発表されていました。殺されたものは17人。破壊さ
れた家屋は170軒にのぼると言われています。

以下の文章の筆者、ムハンマドさんは英語を学ぶラファ在住の大学生。
ひとりで“Reports from Rafah - Palestine”というウェブサイトを作
り、ラファで日々行われている家屋破壊や銃撃の様子をレポートし続
け、この大侵攻のさなかにもマスメディアが黙殺した侵攻の様相を世界
に発信してきました[*1]<http://www.rafah.vze.com/>。家を失った
人々がまだ呆然とたたずむ街で、また、新たな家屋破壊が行われまし
た。最新の様子をムハンマドさんが伝えてきています。[ナブルス通
信]

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『雨の中、赤ちゃんを連れて』──ラファ、またも侵攻 
ラファ・トゥディ(“Rafah Today”)より

ムハンマド
2003年11月11日

 ラファの難民キャンプの現状。イブナ・キャンプが侵攻されてほとん
どの家屋が破壊されたのち、サラーム地区が侵攻され、ここでも徹底的
な破壊行為が繰り返された。さらに昨日、すでに壊滅的な状態にあった
ブラジル地区に再度攻撃が加えられ、21軒の家が破壊されて、14歳の少
年、シャーディ・アブ・アンザが殺された。シャーディは、イスラエル
軍のブルドーザー隊が襲いかかってきて自宅から逃げ出そうとした時に
撃たれ、今朝、亡くなった。この時の攻撃でほかにも大勢が怪我をし
た。

 そう、家屋破壊は、ここでは、ごく普通の出来事になってしまってい
る。家を壊すということは、夢を殺すということだ。イスラエル軍は、
建ったばかりの21軒の家を跡形もなく破壊した。ブルドーザーの操縦者
が運転席に納まって家を壊している中、住民は通りを逃げまどってい
た。雨が激しく降っていた。

 僕はもう何もかも忘れてしまったけれど、でも、昨日の攻撃のことは
忘れることができない。今のこの瞬間も、頭の中に焼きついて消し去る
ことのできない情景──ひとりの女性が赤ちゃんを抱いて通りを走って
いた。イスラエル軍のブルドーザーのほんの数メートル横を。激しく叩
きつける雨の中を走っていた彼女は、道の真ん中で、つと足をとめた。
赤ちゃんにかぶせてあった小さな毛布が落ちてしまったのだ。彼女は、
そのちっぽけな毛布を拾い上げようとした。と、その手もとに、何発も
の銃弾が飛んできた。その情景を見ていて、僕は思った。こんな仕打ち
を受けるなんて、いったいこの女性が何をしたというんだ?

 ラファでは今も雨が降りしきっている。寒さはつのっていくばかり。
本当に、どう考えてもわからない。今、僕の前にいる男性は、昨日は自
分の家で暮らしていた。それなのに、今朝になると、彼の生活は一変
し、僕が見かけた時には、小さなテントの中にいた。服も水も食べ物も
電気も、何ひとつない状態で。彼の一家が今持っているのは、国連から
支給されたこのテントだけ。それも、雨や寒さをから一家を守ってくれ
ることはとてもできない。

 世界の人たちも、もうそろそろ、この悲劇をわかってくれてもいいの
ではないか。冬のさなかにテントで暮らすということが、いったいどう
いうことなのかを感じ取ってくれても……。

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翻訳:山田和子

※以上は、ラファに住むムハンマドさんによるウェブサイト“Reports
from Rafah - Palestine”<http://www.rafah.vze.com/>の中の
“RafahToday”よりムハンマドさんの許可を得て訳出した。上記サイ
トにはムハンマドさん自身による写真が文章とともに掲載されている。

[*1]ラファ大侵攻についてムハンマドさんが書いたレポート『弟の
死』<http://www.onweb.to/palestine/siryo/mohtoday27oct03.html>

【イスラエル政府、軍へ抗議を!】
黙っていると、この侵攻を認めたことになってしまいます。ここで行わ
れていることはすべて第4ジュネーブ条約違反であり、国際人権法上許
されることではありません。軍が撤退しても、行った残虐行為をきちん
と批判していかなければ、また、同じ事は容易に繰り返されます。日本
政府へ抗議をするよう要望を出すのも大事なことかと思います。

「緊急呼びかけ:ラファが破壊されている」
http://palestine-heiwa.org/tmp/rafah/031015.html

(抗議先、呼びかけ文、抗議文サンプルなど、ラファ侵攻のサイトで
す。ラファ侵攻の様子を伝える文章、写真などへのリンクあり。続いて
行われたガザへの空爆への抗議もサンプルの中に入っています。どう
か、広めて利用してください)

【ラファの人々への緊急援助】

日本から家屋破壊の被害者に直接の支援をしたい場合は(送金手数料の
高さもあり)UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)を通じて行う
のがひとつの方法です。UNRWAは家屋破壊にあった人々に緊急のテント
などの支給を行う他、シェルター(仮設住宅)の提供を行っています。
<http://www.un.org/unrwa/japanese/index.html>がUNRWAの日本語ペー
ジ。(概要は普通に読めますが、プレスリリースはpdfファイルで
す。)寄付をクレジットカードによってできるようになっています。日
本政府に対して、UNRWAへの支援をもっと多くするよう要望を出すこと
も大事です。

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また、「パレスチナ子どものキャンペーン」でも緊急援助が呼びかけら
れています。詳細は<http://plaza17.mbn.or.jp/~CCP/>へ。

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※この文章は
http://www.onweb.to/palestine/siryo/mohtoday11nov03.html
に掲載。
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(編集責任:ナブルス通信 http://www.onweb.to/palestine/

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