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金満里と劇団“態変”に捧げる
救世
(ぐぜ)フリークス

ポン(山田塊也)

ステージのスポットライトを浴びて
片輪と奇形のフリークスが
這う 転がる のぞける いざる のたうつ
起きる 立つ ひっくりかえる 坐る 歩く
つまづく わめく 怒る 泣く
暗闇の中で 固唾を呑んで見守る観客
帝都新宿はアングラ劇場の「碧天彷徨」

他人の介護なしでは生きられない重度身障者で
在日韓国人で その上“女”という
三重の被差別で生きてきた一人のフリーク
弱者の中の弱者が演出して 観せるのは
弱者の存在を封印し 闇から闇へ処分する
不可視の暴力システムから
必死の逃亡を企てた 彼女自身の物がたり

奴らに抹殺されないために 奴らの本性を知り
奴らのやり方を見抜いて 奴らの裏をかき
奴らのシナリオに反して 奴らの洗脳をかわし
奴らの思いもつかない安全圏をめざして

這い 転がり のけぞり いざり のたうち
起き 立ち ひっくりかえり 坐り 歩き
つまづき わめき 怒り 泣き そして笑う
笑い声を殺して 笑顔を隠して
大地を震わせながら笑う ヒミツの笑い
奴らのドジが 処分に失敗したことを笑い
奴らが実は裸の王様なのだという事実を笑う

やがて逃亡に成功して 抹殺を逃れ
地獄から甦ったフリークの巫女とその脊族が
碧天彷徨する民衆を ヒミツの笑いで転がし
奴らが権力と暴力の依りどころにしている
帝国を包囲して 柔らかいスクラムを組み
奴らを馬鹿にして 勝利の笑いを爆発させ
電源を断ち 酸素を奪い
最後は静かに 呪文でも唱えながら
帝国が内部崩壊するのを見守るだろう
それは黄昏のフリーク男のロマンではなく
天然自然のリアリティ 女の又の力なのだ

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