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アムネスティ日本支部声明

国際刑事裁判所(ICC)が本格始動

アムネスティ・インターナショナル日本発表       
(2003年3月20日)

アムネスティ日本 <info@amnesty.or.jp>
<http://www.amnesty.or.jp/>

-------------------------------------------------------------------国際刑事裁判所(ICC): ついに本格始動
国際社会そして日本はICCに込められた希望を踏みにじってはならない

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  3月11日、オランダ・ハーグにてICC開所式が行われ、18名が初代裁判官として
正式に任命された。裁判官の構成において、地域的バランスや法制度上のバランス、
とりわけジェンダーバランスが考慮されたことは、国際司法の大きな進展である。
 アムネスティは、彼らが、この新しい裁判所の公平性・中立性を確保する上で
非常に重要な役割を担っていることを、強調する。

  今、国際社会は、イラク攻撃の是非をめぐり、極めて緊迫した情勢に包まれて
いる。ブッシュ米大統領は、世界各地でイラク攻撃に対する反対の声が高まってい
るにもかかわらず、国連決議なしの武力行使を決定した。このような武力行使は、
国連憲章に反する、国際法違反行為であるといえる。

  国際法に違反する武力行使を防止し、国際人道法や国際人権法によって人びと
が守られ、平和的解決が実現されることこそ、ICC本来の精神である。国際社会そし
て日本は、この精神を尊重しなければならない。

 また、国際社会そして日本は、予想される武力行使において、民間人の人権を第
一に尊重するべきである。民間人を標的とする攻撃や、民間人を巻き込む無差別攻
撃などは、国際人道法や国際人権法の重大な違反行為である。

  現在、イラクと米国は、ICC規程の批准国ではないが、同規程12条3項に基づ
いてICCの管轄権を受け入れる宣言を行なうことができる。また、英国はICC規程批
准国である。

 国際人道法の重大な違反行為は、いかなる国家がいかなる場所で行なおうとも、
裁かれるべき犯罪であることに変わりはない。予想される武力行使において、民間
人が犠牲になる事態が発生した場合、国際社会は、ICCの精神に基づき、あらゆる関
係国の責任者の刑事責任を追及しなければならない。

  イラクのフセイン政権下ではこれまで、たびたび重大な人権侵害が行われてき
たことが報告されている。その責任者の処罰は、武力行使によってではなく、イラ
ク国内の刑事システムの再建を通じた、公平中立な司法プロセスによって平和的に
行われるべきである。

  今こそ、我々は、長い年月を経て今ここにICCが誕生した意味を考えるべきであ
る。ICC設置規程が120カ国という大多数の賛成で採択されたことは、重大な人権侵
害に対する、法的および道徳的な国際社会の姿勢の変革を示すものである。ICCの成
立により、世界で繰り返されるこれら残虐な行為は、もはや政治的外交的な解決に
ゆだねる問題ではなく、国内的または国際的な刑事司法の場で調査・訴追すべき国
際法上の犯罪であることが、確認された。

  ICCは、重大な人権侵害に対して、公平で中立な司法手続きによって平和的に解
決する道を示している。これは、加害者の免責の歴史に終止符を打ち、被害者の権
利の回復を実現する、まさに暴力の連鎖を絶つための新しいシステムである。

  ICCに込められた希望を踏みにじってはならない。

背景情報:

ICC設置規程は、裁判官(候補者)について、刑事法または国際人道法・人権法の
いずれかの専門家であることを要求する(36条3項a)。さらに、裁判官の選出に
あたっては、(1)世界の主要な法制度を代表すること、(2)地理的に平等な代表性を
もつこと、(3)男女の裁判官を公正に代表すること、という要請がある(同条8項a)。

 初代裁判官の構成は、女性7人、男性11人である。また、刑事法の専門家が10
人、国際人道法・人権法の専門家が8人である。判事の出身地域分布は、アフリカ
3人、アジア3人、東欧1人、ラテンアメリカ4人、西欧7人である。

今回の開所式により、ICCは記念すべき一歩を踏み出した。報道によれば、ICCには
すでに200件以上の事件が付託されている。今後、検察官および書記官の選出を
経て、今年の中頃までには、これらの事件に取り組み始めることが予想されている。

 現在、ICCの基礎づくりのために約40名のスタッフが活動しているが、専門家の指
摘によれば、旧ユーゴやルワンダで発生した戦争犯罪やジェノサイドと同規模の重
大な犯罪を、国際的に調査し訴追するためには、少なくとも数百人のスタッフが必
要とされる。そのためにも、財政面を含めた、各国のより一層の協力が求められる。

1998年7月に採択されたICC設置規程は、現在、締約国数は89カ国、署名国数は139カ
国にのぼる。日本は、この規程に署名も批准もしていない。また、米国は、ブッシ
ュ現政権になって、前政権が行なった署名を撤回した。

ICCがより実効性ある裁判所として機能するためには、より多くの国がICCの締約国
となることが不可欠である。ICC締約国数の増加は加速しており、アジア地域におい
ても、韓国やアフガニスタンなどが次々と批准し、さらに中国も批准に積極的な姿
勢をみせている。

 アムネスティは、日本政府が、ICCの重要性、そして国際社会における日本の役割
を再認識し、すみやかにICCに加入することを、強く要求している。

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