amanakuni Home Page | なまえのない新聞ハーブ&アロマテラピー | 八丈島の部屋

HOT NEWS

小中学教科書検定が危ない!

いつか来た道、ここまできてしまった!


私が「あ、これはヤバイ、動かなくっちゃ」ってこれほど強く思ったのはY2K以来。私は教科書問題は一部の「タカ派」の人たちの動きでたいしたことないだろうとタカをくくっていました。が、「新しい歴史教科書を作る会」の動きが、ここまで来ていることを知ってびっくり!しました。
2002年から使われる教科書検定の本が7社プラス1社(これが問題の新しい教科書です)出そろいましたが、全社そろって、日本の加害の歴史に関しては、自粛、自主規制しているのです。
ここまできたか、です。ほおっておいてはいけない気がします。

いのちのまつりで出会った(というか私の話を聞いてくれていた)若者から、分厚い資料が送られてきていて、何かと思ったら、今、教科書を「正しく」(というか日本人が誇りをもてるように歴史を書き直させようと)しようとしている人たちの動きについて、サンケイ新聞の記事や、さまざまなパンフや散らしや広告をコピーしたものでした。彼らの主張を読んでいると、私は気持ちがわるくなってくる(日本がまた戦争をできるようにしよう、とか徴兵制が日本を救う、とか)んだけど、驚くのがそこに名を連ねている会社やグループの多さ。大企業では、東芝、三菱重工、住友金属鉱山、日本タバコ、鹿島建設、大林組、大成建設、清水建設、ダイキン、殖産住宅、日商岩井、味の素、ライオン、日本ケンタっキーフライドチキン(もう絶対食べてやんない!)、いすず、日野自動車、マツダ、ヤナセ、ブリジストン、出光石油、アラビア石油、住友銀行、東京三菱銀行、日本開発銀行、NTT,凸版印刷、などなど。
原発と戦争で儲けた会社が多いよね。
玄ちゃんは、「大企業なんて、殆どが国策会社なんだから、今更びっくりすることないでしょ」と言っている。私はまだまだウブなんだなあ。
こばやしよしのりとかのマンガが受けてるとか、自衛隊志願者が増えてる、とか、林真理子とかの有名人がこぞってこの「新しい歴史教科書をつくる会」に名を連ねていることは知っていたけど、そんなのが世の中で支持されるわけがない、とタカをくくっていたのよ。

ところが、ぎっちょん、その支援組織はいまでは「子供を守る親の会」「日本会
議」「自由主義史観研究会」「歴史学習運動」「教科書改善連絡協議会」「教科書議
員連盟」「昭和史研究所」「歴史教科書是正を求める会」「全国教育問題協議会」
「日本世論の会」「違法教科書訴訟原告団(慰安婦や南京大虐殺の記述の訂正をもとめて、東京地裁に提訴)」「偏向教科書を糺す国民会議」「青年学生セミナー」「日本歴史修正協議会」「ビジョン21」「東京教育再興ネットワーク」「教科書改革ネットワーク」「教育再生・地方議員百人と市民の会」「東京23区の教育を考える会」「戦争資料の偏向展示を正す会」「日本政策研究センター」などなどのもっともらしい名前のダミー組織と共に、普通の父母を巻き込み、全国に広がり、組織的にどんどん支持者を広げているというではないですか。

全国でこれをテーマにしたシンポや講演会は年に数百回。フジサンケイグループが全社をあげて協力体制。教育委員会も後援になっている場合が多い。
そして来年の教科書検定の中に、彼らの作った本も入ることに(サンケイ新聞発行、芙桑社発売)。これで教科書検定に参加する会社は8社になったのね。
ま、それはいいとしても、私がいちばんびっくりしたのが、残り7社がこれらの運動の影響を受けて、既に自主規制をしてしまったこと。従軍慰安婦と南京大虐殺については、記述がされなくなったり、焦点をぼかしたり、論議が別れる、と書かれたり。
そうしないと、選ばれなくなる、と思ったのかねえ。(教科書の会社は採用する学校が減ってしまったら、経済的大打撃ですものねえ)

日本人の誇りって、そんなんじゃないだろ、って私は思う。
江戸時代の完全リサイクル社会とか、自然の全てを神様と思ったりとか森を育み、森の恵みをいただいて共存してきた里山の暮らしの智慧とか、さ。
アジアで女子供まで殺して(戦争はみんなそうですが)どうして、そんなこと隠したり、美化する必要があるの???と思いながら、結構敵もやるもんで、4億円だかもお金あつめて、立派な本を(彼らの考える正しい歴史についての)教育委員会の教科書検定に関わる人たちに配布している。そして、その不気味な圧力は、もう形になって表れていて、来年の検定本の中で、従軍慰安婦の記載を自主的に取り消した教科書会社が7社中4社も!南京大虐殺については、犠牲者数を書いた教科書は1社だけ。
そして沖縄戦については、全社が記述を大幅削減。ね、恐ろしいよ。これが2002年から使われる中学校の教科書だよ。
日本人って「みんなが言っているから」とか「世間が」みたいな、なんとなくの雰囲気、風みたいので、どんどん全体がそっちに行ってしまうから。反対意見をいいにくい社会なのよね、とっても。「出る杭は打たれる」社会だからね。村八分とかさ。

この本とは「国民の歴史」と「国民の油断ー歴史教科書が危ない」の2冊です。今、早速この資料の中にあった「新しい歴史教科書をつくる会」西東京支部へ電話してみました。オゼキさんという感じの良い男性が出て、いろいろ教えてくれました。主な活動は、次の教科書選定で「つくる会」の教科書を選んでもらうよう、各地方議会への陳情、請願、関係者への本の送付、勉強会、講演会など多角的に活動しているそうです。日本の全都道府県に支部があり、現在支部の数は50、会員数は11000人、年会費6千円です。私が千葉に住んで、子供が3人いるから、非常に興味がある、というと、千葉は議員の中でも良識のある人が多く、いち早く彼らの活動に賛同をし、教科書の選定を教育委員(5人)に選ばせる決議をしたり、正しい教科書を選ぶ決議をしたりして、「非常に進んでいる」とお褒めをいただきました!!

私も知らなかったのですが、教科書を選ぶのは教育委員5人からなる教育委員会だそうですが、現在では全国の教師(学校)が検討して検定が通った本の中から1、2冊を選び、その選ばれた本の中から教育委員会が選ぶ、というようになっているそうです。つまり現場の先生の意見が反映されているわりと民主的な選ばれ方になっているのですが、それを本来の、教育の権限を握っている教育委員会に全面的にやらせよう(となると、各市町村の5人の教育委員を抱き込むだけで、済むもんね)としているわけです。それで、その動きは、確実に広がっているのです。

わたしは、これから千葉県のその教科書議員連盟とかの人たちに会ったり、その人たちの講演会などにも出向いて、観客のひとりとして、自分の意見を言ってこようと思っています。みなさんも、日本が核武装して戦争できる普通の国になる前に、少しこの問題に関わったほうがいいかもしれません。そういう動きがあることは知っていたけど、この資料をいただくまでは、ここまで大きな(というか資本にものを言わせた)組織的活動になっていて、その影響で「自主規制」が始まってしまって、全ての
歴史教科書が既に書き直されてしまったということを知りませんでした。
これで2002年以降、日本の中学生は全員、従軍慰安婦のことを学ばずに、中学を卒業することになります(自主的に勉強するか、現場の先生が頑張ってきちんと教えれば別だが)。
これって、中国や韓国や北朝鮮やアジア諸国との関係から考えても、日本の本当の国益に反すると私は思うけどね。

「国民の歴史」は「つくる会」とそのダミー組織が殆ど自分たちで買い取って全国の教育関係者や地方議員にただで配っているみたいよ。100万人に無料配本するそうです。全国の中学社会科教師のところにも、くまなく配られたみたいよ。著者本人が買い取って配っている。でも、彼らはこういう名簿、どうやって手に入れたんだろうね。問題あるよね、こういうやり方。「幸福の科学」方式の「ベストセラー」だったのねー。それでも、ベストセラーになれば、よらば大樹の多くの日本人は読むからね、これからもっと売れるかも。

彼らは、大東亜戦争は正義の戦争、正しいことをしたのだ、と言いたい。特にアジアを独立に導き、感謝すらされているのだ、と。自分の孫から後ろ指さされるのが、いやなわけよね、平たくいうと。(戦争の責任は1個人に架せられないとは思うけど、でも「なんとなく」「無知無自覚に」それを許してしまった責任はあるよね、みんなに)特に神風特攻隊についてはものすごく美化している。「日本のために犠牲になることをいとわなかった多くの若者がいた」と、家族への手紙と共に写真付きで紹介。「アメリカ軍と戦わずして敗北することを当時の日本人は選ばなかったのである」とあの時代の日本人の決意と自己認識をまとめている。この点が、彼ら「つくる会」の原点のようです。それから、日本が反省をしなくてはならないようなこと(従軍慰安婦や南京や沖縄戦など)については殆ど触れず、教育勅語が全文掲載されていたり、植民地や強制連行の記述もありません。

で、彼らの主張には実に一般の人を納得させうる記述があります。
私もそうだよな、って思うところは、たとえば「歴史を学ぶとは、今の基準からみて、過去の不正や不公平を裁いたり告発したりすることと同じではない。過去それぞれの時代にはそれぞれの時代に特有の善悪があり、特有の幸福があった」(つくる会の教科書の序文より抜粋)とかね。

ただ違うと思うのは
「歴史を学ぶのは過去の事実をしることだと考えている人がおそらく多いだろう。しかし必ずしもそうではない。歴史を学ぶのは、過去の事実について過去の人がどう考えていたかを学ぶことなのである」というところ。
まず、過去の事実を知ることが大事(従軍慰安婦はなかったとするなど、もっての他。)。そして悲惨な歴史(20世紀史は悲惨だよね、本当)についてはどうやれば二度と繰り返さなくできるかの智慧を磨くことが歴史を学ぶことの意味だと思うよ。
でもって、彼らも同じようなことを言っているのが、矛盾するのよねえ。「戦争に踏み切る苦悩、また、終結したときの惨禍。その時代の人々の悲喜こもごもを知ることこそ、次の過ちを起こさないための叡智となるのだと、私たちは信じています。」とその扶桑社の教科書宣伝パンフに書いてある。

執筆者は、あのゴーマニズム宣言の人気漫画家・小林よしのりを始め東大の藤岡信勝、評論家の西尾幹二、伊藤隆、高森明勅、坂本多加雄、田中英道、谷原茂生、広田好信、八木哲の10人。監修者は大石慎三郎、高橋史郎、芳賀徹の3人。

今全国の地方議会に「歴史教科書採択に関する請願書」というのが続々提出されているんだって。この請願書の主張は、今の歴史教科書は、子供達に愚かで残虐な民族の子孫であるという劣等感を植え付けてる、といい、歴史教科書を読めば、子供の心はすさみ、国は滅びる、というのです。いじめも校内暴力も、学級崩壊も、歴史教科書にその原因を押しつけているのよね(よくもまあ・・・。)
それで良い教科書を選んで下さい、という内容なんですが、その「良い教科書」の根拠に使われているのが、サンケイ新聞の記事の大学教授らの研究グループによる「教科書ランキング」なるものなんです。
実はこの記事とは、正にこの扶桑社の新しい教科書を書いた本人・藤岡信勝東大教授らによる「良心的な教科書のランキング」を紹介したもので、手前味噌もここまでくると、アッパレ、というか何と言うか・・・・。
ランキングで最下位は教育出版(小中学校共)、そして最もシェアの多い東京書籍は大阪書籍も低いランキングになっています。日本にとってヤバイこと(従軍慰安婦、南京大虐殺など)は、子供に教えない、という彼らの態度が伺われるものです。

ああ、これはいつか来た道、と思うのですが・・・。いやー、ここまで
きてたとは、知らなかった。

きくちゆみ

サキノの HOT NEWS

amanakuni Home Page