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劣化ウラン汚染のイラクのくず鉄をインドへ輸出


OPEN-J BOOMERANG 431【生っ粋な ジャーナリスト】より
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■山田和尚■

残念なことですが、イラクで日本人二人の犠牲者が出た模様です。
この事件を機に、日本政府が前回の【自己責任論】から【報復責任論】とシフト
替えして、軍事的な変化をして行くことを懸念しています。

犠牲者となったとされる橋田信介さんは、人間味がある生っ粋なジャーナリスト
です。最近の著書は『イラクの中心で、バカとさけぶ―戦場カメラマンが書いた』
http://books.webfaq.jp/asin/4776201321.html

このブーメランは海外に住んでいる日本人の購読者がたくさんいます。日本で流
れるニュースなどは下のサイトから入って行くと、こんな時の情報が豊富に入手
可能です。ぜひあなたのパソコンのブックマークに入れて下さい。
●バーチャルメディアラボ:<http://www.newmedia.jp/>

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森住卓さんがサンケイ新聞の第51回産経児童出版文化賞を辞退されました。
このニュースは少し前に報道されたのですが、知っている人がまだ少ないようで
す。受賞予定だった作品は『私たちはいま、イラクにいます』という写真絵本で、
私はすでに手に入れました。やはり、評判通りいい作品です。
http://www.morizumi-pj.com/tyosyo/tyosyo-index.html#iraq3

森住さんが、どのような思いでこの受賞を辞退されたのか、彼のサイトに立ち寄
って、コメントをお読み下さい。<http://www.morizumi-pj.com/>

さて今回のブーメランは、早くからイギリスを中心にヨーロッパ各地で森住卓さ
んの写真展を精力的に展開してこられた藤澤みどりさんのMLを紹介します。

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◆藤澤みどり◆ (ロンドン)

「湾岸戦争の子どもたち」写真展UKツアーの藤澤みどりです。
しばらく前から「外電の目」というウェブサイトをチェックするのが日課となっ
ています。これは「中東経済を解剖する」というウェブサイトの中に設けられた
特設ページで、齊藤力二朗さんがアラビア語圏のニュースを和訳(抄訳)し場合
によって背景などを解説しているもの。英語圏のニュースと比べると内容の凄ま
じいものが多く(読んでいただくと理由がわかります)、にわかには信じがたい
ニュースも時々まじっています。

しかし、まったく計画性の見えないブッシュ政権の占領政策や、とても真実とは
思えないアルグレイブでの拷問暴露のあとでは、どれほど荒唐無稽なニュースも
一笑に付すわけにはいかない気がします。信じるか否かは読む人それぞれにおま
かせしますが、ともかくそこには、ほとんど全部に記者クラブ制度とアメリカの
フィルターがかかった日本のマスメディアの報道では、けっして気にとめられな
い異なる視点があります。

こうした情報を共有しているアラビア語圏の人々と、それをまったく知らない人
々とのあいだで、ものごとのとらえ方に違いが出てくるのは当然かもしれません。
「伝えたい情報は山ほどあるのですが、紹介できるのは極僅かです」と齊藤さん
はおっしゃっていますが、貴重な情報が多数紹介されています。

最近の「外電の目」から「劣化ウラン汚染のイラクのくず鉄をインドへ輸出」を
紹介します。この記事は、イラクのオンライン・メディア「バスラネット」に掲
載された記事がベースになっていますが、齊藤さん独自の追加取材も含まれてい
ます。

また、もしこのニュースが真実であった場合、そのくず鉄によってどのような被
害が予想されるかを、劣化ウラン研究会の山崎さんに解説していただきました。
あわせてお読みください。このメールは転送を歓迎します。

★"Children of the Gulf War" photo exhibition UK tour★
★メールマガジン MAGCHIMERA WARTIME
http://www.chimerafilms.co.uk/children_mag00.html
★「湾岸戦争の子どもたち」写真展UKツアー
http://www.chimerafilms.co.uk/children.html
★ニューズメール(英語版)バックナンバー
http://www.chimerafilms.co.uk/children_nme.html
★ニューズメール(日本語版)バックナンバー
http://www.chimerafilms.co.uk/children_nmj.html

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劣化ウラン汚染のイラクのくず鉄をインドへ輸出
齊藤力二朗「外電の目」より転載(2004年5月22日) 
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*元記事バスラネット(アラビア語)
http://www.albasrah.net/maqalat_mukhtara/arabic/0504/basri_200504.htm
*「外電の目」齊藤力二朗
http://www2.pf-x.net/~informant/cgi-bin/keijiban/top.html

今次の戦争でもイラクに大量に投下された劣化ウラン(DU)の汚染が大問題に
なっているなか、イラクから大量のDU汚染鉄がインドに輸出されるという。
アリー・バスリー博士の緊急告発文を5月20日付のイラクのバスラ・ネットが
掲載した。
 
バスラから私の手元に届いたばかりの情報によると、アハマド・チャラビー(イ
ラク国民会議の議長で、イラク暫定評議会のメンバー。米国防総省から毎月34
万ドル支給されていた)とイラク暫定統治評議会の複数のメンバーは、"地獄の
取引”を複数のインド企業と締結したことを示している。
 
取引内容は、解体される戦車などイラク旧軍の所有物と、劣化ウランに汚染され
たくず鉄20万トンのイラクからの輸出である。金額は、1億1100万米ドル。
初回の積荷を運ぶガージー(Ghazi)号という貨物船は、5月18日にイラ
クのホール・ズベイル港に到着して、英米軍の監督の下に、積込が行われる。
 
知られているように、このような汚染鉄は、数十万のインド人にまた、積込作業
をするイラク人作業員たちに、放射能障害を引き起こす。
 
以上が全文である。誰かが内部告発したと思われるが、事実だとしたら、重大な
危険が拡散する可能性がある。占領軍将兵などによる原油の密輸やは何度か報じ
られたが占領軍が関与していると思われるDU汚染鉄の輸出の記事は初出である。
 
出航日やくず鉄の用途には触れられていない。また、英米軍が積込作業を監督す
るというのも理由が不明である。組織的に関与しているのか、将兵の小遣い稼ぎ
なのかも不明である。
 
チャラビーは最近占領軍離れをしており、20日に米軍の捜索を受けている。
この捜索がくず鉄輸出に影響を与えるのかも注目される。

DU汚染問題は、人質となった今井君が取り組んでいたテーマである。
なお、この告発文を掲載したバスラ・ネットは、個人が運営するサイトであるが、
訪問者数が最近急増しており、動きは非常に重い。また、月の内半分程度の頻度
でアタックを受けダウンする。これまでも数々の事件を告発している。

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劣化ウランくず鉄インド輸出の続報です
齊藤力二朗「外電の目」より転載(2004年5月25日) 
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その後、質疑応答が入りました。

Q) Who is Dr. Ali? What subject is he specialized in?
A) Dr. Ali ALBasri ( Different name) is an Iraqi official who gave this
information. He does not wish to be known!!!
問 執筆者はどのような人か
答 匿名者で、政府の高官だ。

Q) What are the Indian companies using these irons for?
A) The steel is usually taken to be cut in pieces of 2 meters to be then
melted and converted to all kinds of different steel products. Mainly
Recycling.
問 インド企業は、くず鉄を何に使うのか?
答 通常長さ2メートルに切断、溶解して、種々の鉄製品として再生される。

Q) When are they shipped to India?
A) The shipped two months ago one lot. Second shipment is now under
loading in Khor Zubair.
問 インドには何時輸出されるのか?
答 初ロットは、2ヶ月前に出航した。2回目は、現在積込中。

Q) What is the role of English American army?
A) To issue certificates that this steel is clean!
問 英米人の役割は?
答 くず鉄の安全証明書発行だ。

皆様にお尋ねします。劣化ウラン汚染の再生鉄は果たして安全なのでしょうか? 
専門家に尋ねてください。(・・・ということでしたので尋ねてみました)

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劣化ウラン汚染の再生鉄は果たして安全なのでしょうか?
山崎久隆(劣化ウラン研究会)
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(*編者注については文末をご覧ください)

山崎 久隆です。

ウラニウム混じりの鋼鉄。ぞっとするしろものですね。安全か危険か。まずもっ
て「安全」であるはずはありません。ではどの程度危険か。これは、どういった
状況にあるかでかなり違ってきます。
 
汚染された戦場の廃棄物の様態が、ウラニウムの粉塵にまみれた状態である場合
には、製品となる鋼鉄材よりも、それを取り扱う解体、輸送、加工に従事した人
々の被曝がより深刻なものとなるでしょう。ダグ・ロッキー(*1)がまさにそ
の状況にあった人です。彼と彼の部下に何が起きたかは、もう十二分に紹介され
ていますから、そのまま引用して警告することができます。
 
ウラニウムにより破壊された戦車などを洗浄した場合。これは、粉塵などはかな
り除去可能であると思われますが、それでも洗浄作業に従事した人々は深刻な被
曝を被る可能性がありますし、洗浄した際に出る汚染水を適切に処理していなけ
れば、周辺地域に深刻な汚染を拡散させます。ウラニウム汚染水の問題は、国連
環境計画によるコソボ調査報告(*2)にもウラニウムによる土壌並びに地下水
系の汚染として言及されていますから、それをそのまま引用して警告することが
できるでしょう。
 
最後にもっとも大きな被害を引き起こすケースは、ウラニウム兵器の破片そのも
のが鋼鉄材に混入するケースです。

例えば劣化ウラン弾の廃弾(不発弾という表現が多く使われますが、不発弾とは
炸裂しなかった砲弾に一般的に使用される表現で、劣化ウラン弾は元々炸裂弾で
はないので不適当です。廃棄された弾丸という意味で、廃弾が正確です)は、戦
車などに突き刺さったままの状態でインドに送られる危険性が高く、そのばあい、
適切な汚染チェックもされていなければ一緒くたに溶鉱炉に放り込まれる恐れが
高くなります。

ウラニウムは1129度で溶けますから、たちまち溶鉱炉で溶融し、重いので多
分下の方にたまります。いわば「スラグ」となると思います。しかし完全に分離
するわけではないので、製品鋼鉄材にもかなり混じっていくでしょう。ウラン合
金(というのは適切な表現ではないけれど、象徴的に言えばそういう状態)の鋼
鉄材ができるわけです。

スラグは不純物の多いものなので安い鋳物材に使われると思います。どういった
ものが具体的な転用先になるのかはよくわかりません。こうなったらもはや分離
は不可能で、汚染鋼鉄材事件、つまり台湾で起きた事件(*3)と似た状態にな
ります。

ただし、台湾汚染鋼鉄材事件は、混入した放射性同位元素はコバルト60で、放
射線の量が格段に違い、また鉄と似た元素だったため鋼鉄に混じり込み、ひどい
被曝事件となりました。

ウラニウムの場合はアルファ線源なので、劇的な、つまり数ヶ月で人を殺すと言
ったようなひどい被曝を引き起こすことはまずありません。しかしそれだからこ
そ発見されにくく拡散し易いとも言えます。

起こりえることとしては、時間と共にウラニウム238は別の放射性物質に壊変
しますので、アルファ線だけでなくベータガンマ線も出しつつ、長期間にわたり
徐々に人々を被曝させていきます。例えばプロトアクチニウム、トリウム、ラジ
ウム、ラドン、ポロニウム、ビスマス、鉛(放射性)です。その被曝した人の中
に放射線によるガンや白血病になる人が「若干名」出るということだと思います。

しかし「若干名」は、被曝した人の総被曝線量に対して、一定割合で発生します
ので、混入したウラニウム238および壊変放射性同位元素による、人への被曝
線量の総量で決まります。この被曝線量は汚染鋼鉄材に被曝する人口数との関数
になるので、どれだけ多くの人が接する場所に汚染鋼鉄材が使用されるかに係っ
てきます。

住宅建材に使用された場合の影響が最も大きく、人間が接触しない例えば海底構
造物とか、鉄橋構造物などに使用されるぶんには影響はほとんど無いと言えるで
しょう。

だから、日本の場合、原発の解体により生ずるコンクリートや鋼材については、
当面新しくつくられる原発などに使用するという話になっているわけですね。
これならば万一放射性同位元素に汚染されたコンクリートや鋼材が使われたとし
ても原発の放射能のほうが強烈なので影響はないというわけです。

もちろん、わたしはそんな予定調和みたいなことになる保障など無いので、原発
廃材の再利用には反対しているのですが。

*注*
*1 ダグ・ロッキー氏へのインタビュー(アルジャジーラ)
[news mail 25 June 03] 世代を超えて続くイラクの劣化ウラン被害
http://www.chimerafilms.co.uk/children_nmj.html#2506

*2 国連環境計画によるコソボ調査報告など
きれいな戦争という汚い嘘
ロバート・ジェイムズ・パーソンズ(Robert James Parsons)
ル・モンド・ディプロマティーク日本語版
http://www.diplo.jp/articles02/0203-2.html

劣化ウランと米国の戦争 劣化ウランは人体と環境を破壊する
山崎久隆
http://www.nodu.net/du/DUandUSwar_yamazaki01.htm

*3 台湾汚染鋼鉄材事件
(TUPチームメイト井上さんからのメールの一部)インドへの劣化ウラン汚染
再生鉄輸出のニュースで思い出す事件が、(たしか)1980年代末期の台湾で
の放射能汚染アパートです。

当時の台湾電力の放射性廃棄物の管理は想像を絶してでたらめで、放射能汚染さ
れたスクラップを屑鉄市場に流したのが、建設鉄材に加工されてアパートの建設
のために使用されました。その結果、住民に、白血病、ガンなどが多発し、抗議
運動が行われました。

ウランの場合は、アルファ線放射のみなので、ベータ、ガンマ線も出す原発廃棄
物とは違うでしょうが、加熱加工、ドリル、カッターを用いる作業、錆の剥落な
どざっと数えるだけでも体内被曝の機会は多いと思います。(井上さんのメール
はここまで)

(台湾の放射能汚染マンション訪問記が掲載されています)
放射能汚染家屋 放射能カラオケスナック
http://japan.nonukesasiaforum.org/japanese/taiwan9901/taiwan2.htm

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最近の「外電の目」より見出しだけ紹介します 
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*トップページは・・・中東経済を解剖する
http://www2.pf-x.net/~informant/

*この中の特設ページ・・・特設コーナー「外電の目」
http://www2.pf-x.net/~informant/cgi-bin/keijiban/top.html

*このページは無断転載禁止です。
転載したい記事がある場合は齊藤さんにお尋ねください。

●国連や米はアフガン型のイラクの将来を選択
 ファルージャとナジャフの戦闘はイラク分割への序曲
(2004年5月26日 ロンドン発行のアラビア語新聞
 アルクドゥス・アルアラビー紙)

●イラク抵抗勢力が首都大規模攻勢を準備
 (2004年5月26日 サウジアラビア アル・ワタン紙)

●イラク抵抗勢力、ファルージャで米軍の大佐を捕獲 捕虜交換も
 (2004年5月25日 イスラム系ネット新聞 イスラム・ネット)

●イスラエル軍、パレスチナ人に新化学弾薬を使用か
 (2004年5月25日 イスラム系ネット紙 イスラム・メモ)

●米英、イラクの指導層に撤退要求の危険を冒さないよう恫喝
 (2004年5月24日 サウジアラビア アル・ワタン紙)

●イラクのオランダ軍、米の依頼でアパッチ6機導入
 (2004年5月23日エジプト最大野党新ワフド党の機関紙アル・ワフド紙)

●米、イラクのクルド人に武器支援 内戦が進行か
 (2004年5月23日 イスラム系ネット紙 イスラム・メモ)

●パレスチナ人への拷問
 女性のレイプビデオで恫喝し釈放後スパイに人体実験も
 (2004年5月22日 イスラム系ネット紙 イスラム・オン・ライン)

●イラク人スカウトマンを使い米軍用慰安婦を女子大生などから募集
 (2004年5月22日 イラク バスラ・ネット)

●イランがサドル師を支持している指標
 (2004年5月19日 イスラム系ネット紙 イスラム・オン・ライン)

●ニック・、ベルグ断首事件で不審な点
 (2004年5月19日 イラク バスラ・ネット)

●欧州情報機関報告書:イラク人女性への性的暴行は組織的 人間の四肢を料理
 (2004年5月18日 ヨルダン アッサビール紙)

●米軍、イラク西部の砂漠に化学兵器を埋める ザルカウィは1年前に拘束
 (2004年5月20日 バハレン アハバール・アル・ハリージ紙)

●モサド、クルド民兵の秘密部隊に要人暗殺、拉致、建物破壊の訓練
 (2004年5月18日 レバノン アル・ムスタクバル紙)

●ファルージャの抵抗勢力、米軍車列の侵入を阻止
 (2004年5月18日 ヨルダン アッサビール紙)

●イラクの部族長、ブレマー行政官が提示した拷問の補償金を拒否し、報復を
 (2004年5月16日  イスラム系ネット紙 イスラム・オン・ライン)

●イラク青年を麻薬漬けにして爆破実行犯に
 (2004年5月18日 サウジアラビア リヤード紙)

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