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ミス・アプリコットで聞くA

石けんと合成洗剤の狭間


大メーカーによる「ナチュラル」な洗剤の嘘臭い宣伝の洪水の一方、洗剤というと石けんが絶対的に正しいという固定的な見方にも疑問を持っている人は多いかもしれない。それでは実際の生活の現場で、何を選ぶ物差しにすればいいのだろう。環境に配慮し動物実験をしない化粧品類を作っているミス・アプリコットの久下さんに、石けんと合成洗剤の間に埋もれている事実と、それを見通す視点について伺った。


アミノ酸シャンプーって?

--- ミス・アプリコットでは石けんシャンプーの他に、アロマテラピー用の無香料シャンプーとしてアミノ酸シャンプーを使ってますね。前回のパラベンのお話の中で、長い期間使われてきたものの方が、危険性も含めて性質がよくわかるので使いやすいといわれてましたが、アミノ酸シャンプーも長いこと使われてきたものなんですか。
久下● これももう20数年使われているものです。
--- よく環境にも体にも石けんシャンプーがいいと言われますけど、実際にはけっこう皮膚が荒れるという話も聞きますね。どうしてなんでしょうか。
久下● そうなんですよ。それも使い方がこつがいるというのもあるんですね。合成のシャンプーを使っていた人が急に石けんに代えようという時に、髪が傷んでますから、その傷みを押さえる物がなくなるから必ず出ちゃうんですよ。そうするとほんとは自分の髪が傷んでるんだけど、石けんシャンプーのせいで傷んだと思っちゃうんです。石けんシャンプーを使って髪がガサガサになったという人は、元々ガサガサだったんですよ。すると髪が全部生え変わるまで時間がかかりますから、その期間ガマンできるかということですね。それで実際に石けんシャンプーの使用者ってまだ数パーセントですから、まず合成シャンプーを止めてもらって、少しでもいいものに代えてもらう段階として、こういうものが必要だと思うんです。
 それともう一つ、アトピーの人とか皮膚の弱い人など、石けんのアルカリに過敏反応しちゃうんですよ。ふつうの人なら問題にならないんですけど、表皮のプロテクト機能が壊れていると、石けん程度のアルカリですらぴりぴりしたり傷みが出て使えないという人がいるんです。うちでは初めは石けんシャンプーしか作ってなかったんですが、そういう人から「合成シャンプーを止めたいんですが石けんシャンプーも使えない」と言われたときに、うちとしては今のところ使える物はありませんと言うしかなかったんです。それが辛くてアミノ酸シャンプーを作ったんです。
--- アミノ酸シャンプーというのは、いわゆる石油化学製品ではないけれども合成したシャンプーということなんですね。(*「アミノ酸」にも他種類あって、最近では石油から合成されたものもあるらしい)
久下● ええ。「テラベルデシャンプー」はサトウキビからグルタミン酸をとって、そのアミノ酸を洗浄成分として使用したものなんです。だから石けんではなくて化学的に合成した洗剤です。でも昔は石けんと合成洗剤って極端に別れてたんですが、今は合成洗剤が石けんに歩み寄ってるというか、分解速度が速くなったり環境負荷が低くなってきたり、毒性の低いものが開発されたり、第二世代の石けんといわれるものが出てきているんです。だから一概に合成洗剤だから悪いという線引きがしにくくなってきてる状況です。

合成洗剤の正確な位置

 今、市販されて多くの人が使っている合成洗剤というのは、いろんな添加物が入っていて、コーティング剤とかあわ立ちを良くする発泡剤とか、要するにごまかすためのものですね。うちは「植物だから安全だ」という言い方もしたくないし、石けんは確かに食べても安全かもしれないけれど、かといってそれが全ての人に使えるかというとアルカリ度で使えない人もいるわけですから、無理矢理使わせることもできない。ほんとにアトピーの人が増えてきましたからね。アミノ酸のものは刺激が低くて、毒性も限りなく低い物を選んで使ってるんです。これは石けんの分解速度が2〜3日とすれば、このアミノ酸は1週間くらいで、でもABSとかは1カ月かかってたわけです。間にあるものが今すごく増えているわけで、これらが全て安全かと言われると一つ一つ検討していくしかないんです。
--- 大手メーカーなどではヤシ油など自然の原料をつかっているから安全だと宣伝していますけど、あれはイメージ戦略なんでしょうね。
久下● そうですね。まあ何を原料としていても、今は化学合成品と同じ性質のものができるわけですね。界面活性効果の高い物は浸透性や毒性も強いことが多いわけです。そのへんは一つ一つ原料を見なくちゃわからないので、普通の人には非常にわかりにくくなっています。だからほんとに真実を見ようと思うと、ものすごく勉強しなくちゃいけなくなっているんです。
--- ふつうの消費者にはわかりにくいですね。たとえばさっきの2500種の成分(化粧品の原料=前号参照)を表示されてもわからないと思うし。
久下● ええ、でも表示されていれば、わかりたいと思う人や被害に遭った人は避けようがあるということです。
 今は同じアミノ酸といっても、石油からも合成できるようになってきたらしいんです。だから何から作られていてどういうものかっていうのは、メーカーに聞くしかないんですが、正直に言うメーカーがどれだけあるかという問題があります。だからもう、信頼のおけるところを探すしかないでしょうね。
 石けんというのは組成も単純で、色素や防腐剤など余分なものさえ入っていなければ害はないのですが、合成洗剤というのは石油原料のものからヤシ油原料のものまで、製造方法も組成もものすごく幅があってほんとに毒性の強い物もあるんですよ。だから石けん推進運動などでは判別の難しい合成洗剤の方を全部否定する方向に偏りやすいんですね。たしかにそれはわかりやすいし安全なんです。そしてこれまでは原料の精製技術も未熟で不純物がたくさん含まれたりして危ないものも多かったんですけど、今では技術も進んできているので、技術者に言わせると植物オイルみたいな不安定で入ってくる度にレベルが違うようなものよりも、精製度のいい流動パラフィンの方が安全だという意見もあります。



無添加・自然派化粧品が危ない!?

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