2001年11月2日   



 既に知ってる人と、まだ会ったことのない人との区別がなくなってきている。この3ヶ月の間に、北は青森から南は九州まで、計36回のコンサートツアーを無事終了して、今は千葉の友人宅。荷物の整理をしつつ今後の流れを考えつついろいろ手配しているが、今の関心事は、私の中に産まれている今後のコンサートに望みたい音作りを共にやれるミュージシャンとの出会い。次に、日本をツアーするのは、アメリカからオーストラリアを経た来年の初夏頃だと想定している。まだ先の話だけど、11月末にアメリカの人里離れた山の家へ帰る前に、私の中にあるイメージを確認できる出会いが欲しい。
 6才になる八星は、なぜか私と二人っきりになると思い出したように「ラウンドハウス(カリフォルニアの山の我が家のこと)に帰りたい」と言い出す。私の心も、あの静けさ、見渡す限り誰もいない草原のすがすがしさを恋いしがっている。けれど、同時に私の求め始めた細やかでシンプルな音と空間を共に紡いでくれる、そんな人ともこの日本で出会っておきたい。
 そんなわけで今日は、友人の閃きに従って、まだ会ったこともない、そして私自身は音も聞いたことのないミュージシャンに電話してみた。思い立つと、行動まで早いのが本来の私のようだ。
 先頃、九州のコンサートツアーを思い立った時、やはり友人の紹介で未知の人達に電話してあつかましくもコンサートの企画を依頼したのだが、依頼された方々は、見知らぬ私に応答しつつ多少の緊張やとまどいを隠せなかった。私も申し訳なくて、やっぱりコンサートは依頼される所だけ出向いてゆく方がいいかな、と反省したのだった。ところが九州のコンサートツアーは、6カ所各々に味わい深いコンサートとなった。主催してくださった方々とは、昔からの知り合いのような深いつながりを感じた。未知の間柄でありながら、必然としか思えないつながりの確かさ。行きたいところへおしかけコンサートして、それでも許され愛されてる、申し訳なかったけど、とってもありがたいことです。
 そんなわけで、今回も思い立ったらそのまま見知らぬ方へ電話してしまった。ところが、その方は少しも動じることもなく、のんびりと親しみ深く、私の興味にていねいに答えてくださいました。近いうちに、その方の音楽も聴かせてもらえそうです。
 ところで九州は、天草で10/20に泳ぎましたよ。海水はまだ暖かく、美しい色とりどりの魚の群に見とれました。何度か書いているように、私は泳ぐのが大好きなんです。いつか、美しい海のそばに住んで、毎日、海の中を散歩するように泳げたら幸せだろうなあ。イルカ達とは今回、会いそこねました。次回の天草でのお楽しみにとっておきます。九州の旅は、熊本、長崎、天草、秋月、飯塚と、各々に忘れられないシーンがあります。そのうちに書きたいと思ってます。本当のことを言うと、36回のコンサート、各々に書きたいことがあるんですよ。今回は、移動や子ども達の世話、麻のクラフトを旅の間も編み続けていたり、忙しすぎて、旅の間の報告まで手が出せませんでしたが、次のツアーでは、もっとていねいに報告したいです。日本中に素晴らしい方々と場があるんです。                (吉本有里)

11.4はらっぱ祭りで