2003年 9月 20日 京都 一人の純粋な想い



今回のコンサートツアーは8日で7ヶ所。新宿から始まり、米子〜松江〜大阪〜京都。5ヶ所目の昨夜は、京都は法然院にスタッフも合わせると100名近くが集まり、手入れのゆきとどいた庭や池から風と虫の音を感じつつ、雰囲気も音響もスタッフもばっちりのコンサートになった。千葉からギターで下村誠さん、地元大阪からはアイリシュハープの岡部光行さんがサポート。3人の音質やバランスを調整する音響の大久保歩さん(智佳子さんのパートナー)の腕も確かで、歌い手としては細かいところまで表現可能な恵まれたコンサートだった。

コンサートを主催してくれた大久保智佳子さんとは今年の春、京都のカフェと中華店でのコンサートに続けて足を運んでくれたことで出会った。カフェでのコンサートに感動し、2回目に来てくれたのが中華料理のランチ付きコンサートで、お客さんが3人しかいなかった上、中華料理の揚げ物の音が盛大にしてるという状況でも(そんなことはめったにない)ベストをつくして心をこめて歌う姿に、「いい雰囲気の中で有里さんの歌を多くの人に伝えたい」と彼女の心が燃え立って、コンサート企画を申し出てくれた。初めて、コンサート企画したにも関わらず、彼女の中に最初からあったイメージを崩すことなく彼女の考えうる「コンサートとしてのいい環境」を整え、口コミで呼びかけ人の輪を繋いで100名を集め、わたしがサポートを依頼したミュージシャンたちにもギャラを支払ってくれ、ほんとにありがたかった。彼女自身、このコンサートをひき受け、現実を動かしたことで自分自身を枠を広げ、心を育てる生きた勉強になり、パートナーとのコミニュケーションも育ったと言ってくれている。

米子のコンサートを企画してくれた和田さんとも、今年の7月の末の倉吉のコンサートで出会ったばかり。コンサート後、打ち上げの流れで倉吉の主催者の家に一緒に泊まり、交流を深めた中で、「米子でも歌って欲しい。」と申し出てくれた。和田さんも「コンサートなんか企画したこともないし、人のために動いたこともない。でも、有里さんの歌を米子で、100人の人に聞かせたいから来て欲しい。」と2ヶ月でコンサートを準備した。

想いのこもった二人の企画したそれぞれのコンサートを通じて、たった一人の純粋な想いから始まる動きが、人を動かし大きな輪となってゆくという事実を改めて感じた。経験豊かであることよりも、動機が純粋で願いが込められていることが、人を動かしてゆくし、限界がない。「有里さんのためにやっているのではない。自分のためにやるんだ。」というのが智佳子さんの書いた文章の中にあるが、彼女の書いた「なぜコンサートを企画したのか」を読んで、わたしを知らないにも関わらずコンサートへ来る気持ちになった方も多かったようだ。

肩書きではなく、ほんとうの気持ちをありのままで公表するだけで、その中に込められている純粋な想いは人に伝わってゆく。米子でも京都でも、純粋な想いが発信地であったために、人数のみならず人の心がひとつになり深いところで感応しあえる場が成立していたように思う。

目には見えないことではあるけれど、動機や想いから現実が形作られてゆく。現実に縛られず自分を制限せずに、本当にそうありたい状況を自らの心の内に、ありのままに受けとめ怖れずそこへ向かってみよう。

智佳子さん、和田さんありがとう。わたしもメッセージを受け取ったみたいです。