2003年
5月1日 京都




昨夜は、3月のコンサートに来てくださって出会ったばかりの大久保さんが、京都駅に迎えに来てくれて、彼女の自宅の素敵な和室で眠った。きょうは京都は白川の中華料理店にてコンサート。

4月17日、いまにも咲きはじめようとしている長野の自宅の桜の木に名残を惜しみながらコンサートツアーに出てきた。帰った頃には散ってしまっているだろう。動き出した車を一度止めて降り、桜のつぼみに手をのばしたわたしの姿を、81才になられる隣の守屋さんが、鍬をふるう手を休めて畑からじっと見ておられた。晴れた田園に川の流れる音が響く。東京の高層ビルを高速バスに揺られ、通化した時「守屋さんは、この風景を見たことがあるだろうか?」という思いが、よぎった。同じ日本でも場所によって風景も時間の流れもまるで違ってくる。

新宿では出版社”ほんの木”の代表 柴田さんが待っていた。2時間程お話してから、コンサート会場である小金井市の基さんのお宅へ。今年は本も書くことになりそう。集中する時間さえとれれば書きたいことはたくさんある。書くことは自分を知ることでもあるし、じっくり書きたい。楽しみにしててくださいね。

下高井戸にあるお寺ほんのう寺ではタイの草木染めで自然な服をデザインするうさぶろうさんの服の展示即売会でコンサート。横笛とパーカッションのデュオ 甲斐さんとカオンさんと共演。上人さんをはじめ会いたい人達に囲まれ心が満ちた。甲斐さんたちとは、別れがたい気持ちがあり5月か6月に彼らの千葉の自宅でレコーディンクすることに。これまた楽しみ。ほんのう寺には”祈る”心を媒介とした素敵な出会いがある。今回もお寺のお勤めに参加させていただいた時、念仏が胸の隙間にぐんぐんと入ってきた。不思議。東京〜熊本〜小倉〜させほ〜長崎〜広島を経て、今は京都。今回も、またいっそう深く穏やかな出会いの旅。

この2年は、日本ばかりでなく海外も含めて、各地で出会いと別れの繰り返し。何度でも会える人もいれば一度しか会えない人もいる。オーストラリアの山深い家で会った家具職人のフランクは、別れ際「わたしの命は、もうあまり長くないからね。」とぎゅっと手を握り、目の奥を捕えるようにのぞきこんだ。

こどもたちが長野の自宅から学校へ出かける時、スクールバスの停留所まで見送りに出る。朝のさわやかさが田園風景に満ちていて、見送った後は、その日にいただく野草など摘みながら坂道をくだり家に帰るのだが、バスに手を振り見送る一瞬、胸が熱くなっている。なんだか、このごろとても感じやすい。こどもたちは今ころ、父親と四国をツアーしてるはず。今回は20日間、家にいる間しっかり、こどもたちとつきあったから、離れてる彼らのことが気にならない。でも愛してるなあと思う。

4月11日の午後、突然、あの世に旅立ってしまった隣人の存在がわたしの歌に影響を及ぼしている。歌う時、目の前のお客さんにむかって歌っていた気持ちの枠が広がって、見えない世界にむけても歌い始めた。おのずと響きは外ではなく内側へ。直接、想いを外へ放射するのでなく、一度、体に響かせてから外へ。おととい広島のコンサートにご両親と一緒に来てくれた脳性麻痺の4才の男の子が、コンサートの後、文字版を通じて話しかけてくれた。「浮かれた歌をたくさんありがとう。友達はもう、次の段階の準備をしているよ。また会えるよ。死は悲しいことじゃないから泣かないでね。」って。彼は不自由な体の中に、この世の枠にとらわれることなく開かれたままの魂を載せてるらしい。心がふっと軽くなった。

福岡は飯塚ではコンサートの合間に瀬田先生の主催する瞑想会に参加。瀬田先生は、泌尿器科の医者であったけれど、水や竹炭の研究を通して、医療行為に変わる自然な治療法に行きつかれ、今はカウンセリングやヒーリング、瞑想会の主催、竹炭の普及に努められている。今回、先生が阿蘇、小倉のコンサートに来られ、わたしが飯塚の瞑想会に参加した流れの中から、5月の末、瀬田先生を長野の自宅に迎えて、初のイベントを伊那市で企画することになった。全ては自然に流れていく心のままに、決めていることだが自分でも思いもかけないことの連続。5月31日美容室のフリースペースをお借りして瀬田先生のお話「水、波動、癒し(仮題)」とコンサート、カウンセリング&ヒーリング、瞑想の集いを企画します。お代は”お志”で。よかったらいらしてくださいね。必要なら宿(ロッジ)も紹介しますね。これまたとっても楽しみ。

去年の6月くらいから朝目覚める時、わたしのハートの鼓動がはかなく、胸が痛いと感じるようになった。おとといの夜、胸が苦しくなった時、気がついた。「全ての鍵はハートにある」そう、出会いと別れの繰り返す毎日に、開いたままのハートが満ち足り、宇宙への信頼と自分自身への愛に 静止する その時 宇宙は胸に流れこみ なにかが開かれるのかも?

5月3日と4日は大阪は茨木市まだま村。5日は長野は望月、太陽の村。6日には山室の自宅へ帰る予定です。