2002年7月6日
   鳥取 智頭町 フォレストエリア用瀬



 
夕方、今夜の星空コンサートの会場に着いた時、雲行きがあやしく、さてどこで歌ったものかと悩みつつPAの設営をはじめることとなった。
でも、あたりは山に囲まれ、美しい小河も流れ最高の環境。こんな山奥でコンサートをして人はくるのだろうか?いや、くるに違いない。だって、何度か携帯にかかってきた古谷さんの電話はコンサートの企画会議のさ中からで、企画を楽しんでいる空気がいつも伝わってきていたもの。
でも、この天気はもしかして台風?なんとなく言葉少なに、コンサート会場は準備された。ここは貸し別荘村。長年サラリーマンをしていた菊川さんが田舎暮らしの夢を抱いて建設された。
何度か、わたしたちのコンサートに来てくれていた古谷さんとなおみちゃんが前々から智頭町で、コンサートをしたいといってくれたのがやっと実現したのだ。なおみちゃんはこの近くの藁ぶき屋根の古い民家で3か月前から野土花(のどか)という喫茶店をはじめている。「町から離れた昔ながらの小さな村落の中で喫茶店を始めるの。きっと、あまりお客さんも来ないだろうからしばらくゆっくりするよ。」なんて言ってたのに、ひっきりなしのお客さんで賑わっている。遠くから来てくださってるとのこと。やっぱり、今の時代は町から遠くても本当に落ち着けるとこならお客さんはくるんだなあ。

曇空、風が強く、雲が走るように流れる空を見上げながらカリフォルニアの森の歌を歌いはじめた時、視界に広がる杉の木々からエネルギーが伝わってきた。そして、それまでは聞こえてなかった鳥たちのさえずりがくっきりと存在感を浮き立たせた。
野外で歌うと、全然違う。多様な命のつながりが流こんできて、今という一瞬が輝きだす。

コンサートは、強風と雨で、さすがに途中で、みなさんに屋根のあるところへ避難していただいた。強風の中、傘をさして側に残った人や雨をものともせず動かない友人もいた。マイクは風の音をひろい、かみなりのようにうなっていた。最期までコンサート続けられるかなあ?と危惧はしたけど誰も帰らなかった。
気持よかったなあ。風に煽られマイクスタンドが倒れないようマイクを握って歌ってたあの時、わたしは風や雨とひとつになり、今その瞬間を歌っていた。あらしの中の野外コンサートがこんなに素敵だなんて知らなかった。
リスクをおかしても野外コンサートを企画してくださった主催者と、最期まで一緒にコンサートを盛り上げてくださった聞き手のみなさん、ありがとう。ほんとに楽しかったね。ちなみにコンサートの後、風と小雨に吹かれながらも、バーベキューをしたよ。その時何人かの人が言ってたけれど、コンサートの途中で虹が出てたそう。わたしは見れなかったけれどきっときれいだっただろうな。そして、さすがに疲れたわたしが宿のロッジに入った後、こどもたちと何人かの大人たちは風の中で花火をしていました。来年もここでコンサートやろうという話もでています。そしたら、みなさんもいらしてくださいね。いつかは星空の日もあるでしょう。「一度、あらしをやっておけば、恐いものはない。」と菊川さんの弁。

野土花(のどか)08ー5875ー3017
フォレストエリア用瀬(ロッジ)0858ー75ー4051