ヒ ト D N A の 中 に エ イ リ ア ン

遺 伝 子 を 発 見 !!


地球外生命体の遺伝暗号がヒトDNA中に存在!?

―「科学者グループがヒトDNA中にET遺伝子を発見!」
 インターネットのオンライン紙『カナディアン・ナショナル』にそんな衝撃的なトップ 見出しが躍ったのは、2007年正月早々のことである。記事の内容は確かにショッキン グで、キーポイントはこうだ。「ヒトゲノム・プロジェクトに従事する研究者グループの リーダー、サム・チャン教授がこのほど発表したところによれば、ヒトDNAの97%を占 めるノンコーディング・シークエンスは、地球外生命体の遺伝暗号以外の何物でもない、 との驚異的結論に導かれた…」
 国際ヒトゲノム・プロジェクトは2003年に解読作業の完了が宣言され、ヒトの遺伝 子数は推定3万2615個と一旦発表されたが、さらに解析が進むにつれて個数が減少し 、翌年には推定2万1787個と1万個以上も激減してしまった。(ちなみに現時点では 、ウニの遺伝子数は2万3300個とヒトとほぼ同じ、イネの遺伝子数は約3万2000 個と、はるかに多い推測値)

 ノンコーディング・シークエンスというのはヒトに限らず、どんな下等生物も含めて地 球上の全生物のゲノムに共通して存在する“遺伝子情報記述不明領域”のこと。意訳すれ ば、“解読はできたが、機能は不明の塩基配列”ぐらいの意味になる。俗に“ジャンクD NA”という通称で知られている部分を指す。当初は文字通り“生物進化の途上で無用に なった遺伝子の残骸”と見なされていたが、近年は“機能は分からないが、生命活動で何 らかの重要な働きを持つ有用な部分”との見方が強くなり、ジャンクという呼び方は適切 ではないともされるようになってきた。
 それがET遺伝子かどうかはともかく、ヒトDNAの97%が“遺伝子情報記述不明領域 ”ということは、残り3%の遺伝子記述明瞭領域に、現在約2万2000個とされるヒト 遺伝子が存在している勘定になる。

 チャン教授はこのノンコーディング・シークエンスについて、こう表現してみせる。
「ヒトDNAの圧倒的大部分を占める“ETジャンク遺伝子”は、一生懸命働くヒト遺伝 子にちゃっかり便乗して代を重ねてきた。ヒトDNAの内部に居座るこのエイリアンは、 いわば自前の動脈静脈を持ち、あらゆる抗ガン剤を強く拒絶する免疫系も備えている」
 チャン教授はさらに「このようなヒトの“ジャンクDNAは、太古のいつか、“ETプ ログラマー”のような存在によって創造されたのではないか」と想定して、次のような仮 説を立てている。
「高度な地球外生命体が、新生物の創造と様々な惑星への移植計画に従事した。地球もそ んな惑星の一つに過ぎない。おそらく創造者たちは我々をプログラミングすると、地球の 科学者がシャーレで微生物を培養するように、我々を育てたのだろう。目的や動機は分か らない。科学実験なのか、植民用の惑星を用意するためか、それとも太古の昔から進めて きた宇宙生命播種プロジェクトの一環なのか―」

 いずれにせよチャン教授と研究チームは、おそらく“ETプログラマー”たちが“大規 準”に基づきながらも、色々な惑星で色々な生物を創ろうとして、改良や改善の試行錯誤 を繰り返したようだと推測し、最後にこう結論している。
「ひょっとすると、“ETプログラマー”たちは、地球向けに組み立てられた理想的なプ ログラムが何らかの理由で最終期限に間に合わなくなって、やむなく見切り発車的な実行 を命じられた可能性もありうる。そのようなDNAプログラミングの拙速ミスの結果、我 々がガンとして知っている細胞集団の非合理的成長の苦しみを人類が負わされたのかもし れない」

 だが、この真実なら画期的大ニュースである一件が報じられてからしばらくすると、当 初から否定的な主流科学界はもちろん、UFOや宇宙考古学など直接関連する研究界から も、疑問の声が上がり始めた。たとえば“チャン教授”とは誰のことなのか? ヒトゲノ ム・プロジェクトの解析作業は、現在もなお各国の研究所や大学で進められている。オン ライン記事には、名前からして中国系の学者らしい人物の写真さえ掲載されている。だが 、これだけの手がかりとインターネット時代にもかかわらず、該当する科学者がどこから も捜し出せないのだ。
 アメリカの有力UFOジャーナリスト、リンダ・モールトン・ハウ氏は、ワシントン大 学ゲノム解析センターでヒトゲノム・プロジェクトのリーダーを長く務めた現ベイラー医 科大ヒト分子遺伝学部準教授のジョン・マクファーソン博士に、その点を照会した。
 だが、世界のヒトゲノム研究界に通じているマクファーソン博士も、“チャン教授”に ついては全く心当たりがないという。ジャンクDNAについては、ゲノム内の移動可能な要素で、普段は静かにしており、たまに暴れ出して病気を引き起こす、起源や由来は不明だが、基本的に我々と共存するウィルスみたいな存在と見なしている、とハウ氏に回答した。
 他にも多数のUFO研究家が、記事の署名者で、『カナディアン・ナショナル』共同編集者のジョン・ストークス氏に問い合わせてみたものの、取材源の守秘義務という名目で情報公開を拒否された。

 一方、実在の人物だとしても、問題の性質上、実名は明かせず、仮名を使わざるをえないだろうとの見方をする研究者も少なくない。地球上のETプレゼンス(地球外文明人の進出)の現実性を論じる宇宙政治学専門学者、前オーストラリア国立大教授のマイケル・E・サーラ博士もその一人だ。
「政府と軍がUFO/ET秘密政策をとり続けているとする陰謀論を前提とすれば、純科学的なヒトゲノム・プロジェクト専門家の関知しない極秘プロジェクトがどこかで進められている可能性はむしろ大きい」
 その場合、最も考えられるのは、この“チャン教授”のオンライン記事が、内部者からの機密情報の表出というよりは、一般大衆の反応を見る観測気球の目的と、近い将来のETコンタクト(文化接触)でパニックをきたさぬよう教育する目的を兼ねて、当局側から意図的にリークされた真実の一部という可能性だという。サーラ博士の見解では、仮に“チャン教授”の記事がガセネタだとしても、将来的にはヒトゲノム・プロジェクトがジャンクDNA=ノンコーディング・シークエンスの中に地球外起源の情報を特定し、いずれは公的機関がヒトDNAにおけるET遺伝子の存在を正式に認める日が来るだろうとしている。

 そんなサーラ博士の確信を何より裏付けるのは、現アリゾナ州立大学の物理学・宇宙生 物学教授、ポール・デーヴィス博士が2004年に提案した“ノンコーディング・シーク エンス=ETメッセージ”仮説である。DNAの中にET情報が隠されているという発想 は、エーリッヒ・フォン・デニケンら宇宙考古学研究の先駆者たちも早くから提唱したが 、専門科学者としては「超知性によって生命の種子が宇宙に播かれた」とする現代版宇宙 播種説の天文学者フレッド・ホイル(故人)が挙げられる。デーヴィス博士もケンブリッ ジ大学で博士号を取得後最初の研究で、フレッド・ホイルの指導を受けた愛弟子だから、 恩師の影響もあったに違いない。
 科学専門誌『ニューサイエンティスト』2004年8月7日号の寄稿文で、デーヴィスは次のように主張したのだ。
「DNAの分子はいわば生命の台本で、そのデータは4文字のアルファベットで記述されている。これは宇宙からの訪問者の名刺を保管するのにうってつけの媒体といえるだろう
。ヒトを含めたあらゆる有機体では、そのDNAの中に遺伝子が占める部分はほんの少しでしかない。残りの大部分は一見、生物学的にはチンプンカンプンに見えるので、しばしば“ジャンクDNA”と呼ばれる。そこにはETがいかなる致命的な遺伝記号も傷つけずに、分子的メッセージを刻みつける余地がたっぷりある」

 デーヴィス博士がジャンクDNAに着目した理由は他にもある。長い歳月、世代から世代へ伝えられる間、ほとんど変化しない利点があるからだ。
「そのようなメッセージはどのくらい長期間生き残れるだろうか? DNAの塩基配列は突然変異にしょっちゅうかき回される恐れがある。ところが、最近アメリカの科学者たちは、ヒトとマウスのジャンクDNAの集団が事実上、何千万年も無変化のまま残されてきたらしいという新事実を発見した。どうやらそこはメッセージの保管場所に最適らしい」
 博士はさらに、この方法の長所をこう指摘する。
「この方法が何よりいいのは、ET自身がメッセージを届けにわざわざ地球までやってくる必要がないことだ。ジャンクDNAの多くは。進化の途上でウィルスによって挿入されたゲノム破片から構成されている。ET文明はほんの少しのコストで、特注のウィルスDNAを満載したパッケージを銀河空間に送りだすだけでいい。このメッセージの運び屋は、やがて出会う相手のDNA型生命体を害することなく感染するよう設計されているのだ」

*写真・図版は学研『ムー』他より転載


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