2012年地球滅亡!?(後編)

 太陽では2008年以来、太陽黒点がごく少ない状態が続いている。
 黒点の数は11年周期で極小〜極大期のサイクルを繰り返しているが、ここ数年、その周期に大きな異常が起きている。本来なら極小期に当たるはずの2007年、黒点は減らず、6月には史上最大規模の太陽フレア(磁気嵐)が発生。さらに2008年からは増加に転じるはずなのに、逆に黒点が一つも現れない状態が続いている。
 黒点が少ないと何が起きるのか。暗い染みのない太陽は通常より明るくなりそうだが、実は反対に太陽から地球に到達するエネルギーは減るという。実際、過去にも黒点が少ない時期(マウンダー小氷期と呼ばれる17世紀後半)があり、気温の低い小氷期と重なることが知られている。この現象を前に、一部の学者からは地球の気候が寒冷化を迎えるのではないかという予測も出ている。昨日まで叫ばれていたCO2増大による地球温暖化の危
機はどこへいったのか? つまり、太陽活動が弱まると地球が寒冷化するというのは、逆にそれが強まれば地球が温暖化すると言っているのと同じことだ。実際、太陽活動が活発だった2003年〜2005年にかけては、世界的に温暖化と猛暑が顕著に現れていた。
 昨日までは地球はCO2の増加で温暖化していると主張していた学者らが、太陽活動の弱まりを見て、今度はそれによって地球が寒冷化するのではと言っているのだ。言っていることが矛盾しているが、学者らも予期せぬ事態に混乱しているらしい。
 従来の核融合を中心とする太陽理論では、今回のような太陽の状態は説明や解釈がつかないのだろう。
 太陽の黒点活動の弱まりによって、地球の気候の寒冷化が予測されたものの、今が夏の南半球のオーストラリアでは、炎天の猛暑と干ばつで、最大規模の山火事に見舞われた。
 北半球の日本でも、2月にセ氏25度以上という気温を観測するなど、例年にも増した暖冬となっている。太陽の状態いかんに関わらず、温暖化というより地球大気の高温化というべきものが進行しているようである。
 こうした太陽の異常はNASAなど多くの研究機関が問題視している。次の極大期は2011〜2012年頃がそのピークと予測されているが、いずれにせよ、このまま黒点が出現しない可能性は極めて低いという。現在の不気味な沈黙が、次の活動期に向けた“爆発的増加”の予兆だとすれば、近い将来、有害放射線を含んだ太陽嵐がかつてない激しさで地球を襲うかもしれない。
 2009年の初め、NASAがある事実を公表した。人工衛星『テミス』の観測によれば、太陽が放出する粒子線を防ぐシールドである地球の磁気圏に巨大な亀裂が生じていることが明らかになったというのだ。これについてはカリフォルニア大学を中心とする研究グループが、「太陽活動が次のピークを迎える2012年頃、粒子線は地球の磁場を攪乱し、人工衛星や地上の電気などに深刻な影響が発生する」と警告している。
 また、地球周辺では想定外の強力な“宇宙線放射現象”が起こっている。2008年9月9日、ESA(欧州宇宙機構)が打ち上げたGPS衛星「ガリレオ」の2号機「Giove―B」が異常を感知してセーフモードに移行していたことが判明した。同年9月24日に復旧したが、原因は想定外の高エネルギーの宇宙線の照射を受けたため、電子機器が機能不全に陥ってしまったのだという。また、9月28日にはNASAの「ハッブル宇宙望遠
鏡」のデータ送信システムも、突然ダウンして機能不全に陥っている。これもやはり高エネルギーの宇宙線の影響ではないかと見られている。


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