SERIES(4)  太陽系エイリアン・ベース
PART・3 火星の真相と超巨大UFO(続き)


火星の大気圧

 火星の空は赤い―NASAは30年来そう言い続けてきた。だが、最近になってNASAの動きが変わりつつある。徐々にではあるが、火星の水の存在や生命の存在を示唆し始めている。空が赤くないことが証明されたことにより、火星の大気圧や水蒸気の含有量も根底から考え直す必要性が出てきた。
 この方針転換は、世界各国が火星に探査機を送り込む技術を持った現在、もはやNASAだけが火星の真の姿を独占し続けることが難しくなったことを物語るものかもしれない。事実、ヨーロッパのマーズ・エキスプレスの撮った写真では、これまでのNASAの探査機では見ることのできなかった植物を思わせる緑の地帯や、水を示す青い色が公表され始めたのだ。

 これまでに公表されている火星の大気圧データ(7〜8ヘクトパスカル。地球は1013ヘクトパスカル)では、水の沸点が氷点と等しくなるため、水は氷から直接水蒸気となってしまい、液体の状態では存在することができないとされている。しかし、火星の地表に見られる壮大な侵食地形は、大洪水の結果作られたものとしか説明できないものだ。
 過去の火星に温暖な時期があり、大量の水が存在できたならば、水が失われた原因は、蒸発か、地下に蓄えられたか、あるいはその両方ということになる。
 その時、おそらく大量の水蒸気が大気中に供給され、大気圧が急上昇したことは容易に想像できる。水の痕跡が確認された時点で、7ヘクトパスカルとされる火星の大気圧は疑問視されてしかるべきだったのである。
 では、現在の火星に液体の水は存在しないのであろうか。従来のNASAの探査機からは、水そのものをとらえたような画像は送られてきていない。しかし、ESA(ヨーロッパ宇宙機構)のマーズ・エキスプレスからの画像には、水の存在を思わせる写真がいくつもあるのだ。

 それでは、実際の火星の大気圧はどのくらいなのだろうか。NASAの公開したデータに基づき、大気圏突入のシミュレーションを行い、大気圧データの矛盾点を指摘した研究結果がある。NASAはマーズ・パスファインダーが大気圏に突入した後、探査機が受けた大気による制動力のグラフを公開している。このグラフから秒速7.5kmで大気圏に突入した探査機は、空気摩擦による制動力を受けて110秒間で急激に減速する。そして、パラシュートが開く163秒後までに、空気中での一定の落下速度に近づくということが分かる。しかし、大気密度分布のグラフを基に、大気圏突入高度、突入角度、初速、探査機の重量など、NASAの公開データで実際にシミュレーションすると、NASAが公開している制動力のグラフとは全く異なるグラフとなった。
 公表されている大気密度ではグラフのような制動は得られず、パラシュートが開く時間にはすでに超音速で地表に激突してしまっているのだ。これは、NASAの公開する制動力グラフが間違っているか、それとも計算に使ったパラメータが間違っているかのどちらかである。試しに、NASAの制動力グラフの各パラメータを変えていくと、グラフの点線のように修正することによって、探査機が激突しない制動力グラフを描くことができた。そして、この時の火星の大気圧は1立方メートル当たり421グラム(330ヘクトパスカル)ということになった。

 火星を周回する最初の探査機となったマリナー9号。そのカメラが捕らえた火星の巨大な砂丘を見た科学者は、7ヘクトパスカルの大気圧で砂を運ぶために、地上では秒速300メートル以上もの風が吹き荒れていると見積もった。ところが、バイキング着陸船が1年間を通して記録した最大風速はわずかに7メートルだったのだ。科学者は、大気圧を7ヘクトパスカルとする限り、どうしても地表から砂を浮き上がらせることができないジレンマに頭を抱えていたのである。仮に大気圧が330ヘクトパスカルとすれば、地球上にたとえれば高度7000メートルに相当する。こうしたシミュレーションから、火星表面の大気圧が地球の高地程度の気圧を持っていることはほぼ確実になったといえる。火星上で生命が存在するには十分な条件であると考えられるのだ。
 NASAが惑星探査の成果として、生命の存在を否定するデータを公表し続ける裏には、他惑星の環境、生命、ひいては知的生命活動の痕跡全てを独占したいという思惑が見え隠れしているような気がしてならないのである。


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