米国大統領とUFO問題の深相 (その2)


ケネディは邪魔な存在だった

 ジム・マースをはじめとするUFO陰謀論者の主張によれば、同じようにUFO問題を問題を真剣に受け止めながらも、公僕として原則的に情報公開主義に立つケネディと秘密主義を取るCIAは、真っ向から意見が対立した。後年、情報公開方に基づいて、請求運動が実って解禁された以下の2つの文書がそれを裏付けている。
 ケネディ大統領がCIA長官ジョン・マコーンに宛てた“国家安全保障に関わる全UFO情報の機密解析”という内容の覚書には、次のように明記されている。
「誤認に起因するソ連との無用な衝突の回避には、不明物体と既知物体の明確な分類が重要である。よってCIAと空軍の“不明物体”情報をNASAに速やかに引き渡し、1964年2月1日の期限までにホワイトハウスへ進捗情況を報告せよ」

 むろんCIAは、そんな命令に従う気は毛頭なかった。一方、マサチューセッツ州ボストンに建てられたジョン・F・ケネディ図書館で、後年発見された国家安全保障行動覚書271 号「宇宙問題に関するソ連との協力」には、NASA長官ジェームズ・ウェッブ宛てにこう指示を出していた。
「月面着陸など各技術計画を含めて、宇宙分野におけるソ連との具体的協力の推進を、政府部内において責任をもって先導せよ」
 いずれの文書の作成日も、1963年11月10日、ケネディが暗殺されるちょうど12日前の日付だ。ジム・マースら陰謀論者たちは、これはけっして偶然ではないとして、こう主張する。
「世界支配とUFO技術独占と、自己利益拡大が最大目的である軍産複合体と、“見えない政府”が、国家政策を180 度転換させて、敵対勢力(UFO、エイリアン)との平和的協調路線を取ろうとするケネディの存在が邪魔になり、排除―抹殺する対象とした―」

 だが、これだけだったとしたら、状況証拠をつなぎ合わせた仮説・憶測に過ぎないと否定論者からあっさり一蹴されても仕方がないだろう。確かにケネディ大統領は、暗殺当時、四面楚歌の状態だった。キューバ侵攻を阻止した結果、CIAを敵に回し、ベトナムをはじめ世界中のアメリカ軍を縮小しようとしたことで軍を敵に回し、南部の石油利権に課税することで石油メジャーを敵に回し、加えてマリリン・モンローとのスキャンダルで弱みをFBIに握られていた。そうした中で、さらにUFO(エイリアン)の存在を公表する演説を予定していたとしたら、CIAならずとも、何としてもそれだけは阻止しなければならないとする力が働いても不思議ではない。

 狙撃犯とされたオズワルドは、逮捕2日後にジャック・ルビーに射殺される。そのルビーは、オズワルド殺害に第三者が関わっていたことをほのめかし、ワシントンの刑務所に移してくれたら真相を話すと語った後、オズワルドが運び込まれた病院で死亡した。
 さらに暗殺の目撃者21名全員が次々と変死する。彼らの一部の証言により、逮捕された2人はCIAの工作員と、例のMJ―12のメンバーだったという。
 ケネディ暗殺を調査したウォーレン委員会は、10カ月の調査を行い、1964年9月末、最終報告書を提出。ケネディ暗殺はオズワルドの単独犯行であり、他にいかなる個人、団体、国家の共謀を示す証拠は発見できなかったと結論づけた。しかし、報告書の内容には幾つもの矛盾があるばかりか、全文公開はされず、2039年まで封印されることになった。つまり、1963年当時のケネディと関わりのあった人間が、この世からほぼ完全にいなくなるまで、調査結果を公開できないということだ。この決定は異例の極みであり、異常なことだ。それほどまでに隠しておかなければならない事実、真実とはいったい何なのか。
 秘密の壁が厚ければ厚いほど、それは否応なく人々の憶測と想像力をかき立て、それをテーマにしたフィクションや諸々の陰謀説が広まる元となってきた。ウォーレン委員会が、どこまで真実を掴んだかは分からないが、当時、調査結果をありのままに公開していたら、そのメンバーらも命の保証はなかったかもしれない―。

“焼け焦げ覚書”の存在

 政府機関を相手取ったUFO情報公開請求運動の推進役を果たして、名を上げた研究家ティモシー・クーパーのもとに、1999年6月、「引退した元CIA諜報工作員」という匿名の人物から、焼却処分にされかけた機密文書―“焼け焦げ覚書”が郵送されてきた。
 差出人の同封メモによると、ニクソン大統領時代に上司の焼却処分命令に背いて、文書が焼け焦げる前に消し止め、救い出して隠匿したという。
 当の“焼け焦げ文書”に記されていた内容は、もし事実ならば、アメリカ政治史上最悪のスキャンダルと言ってもいい、ケネディ大統領暗殺に関して、“見えない政府”からの力が働いていたことを裏付けるものだった。

 この機密文書はAからHまで8ページあり、MJ―12特別調査委員会メンバーのうち、CIA長官である1から2以下、7までのメンバーに宛てられていた。
 焼け焦げてはいても、文章は容易に読み取れる。そこには「“ランサー”が我々の活動に対して執拗に尋問してくるが、これは許しがたい」とある。“ランサー”とは、直訳すれば「槍を投げる者」で、ここではケネディ大統領を指す隠語だという。
 一番重要な内容が含まれているのは、“最高機密(トップシークレット)/MJ12”と刻印されたページHで、要約すれば、次のようになる。
「―状況が当方の環境における成育を阻み、ワシントンに対してこれ以上影響を与えられない場合には、“雨を降らす”べきである」

 植物の成育に例えてはいるが、真の意味は「UFO情報を公開しろとうるさいから、ワシントン(ケネディ大統領)に対して、手を下すべきである」という指令と解釈できる。
 この“焼け焦げ覚書”が世に出るや、文書の真偽も含め、“MJ―12特別調査委員会”そのものの実在性を疑う論争も再燃した。政府や情報当局が否定したのは言うまでもない。
 しかし、数年後、「MJ―12文書」研究家のロバート・ウッド博士が、タイプ用紙の紙質や印字インクを分析にかけた結果、1960年代に使用されていたものと同質との鑑定結果を得て、“焼け焦げ覚書”の信憑性に太鼓判を押したのだ。
 ウッド博士は大手航空機メーカーのマクダネル・ダグラス社に43年勤務し、後半期にはUFO現象研究家としても知られるようになった。現在は、大手航空宇宙会社のCEOを務める長男ライアンと組んで、ネット上にMJ―12問題の専門のサイトまで開設している。
 しかし、どんな動かぬ証拠が出てこようと、政府や情報当局は、UFO(エイリアン)が、かつてのワシントン上空UFO飛来事件を上回るような大規模な出現でもしない限り、その実在をけっして認めようとはしないだろう。

現在も進行形、米国大統領とUFO(エイリアン)の関係

 第39代大統領ジミー・カーター(民主党・在任1977〜1981)は、“UFO大統領”の異名を奉られた史上初の大統領だ。州議会議員時代の1969年1月6日夕刻、ライオンズクラブの外で会合の開始を待つ間に、友人10人以上と共に“月より小さめの発光体”が接近と後退を繰り返すのを目撃シ、UFO団体の報告書に自ら記入して報告した。
 大統領選で「政府が隠す全UFO情報の公開」を約束した史上唯一の大統領でもある。
 当選後、情報公開法を活用しやすいように改正し、またCIA、FBIなどの政府諸機関から、数千ページ分のUFO機密文書を伏せ字だらけながら解禁・公開させたが、それ以上は政府や軍部内の強硬な抵抗に遭って実現できなかった。

 第42代大統領ビル・クリントン(民主党・在任1993〜2001年)は、ヒラリー夫人共々、UFO問題に強い関心を抱いていた。ホワイトハウス入りして間もなく、熱心なUFO情報公開論者のローレンス・ロックフェラーの要請を受け、政府と軍のUFO秘密政策を転換させる方針に踏み切ろうとした。大財閥ロックフェラー家の異端児ロレンスは、ロズウェル事件のドキュメンタリーを見てUFOに興味を持ち、政府部内の情報通からUFOの現実性と厳重な隠蔽方針を知った。1993年に創設された“UFO情報公開(ディスクロージャー)プロジェクト”も、ロレンスの内密の資金援助で始まった非営利民間事業という。だが、ロレンスの期待も空しく、元々軍や情報機関と折り合いが悪いクリントンは、最後まで彼らにははぐらかされ、ホワイトハウス詰めの女性記者の私的な質問に、力なく答えたという。
「政府の中に政府があって、私にもコントロールできないんだよ」

 来年1月に任期を終える現バラク・オバマ第44代大統領(在任2009〜2017)は、就任前の選挙キャンペーン中から、しばしば演説会場の上空にUFOが目撃された。圧巻は2009年1月20日、首都ワシントンでの新大統領就任式に飛来したUFOだ。CNNニュースのライヴ中継を見ていた全米の視聴者が、画面をよぎる高速のUFOに気がついたのだ。
 この物体の正体については“鳥飛行”説をとる研究者も多い。だが、コンピューター解析では、カメラの置かれた連邦議会議事堂から1.6 キロ離れたワシントン記念塔の向こう側を通過したように見える。だとするなら、物体は鳥よりはるかに巨大でなければならず、UFOの可能性が決定的に高くなる。

 大統領在任中の2012年3月21日、オバマがニューメキシコ州ロズウェルを公式訪問した際、スピーチで次のようなジョークから始めて聴衆の笑いを誘った。
「国中の9歳、10歳以上の子供たちからはしょっちゅう質問されます―ロズウェルには行ったか、みんなが言っていることは本当か―私はいつもこう答えます。もしそれを打ち明けたら、君には死んでもらわなければならない。するとみんなは目を丸くして…。そういうわけで、ここでは秘密を守ることにします」

 アメリカUFO研究界の一部には、これはただのジョークではなく、「政府の隠蔽政策は事実だ」という暗黙のメッセージと受け取る者もいる。

 アメリカのUFO研究界では、今年の大統領選でヒラリー・クリントンにUFO情報の公開を期待する声もあったように、今もホワイトハウスへの“UFO秘密政策撤廃/ET存在の公認声明”請願運動が展開されている。「ナショナル・ジオグラフィック」誌による直近の世論調査では、アメリカ市民の77%、実に4人に3人までが、UFOやエイリアンの地球来訪を信じている、との驚くべき結果が出た。この傾向は、アメリカのみならず、UFO出現のメッカの南米、ロシアやヨーロッパ、アジアの国々でも共通で、グローバルスタンダードになりつつある。
 日本人の常識では信じられないかもしれないが、日本ではメディアがUFOに関しては一切報道しようとしないので、真の情報から遠ざけられているのは、一般の日本人の方なのだ。

 米国・国防総省の情報機関NSA(国家安全保障局)のインサイダーからの情報源を持つ超常現象研究家、飛鳥昭雄氏によると、ケネディ大統領がUFO(エイリアン)の存在を公表しようとした裏には、ロズウェル事件の墜落UFOに残っていた〈エイリアン・バイブル〉の存在があったという。使用されていた文字は古代ヘブライ語だが、今日知られているヘブライ・アルファベットとは少し形状が違う。とはいえ、解読は簡単にできた。
 墜落UFOから発見された書物は、地球のものと同じ『(旧約)聖書』だったのだ。
 そして、地上の『聖書』にはない記述もあった。そこには近い将来、ある地球の異変に伴って、彼らが大挙して地上に帰還することが記されていた。
 さらに、そのエイリアンは、いわゆるグレイなどではなく、ホモ・サピエンスでモンゴロイドであり、本拠地が地球内部の核と重なるプラズマ亜空間に存在する天体〈内部地球〉であることが判明した。
 それを知ったケネディは、当時進んでいた宇宙開発の有人着陸目的地を火星ではなく月に変更することを、就任早々の1961年にライス大学で演説した。月に宇宙飛行士を送り込むことで、そこに基地を構えているエイリアンとの平和的遭遇場面を全世界に示そうとした―。

 そのため、初の有人月着陸のアポロ11号の船長は民間人の代表でなければならず、ケネディ暗殺後も、それだけは危機管理の理由から守られた。。軍人だったオルドリンが、なぜ民間人のアームストロングが船長になったのか分からないと嘆いた理由がここにある。
 ケネディは、人類が月に行けば、エイリアンの方から平和裏に近づいてくるはずだと確信していたという。なぜなら、彼らがかつて一度も地上を攻撃・征服しようとしてこなかったからだ。

 また、アポロ14号で月に着陸した宇宙飛行士の一人、エドガー・ミッチェルは、2001年5月9日にワシントンDCのナショナルプレスクラブで行われた「ディスクロージャー・プロジェクト(UFO暴露計画)の講演会において、「エイリアンは月を中継基地としており、すでに彼らは地球へ来ている」とまで断言している。

 そして今年になって、NASAが50年近くも機密扱いにしてきたアポロ計画における交信記録を公開した。それは、これまで封印されてきたアポロ船内の宇宙飛行士たちのやりとり、つまり“私的な会話”の記録である。ちなみにアポロ宇宙船には「DSE」と呼ばれるデータ記憶装置、通称「フラックボックス」が搭載されている。これは操縦席の音声と遠隔測定の記憶装置だが、そこに内蔵された14トラックテープには、宇宙船に関する様々な数値だけでなく、地上の管制センターとの交信が途切れていた時、つまり月の裏側にいた時に交わされた宇宙飛行士たちの会話が記録されているのだ。
 そして、今回機密解除された交信記録には、まさに月面上に存在するエイリアンの巨大構造物や、UFOらしき物体の存在を裏付ける驚くべき会話―情報も含まれていた。

 月の地表にある構造物とは別に、エイリアンの基地と住処の方は、その内部がほぼ空洞となっている月の地下にあるらしい。アメリカのペンタゴンは、月を周回する軌道に既に3機の孫衛星を配置している。表向きは何という名目であれ、真の目的は月のエイリアンの監視であろう。アポロの宇宙絵飛行士らは月で何を見たのか、そして月のエイリアンの活動目的は何なのかについては、情報を審査の末、またの機会に報告したいと思う―。

                      

 *写真・図版等は『ムー』2016年11月号他より転載


 

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