人はプラーナ(光)で生きられる(その2)

光と呼吸のみで生きる「ブレサリアン」

 「ブレサリアン」(breatharian)という言葉がある。ブレス、つまり呼吸だけで生きている人々をこのように言う。彼らは食事のみならず、水分さえもあまり口にせず、何年も生きているというのだ。にわかには信じがたいことだが、科学者たちによって、すでに何人かの存在が認められている。その一人、インドのケララ州に住む機械エンジニア、ヒラ・ラタン・マネク氏。1995年にヒマラヤ巡礼に出かけた帰り道から不食を開始した。マネク氏によれば、彼のエネルギー源となるのは日光だという。それを取り入れるため、決まって朝夕1時間ほど、瞬きせずに太陽を凝視する。
 日光から得られるエネルギーは、彼に幸福と活力を与え、疾病を遠ざけるそうだ。空腹も解消されるため、結果的に不食となると、彼は説明している。

 2000年から翌年にかけて、インド医療協会の21人の医師らによる24時間の監視態勢のもと、411 日間の不食生活を送った。また、2001年にはNASAの招聘を受けてアメリカへ渡り、科学者らの前で130 日間を過ごした。科学者らは、この現象を同氏の名前にちなんで「HRM現象」と名付けたという。
「太陽からエネルギーを得るのは簡単です。太陽を凝視して、そのエネルギーを直接、脳に送り込むのです。目はエネルギーを得る口の役割を果たします」と、マネク氏は語る。

 もう一人、同じくインドのプララド・ジャニ氏は、1929年生まれ。11歳の時に神秘体験をして、女神アンバーに帰依した。それ以来、食事も水もなしで生きているという。計算上では76年もの不食生活を継続していることになる。ジャニ氏の説明によると、同氏の口蓋には穴が開いており、そこから女神が滋養を送り込んでくれるので、飲食する必要がないそうだ。
 2003年には、インド西部の都市、アーメタバードの医師らが、24時間態勢で10日間、ジャニ氏を観察。その間、ジャニ氏は飲食も排泄もしなかった。ただ、膀胱に尿が溜まり、再び膀胱壁に吸収されるのが確認された。また、ジャニ氏の口蓋には、確かに穴が開いていた。2010年には、インド国防研究開発機構が15日間の調査を行った。この時は35人の医師団が24時間態勢でジャニ氏を監視し、不食を認めた。

プラーナで生きる秋山佳胤氏

 日本にもブレサリアンはいる。「愛と不食の弁護士」として知られる秋山佳胤氏だ。
 秋山氏が不食となった直接的なきっかけは、2006年に、オーストラリアのプラーナ研究者、ジャスムヒーン氏のワークショップに参加したことだった。
 「当時は、食べずに肉体を維持できるというのは、とても信じられませんでした。でも、ワークショップのパンフレットのジャスムヒーンさんの笑顔があまりに素敵だったので、食べる・食べないはさておき、参加してみようと思いました」

 ワークショップでは、ジャスムヒーン氏の言葉の一つ一つに深くうなづいた。感動で胸がいっぱいになり、食事をすることも忘れるほど。その感覚が継続し、5日間の期間中は何も食べずに過ごした。
「実は、セミナーの前日からお腹をこわして食べられなくなっていたので、それが一因かもしれません。しかし、こういう世界もあるのだなと、あらためて気づかされました」

 これを機に、秋山氏は徐々に食事の量と質を減らしていった。3回を2回に、2回を1回にし、1回ごとの量を減らすのと並行して、肉や乳製品を控える、玄米菜食ベースにする、野菜と果物中心、果物だけ、フルーツジュースだけと、段階的に質を変えていったのだ。
 2年後の2008年、ジャスムヒーン氏が再来日。ワークショップに参加し、O(オー)リングテストで自分の体にプラーナ摂取率を尋ねると、「100 %」という答えが返ってきた。「そういえば最近、水を飲まなくても喉が渇かない、と気づきました。もういらないのかもしれないと思いまして、それ以来、飲み物や食べ物を意識的に取ることがなくなりました」
 その後も、ワークショップの度にプラーナ摂取率を確認した。すると、2010年には100 %以上、2012年には200 %以上、2014年には500 %以上という結果となった。
「今ではエネルギーに十分な余裕がありますので、食べる・食べないにこだわらず、楽しく過ごしています」

 実際、秋山氏は途方もなくエネルギッシュだ。睡眠時間は2時間もあれば十分、100 メートル走をすれば10年前より好タイムで、マチュピチュやアマゾンへ行けば、現地のガイドより速く歩いたりもする。
 同氏が不食に至るには、実はそれ以前に、不思議としか言いようのない体験を重ねている。元々秋山氏は、理系の大学で数学とコンピューターを学んでいたが、大学2年の時に司法試験を受けることを決意。5年がかりで合格を手にした。その途中、ハードな試験勉強のために体を壊し、栄養失調になるなどして、体づくりの必要性を感じた。方法を模索する中で東洋医学に出会い、「気」の世界に触れた。
 気功法を実践すると、体が見違えるほど元気になっていった。集中力も高まり、850 ページの専門書に、3時間で目を通すことができた。
 こうして見えないエネルギーに目覚めた秋山氏だが、不食とは程遠い生活をしていた。
 司法試験合格後に空手を始めたこともあり、毎日腹筋を1000回、拳立てを250 回こなし、動物性蛋白質の多い食事を1日3回取っていたという。

 ターニングポイントが訪れたのは2005年。ホメオパシー(治したい病気に近い症状を引き起こす天然成分を、限りなく希釈して患者に投与する療法)を学び始めた秋山氏は、本場ロンドンでの研修に参加した。その機会に訪れたエイブベリーのストーンサークルで、大きな岩が「ワンワンワン」と、パルスを発しているのに気づいた。
 「あの岩が、アキさんのことを呼んでいますよ」
 一緒にいた霊感の強い友人に言われて岩に近づくと、ドン、という衝撃と共に、何かが秋山氏の中に入ってきた。
「涙が溢れました。この岩は私の訪れを何千年、何万年も待っていたのかもしれない。その強い愛が伝わり、私の魂を歓喜で震わせたのです」
 この体験の後に、シンクロニシティーが度々起こるようになった。そして、イギリスへ一緒に行った友人から、ジャスムヒーン氏のワークショップのパンフレットを受け取ったのだ。
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 秋山氏が言っているプラーナ、あるいは光エネルギーと人間の体の関わりについて、自然医学の大家、森下敬一氏はこう言う。
「人間には経絡というものがある。太陽の宇宙エネルギーが経絡に当たると、経絡で超微小生命体のソマチッドがじゃんじゃん増える。増えたソマチッドが赤血球になる。赤血球が体細胞に変わるソマチッド―赤血球―体細胞。体細胞はエネルギー源になる」

 つまるところ、これは一種の光合成だ。森下氏は、これを経絡造血説と名前をつけた。

 「プラーナ」とは、古代インドで生まれた概念で、宇宙に満ちている根源的な生命エネルギーであるという。人間を含めた生命体は、プラーナによって存在している。私たちが食べ物を摂り、それを栄養源としているのは、食べ物の中にあるプラーナを取り込んでいるからなのだ。プラーナは宇宙に遍在しているから、それをどう取り込むのも自由だ。
 食事で摂る人は食事から。呼吸だけで生きる人は呼吸によって摂取している。ただ、これまでのところは、地球上では人間は物を食べてプラーナを摂取するという方法が標準的であり、常識では、それ以外の方法は考えられたこともなかった。
 先述したテレーゼ・ノイマンは、「不食で生きる方法を人々に教えることができますか」と尋ねたパラマハンサ・ヨガナンダに対して、こう答えた。
「それはできません。神様がお望みになりませんから」
 ノイマンとヨガナンダが会見したのは1935年。それから80年が経過した現在、不食の人々が公の場に現れ、その秘密を教えようとしている。これは、今になって「神様がお望みになったから」なのか。

不死身の超微小生命体ソマチッド

 森下敬一氏が言う「ソマチッド」とは何か。実はその生命体は我々の血液中に存在している。それどころか、動物の血液や植物の樹液の中など自然界のいたるところに、太古の昔から延々と生き続けてきた。それは赤血球や体細胞の素となっているらしい。不食の人間が食べ物に代わるエネルギーを取り込むのはプラーナから。そして体内ではそのエネルギーを得たソマチッドが赤血球や体細胞を造り出し、生体機能を維持している。そのようなシステムがあるのかもしれない。

 この地球には不死身の生物が存在する。研究者は、これまであらゆる過酷な条件下で実験を繰り返してきたが、その生物を殺すことはできなかった。
 摂氏200 度以上の炭化処理温度下でも、高度の強酸に曝されても、びくともしなかった。また、ダイアモンドのナイフでも傷つけることもできなかった。
 1924年にフランスで生まれた生物学者ガストン・ネサン氏は1950年代にその不死身の微小生物をヒトの血液中に発見した。しかし、その存在を発見したのは彼が最初ではないのだが、それは生物ではなく、脂肪滴やゴミがブラウン運動したものと考えられていたため、医学界では無視されてきたのである。
 ネサン氏は、20代半ばにして倍率3万倍で分解能150 オングストロームという驚異的な光学顕微鏡の製作に成功した。その光学顕微鏡はソマトスコープと命名され、生体を生きたまま観察できる顕微鏡としては世界最高峰の精度を誇った。そのソマトスコープのおかげで、血液中のゴミと無視されてきた物体が、実は生物であったことが判明したのだ。
 そして、彼はその生物をソマチッド(小体)と名づけた。

 ネサン氏の業績は、高性能光学顕微鏡の開発や不死身の生物ソマチッドの発見だけではない。ソマチッドが我々の健康ばかりか、あらゆる生命の健康に深く関わっていることを突き止めたのだ。ネサン氏はソマチッドの観察を通して、次のような事実を発見した。
 ソマチッドは、負の電荷を帯びて互いに反発し合いながら、振動を繰り返している。
 健康な人のソマチッドは形態を3段階に変化させるサイクルを持ち、ソマチッドが血液中に多く発見されるほど、その人はより健康であることが分かった。

 しかし、人間の免疫能力が弱まると、その3段階の正常なソマチッド・サイクルが崩れ、12〜18カ月後にガンなどの変性疾患を発症する。このことから、正常なサイクルを持った健康なソマチッドを投与することで、ヒトの免疫機能を強化できることにネサン氏は気づいた。そして、ガンやエイズばかりか、様々な病気に対して大きな効果を上げた免疫強化製剤714 Xの開発に成功したのだ。714 Xは、東アジアに生息する天然のカンファー(樟脳)を原料としている。それは多くの医薬品のように筋肉や静脈内に注射するのではなく、鼠蹊リンパ節に注射し、リンパ系に循環させることで効力を発揮する。

 多くの医師は、リンパ内注射は不可能だと考えており、ネサン氏の研究自体がインチキだと主張してきた。だが、リンパ内注射は可能であり、現実にはリンパ節の見つけ方さえ正しく習えば、ほぼ誰にでも簡単にできるという。そして、そのカンファー製剤714 Xは、実にガン患者の75%を完治させ、エイズなどの難病患者にも劇的な効果を上げている。
 特定の病気に対してさらに高い治癒率を誇るワクチンは存在しても、全ての病気に対応する免疫強化製剤一つで、75%の治癒率は驚異的な数字である。2003年11月の時点で、2万780 本の714 Xが1495人の医師の元に供給され、4025人の患者がその恩恵に与かっている。それから10年以上経過した現在では、さらにその数は増加していると思われる。

 



  *写真/図版は『ムー』学研'16年6月号、『超不都合な科学的真実』/ケイ・ミズモリ 5次元文庫/徳間書店〜より転載


 

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