日記54

高級エステ

 

先日、あのじゅん&ネネのじゅんお姉さまとマネージャーのDEMIEL様のオススメでエステに行ってきた。そこは新宿の近くの民家で、二人が足蹴に通っているカリスマエステェシャンのおうちだ
じゅんお姉さまはじゅん&ネネが再結成されてからというものそこに最低は月に一度は通ってあの美しい美白お肌をキープしている。まさに彼女の美しさの秘訣、秘密兵器の場所に、私もとうとう足を踏み入れることになってしまったわけだ。
きっかけはここ数年自分が吹き出物に悩まされてから、ずっとじゅんお姉さまとDEMIEL氏のお肌を観察していた私は二人ともとてもきれいなお肌をキープしているので、内心さすが・・・むむむ・・・やるな。と思っていた。そんなわけで
じゅんとDEMIEL氏から
「今度テレビにも出るし、40周年のライブもあるし、ネネもお顔のエステしにいかない、やるとぜんぜん違うわよ!」といわれて。その気になってしまったのだ。
OKやってみよう!!私だってきれいになりたい。切ない女心だ。

当日DEMIEL氏が待ち合わせの駅の改札口で待ってくれていて、雨の中いそいそとカリスマエステシャンのお宅へ。すでにじゅんお姉さまはエステを施されて、リグライニングシートの中でお休み中だった。カリスマエステシャンは私をチラッと見て、にこりと笑って
「エステされたことはありますか?」
「いえ・はい・以前自由が丘時代に一度、(5〜6年前にポーラ化粧品のただ券をもらって)オイルマッサージはありますが、顔はやっていません。」
私は顔に吹き出物ができてからオイルマッサージでさえも人に顔を触られるのはいやだったのを思い出した。文字とおり本格的な顔の施術は今回が初めてだった。
カリスマエステシャンは私をリグライニングシートにいざない。ゆっくりとシートを倒した。ここまではその朝、行ってきた歯医者さんと同じ過程だ。違うのはハンサムな歯医者さんではなくて、カリスマエステシャンは飛び切り美人なおとなの女性。
髪の毛をタオルで落ちないように止めて、まず彼女は私に洗顔を促した。洗っている間も彼女が私の洗い方を指導してくれる。
そして本格的にエステが始まった。
ところで、施術中、目を閉じていた私はいったい彼女が何を私に施したのかほとんど分からない。自分がわかっていることは、リグライニングシートを倒した私の頭頂、クラウンチャクラが後ろから施術している彼女の丹田にぴったりとあたり、私は彼女をまるで自分の一部のように、感じ取ることができた。そして私の頭頂が受け取った情報は。
施術中わたしは、とても威厳のある男性エネルギーを感じていた。経験豊富なお医者様のような、技術者のような、シャーマンのような。確固たる自信の中で、クールに自分の任務を遂行しているプロ中のプロだった。まさにカリスマエステシャンだったのだ。
私は素直に心を開いて、信頼の中、彼女が施すマッサージを味わっていた。うとうとと眠りそうで眠らないその境目をゆらゆらとしているうちに、終わりましたよ・・・という声に目が覚めて。彼女がリグライニングシートを起こしてくれた。そして目の前に設置してある鏡を見せてくれた。その鏡に映っていたのはなんと・・・老婆だった。
私は目をしばたいた・・・まさか・・自分が老婆だったとは・・・だが自分の目で確かめた鏡の中の私は、・・・やはり老婆だったのだ。
茫然自失の中、わたしはリグライニングシートから降りて、中央テーブルのクッションに座った。真正面にはじゅんお姉さまがいた。
「あらっ、だいぶきれいになったじゃないネネ、良かったわねえ」
右となりのDEMIEL氏を見ると、無表情にうなずいている。左となりにはじゅん&ねねと二人ものエステを施して、仕事を終わり、疲れたけど、満足げなカリスマエステシャンがいすに座って微笑んでいた。
私は自分の動揺を沈めて気を取り直そうとちょっとそこで屈伸運動をした。
すかさずカリスマエステシャンが
「ネネさんは体系がお若いんですから、お顔だけ老けてしまうともったいないですよ、これからはちゃんとお顔の手入れをして、若い体にお顔もあわせないと・・・」
その言葉はまるでとどめの一突きのように私を貫いた。夢遊病者のように私は視線をじゅんお姉さまに向けて、ぎょっとした。
なんと、そのとき携帯電話中のじゅんお姉さまも白塗りの老婆に見えてしまったのだ。
(これはじゅんお姉さまが老婆なのではありません、私の精神的錯乱が原因です。念のため)
そしてその後から今日の夜まで、私の顔は老婆だった、電車の中でも、外出中のトイレの鏡でも、ガラス窓を見れば施術後に見た青白い老婆がいた。そしてその顔は、私が普段に着ているワンピースやタンクトップという若いスタイルには似合わず、非常にちぐはぐな格好で、私を滅入らせた。男性が若い女性だと思って声をかけて、振り向くと老婆なのだ。
そのうえ、今日の一日中、私は自分がゾンビになってしまったかのようにも感じていた。日ごろのパソコンおたくで、目はしょぼしょぼして、真っ赤だった。
今日は、ヘアーサロンに自分の髪をへナというオーガニックな植物で染めに出かけていたのだが、自分の顔がちっとも好きになれないときは鏡を見るのが苦しい。老婆の顔を見るたびに気持ちがめいって、自信を無くしてゆく、ああもう人生なんかやめたい。
泣きべそをかきながら、家に帰ってきて、冷蔵庫を開けると、だいぶ前に買ったスイカの一片が残っていた。そのままスイカにかぶりついてのどの渇きを潤すと、食べ終えた皮の部分を衝動的に自分の顔になすりつけた。
無我夢中でたっぷりとこすり付けて、顔中がスイカ汁にまみれて、顔を水でジャブジャブ洗った。タオルで顔を拭くと・・・・「あ〜っ気持ちがいい!!」
いつもの自分の顔があった。相変わらずしわだらけなんだけど、でも人工的でない、はつらつとした笑顔が鏡の中にあった。よかったぁ!!元に戻った。
それから数日がすぎて・・・・
なんとも不思議な体験だったけど、その後、自分の厚顔が心なしか、一皮むけて都会の女になったような気がする。
たまにカリスマエステシャンのマジカルハンドにこの身を任せてみるのもいいかもしれない。そんな気になってしまった秋のこのごろです。


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