日記43

MAUI便り バナナ腹の次の日

夜、私が日本から持ち込んだノートパソコンでメールを打っていると、パソコンのすぐ横に、蟻がいるのが見えた。

”それは昨日バナナの皮をもぐときに一匹だけキッチンの奥に逃げて消えてしまった蟻だった。”

パソコンを置いているコーナーとキッチンとは空間は繋がっているが板の壁で仕切られていて3メートルは離れている。

昨日からその蟻は一日中この迷路のようなキッチンの床や部屋の壁を歩き回って、このコンピュータの机の上にやってきたのだろうか。

昨日のすばやい動きは何処へやら、緩慢な動きをしている。

一日中出口を求めて探し回って、疲れ果てている蟻を見て私は胸が詰まってしまった。

死んでしまうのであっても、せめて土の上に戻してあげたい。

指をかざすとすぐ乗ってきたが、私が立ち上がって網戸に行こうとするとすぐ消えてしまった。

もう私の指につかまっている力も無いようだった。踏まないように注意深く床を探すとうずくまっている。

そばにあったFAXペーパーの上に蟻を載せた。蟻は平たい紙の上ではまだ動けるみたいで、よろよろと歩いている。

あわてて網戸を開けて、外に紙を置いた。

残念ながら外は暗くて蟻がちゃんと土に戻れたのか確認が出来なかったけど、白い紙の上からは消えていた。

神様、あの蟻の命がこれで生き返りますように。そう祈らずにはいられなかった。

余談ですが、また、、、バナナの房が届いた。今度のはもっと沢山の房が付いている。ああ・・・またバナナ腹に・・・


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