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なまえのある家「Rupa」

  母と子の根

 1月下旬、縁あって箱根のリゾートマンションに滞在することになった。その間、入れ替わり立ち替わり、さまざまな友人達が訪ねてきてくれた。示唆に富んだ出会い、共に体験した深い祈り。
 そのすべてを温かな慈愛で浸してくださった、水と土と火の賜物。湯船に設けられた温泉の注ぎ口、さらには神山の灼熱の源泉での祈りは、天へ向かう富士と対を成す、地中、地球地母神へのお通しとなった。その一連の流れが伝えてくれたこと。それは水土火の和合によって、母と子の根をつなぐことの大切さ。自らの母子関係に始まって、地球とその各生命とのつながりに至るまで、すべてを貫き通す母子の根軸を確立することで働く、大いなる守護。母は、今か今かと、待っていてくださる。私達は、もうそろそろ、生まれてもいい潮時にきているようだ。

 物語には伏線がつきものだが、神々は、私達が紡ぐ現実にも必ず予兆を与えてくださる。その何気ないメッセージを受け入れ、直感的に読みとることによって、目前の現実からの学びを深めることができる。なぜならば、私達を通して、神々も学び、成長し、遊びたいから。つまり、共に、震えたいから。

 さて、私達が箱根に着く前に、ある友人が先に到着して待っていてくれた。彼女は、広瀬弓(ペンネーム)という詩人。昨年、新風社主催のコンペで賞をとり、今年6月に無料での初詩集出版が決まった。前日、その話を電話で聞いたとき、宇宙からの祝福を感じた。とてつもなく、目出度いことだと感じた。
 詩を本格的に書けるようになったこと、そして、賞をとったこと。このことに関して、私にお礼が言いたい、と、彼女は言う。続いて、大急ぎでコトのいきさつを語り始めた。まずは、大山アフリでのこと。
 彼女と初めて会ったのは、3年ほど前。沖縄の久高島で知り合った友人と一緒に、
神奈川県の大山アフリに登山して、ウガン(沖縄の言葉で、拝み、祈りなどの意味)することにした。その友人が一緒に連れてきてくれたのが、広瀬さんだった。彼女は、その頃から詩を書き始めていたらしい。
「私は、その時、人が自然に対して祈っている姿を、初めて見たのね。あなたがやっていることが、とても不思議に思えたの。それで、一つ一つ、質問してみたのよ」。
 祈りの場では、その場の感覚に従って動くので、後で何も覚えていないことが多い。彼女は3年前のウガン登山の様子を、つぶさに語ってくれた。そう、確か、水に関するウガンをし、山頂で、水に加えて、南や、イヴに関するウガンをしたような記憶があった。
「水源地の水を頂いて下流に流すことで、汚れて弱った下流の龍神にエネルギーを注ぐことができること。水で各地をつなげること。水を入れる容器がなければ、直接、
口にして自分がエネルギーを運べること。その他、いろんなこと。そのすべてが、ものすごく衝撃的だった。そうだったのか。私も、自分なりにやってみよう、と思ったわけ。なので、重要だと感じる旅の前には、電話や手紙を出させてもらったのね」。
 それに対して、「ご自身で、ここだ!と感じる地点を見つけるのがいい」というような内容をお伝えしたような覚えがある。全然、アドバイスになっていない。何かを共に感じたり、何かが降りてきたら意味的なこともお伝えもするけれど、最終的に最も重要な地点を見出すのは、その人自身でしかできないことだ。その地点を、もし他人から聞いてしまったら、内的作業がおろそかになってしまい、一連のプロセスがかえって複雑になってしまう。カミンチュにとって、その作業こそが、最も重要なのだから。
 彼女は、精神世界関連の知識をもたず、聖地やリーディング情報も知らない。つまり、何の先入観も思い込みもない。2児の母親、妻、夫の両親と同居する嫁として、
懸命に生活されている。つまり、深い修行の日々を送っておられる。そして、与那国や長野での旅で、深く真摯なウガンをされた。そして、直感のままに、その地を見出された。
 そして昨年。とうとう、もっとも重要な地点を発見。正確に言うと、思い出した。
その地、奈良の山間部まで呼び出され、その地に遭遇するまでのいきさつをお伺いしている間に、その一連のプロセスの意味合いが、降りてきた。とうとう、されたのだ。そう、根軸を立てたのだ。
「おめでとうございます!」
 自分の地点を自ら見出し、自身の根軸を立てて、古代の守護の存在を内にお迎えすることによって、本当の使命に向かう準備が整った。いよいよ、宇宙からの盛大なサポートが始まった。世に出るときが、きた。

 初めて、彼女の詩を読ませて頂いた。涙が出た。私が大好きだった詩人、野口さんが、今、ここに、来ている。訓戒めいた自称詩が数多く出回る昨今、彼の詩は、本当に詩が好きな私にとって救世主のような存在だった。彼は、最後の詩集を出すことなく、数年前、癌で亡くなった。私達は、その1カ月ほど前、やせ衰えた彼の元に、日と月の象徴を手渡した。その彼が、嬉しそうに、広瀬さんのサポートにまわっていた。今、やっと、日と月を受け取るべき時がやってきた。その暁には、今度は、彼の詩集が日の目を見るだろう。
 野口さんや広瀬さんの詩には、神秘的で修飾的な言葉は、ほとんど使われていない。ただ淡々と静かに、等身大の言葉が選ばれているだけだ。そのあまりにも日常的な言葉の向こうに、強烈な霊性が輝き、行間からは、神の声が響いている。彼らの詩に登場するものは、すべて神の使いだ。

 知られざるカミンチュたち。天才とは、個人の才能のことを言うのではない。同じ霊統の神々と一体になった者こそが、天才と呼ばれる。芸術活動とは、即ち、霊界との共同作業。さらに、この詩のタイトルの音を聴いて、驚嘆した。宇宙を貫く、言霊。
「満ち干」。みちひ、水土火。
 次の詩では、詩に登場する馬の親子が出てきて、そのスピリットが広瀬さん親子と一体化したことが告げられた。彼女達が乗ったのは、ヒヌカンを運ぶ神馬だった。このような詩を世に出させてくださった神々に、感謝した。
 これからのカミンチュは、音霊を使うことはあっても、威厳や教訓とは無縁だろう。本当の芸術家は、滅多なことでもない限り、神という言葉は使わない。だからこそ、カミンチュなんだ。彼らは、目に見える世界と目に見えない世界を、ひとつに織りだす。
 例えば、会社に行くために三八〇円の切符を買い、8時5分の電車に乗る。それが神々からの誘いであり、メッセージであることに、魂が気が付いたとき、カミンチュが生まれる。
 もう、何も語り合わなくても、すべての意味が理解できた。 広瀬さんと私は、泣きながら感動していた。彼女の訪れは、この後の箱根ウガンの伏線だった。母と子の根。
 今年は、多くの芸術家にとって、日の出、いや、日月の出の年となる。さあ、希望をもって思い出し、自らの地に向かおう。根軸を立てれば、春も立つ。古代と未来が、今、つながる。           ●

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名前のない新聞 No.135=2006年1・2月号 に掲載