79.  過剰受刑者隣国へ

[朝日新聞 09.7.16 朝刊]より
 刑務所の深刻な定員オーバーに悩むベルギーは、受刑者約500人を隣国オランダの刑務所に移送する方針を決めた。急場しのぎの短期的な対策というが、ベルギーによると受刑者を他国に委託するのは先進国では初めて。同じ問題を抱える周辺の国々にも影響を与えそうだ。(中略)
 オランダへの「委託料」は年間3千万ユーロ(約39億円)と試算されている。ベルギー法務省は「場所はオランダでも、ベルギーによる刑の執行」と強調し、管理職を現地に派遣し、オランダ人刑務官を指揮させる考えだ。
 しかし刑罰権は国の主権の一部。陸続きの隣国とはいえ、本来は簡単に委託できるものではない。(略)オランダでは受刑者が個室で過ごす権利が保障されているなど処遇の考え方に違いもある。(略)
 ベルギー政府も「苦肉の策」だと認めている。法務省によると、全国の刑務所の総定員8500人に対し、現在の収容者は約1万500人。(略)法相は定員を1万1000人程度まで増やす方針を決めた。しかし「刑務所を増やすことは根本的な解決にはならない」というのが基本姿勢。再犯防止や刑務所以外の刑の多様化など長期策を重視する考えで、受刑者の急減は当面望めそうもない。
 欧州各国は程度の違いはあれ、刑務所の過剰収容問題を抱える。オランダは軽犯罪に社会奉仕命令を導入する制度が功を奏し、定員1万4000人に対し、2、3000人分の空きがある例外的な国だ。
                          [ブリュッセル=井田香奈子]

 この記事によれば、オランダの刑務所に2,3000人分の空きがあるのは、軽犯罪では収監しなくなったからだと読めるが、(そうとしか読めないが)この朝日新聞の記者は事実を伝えていない。インターネットはとうの昔にこのことを予告していた。「カナビス・スタディハウス」は伝えている。

 オランダでは、犯罪者の減少で8箇所の刑務所を閉鎖すると発表した。1900年代には刑務所不足だったが、それ以降犯罪が減ってきていたそうだ。
 ベルギーでは刑務所不足で過剰な収容状態になっていて、オランダ刑務所へ移管することも考えられている。

 隣同士なのに、一方は犯罪が増え続け、他方は犯罪が減り続けている。いったい何が違うのか。ベルギーはカナビスに対して抑圧的な政策を採っているのに対して、オランダはカナビスの所持、使用を非犯罪化した。そのため犯罪が減り、刑務所が閉鎖され、どんどん平和になってゆく。この事実を日本のマスコミは決して伝えない。
 罪深い朝日新聞は数年前、海外の大麻事情と称して、オランダが大麻に寛容なのは、ヘロインなどのハード・ドラッグが蔓延していて、大麻などソフト・ドラッグまで手が回らないからだと報じた。しかしこれは真赤なウソである。
 1976年、オランダ政府が大麻を「ソフト・ドラッグ」として、非犯罪化したのは、オランダの科学学会が大麻の安全性を証明したからである。オランダは科学的先進国である。日本の医学も最初はオランダから学んだのだ。朝日新聞の報道はオランダに対する軽視であり、蔑視である。
 大麻を非犯罪化して平和を実現しつつある国と、大麻を使って年間3000人以上もの犯罪者を生産し、監獄を満パイにしている国。
 もう一度「蘭学事始」からやり直しだ。 
                                  (7.16) 


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