60. 桂川直文氏の年内仮釈放ならず!

 12月8日付、京都山科刑務所在中、桂川直文氏からの手紙によれば──
 「12月5日にようやく面接となりました。やはり懲罰があったことや、職訓をやめたことがひびいていたようです。面接ではかなりツッコミが厳しく、言わなてもいいことをつい言ってしまったりして失敗してしまいました。またまた出所が遅れるかもしれません。
 出所は一月末から二月上旬頃でしょう。出所までに懲罰を喰らうとすべてパーになるので緊張の連続です。1日々々は短いのですが、出所日のことを考えると気が遠くなるほど長く感じられます。次から次ヘと踏み絵があり、満期出所のほうが楽かと思うこともあります。それでも春までには出所したいので頑張ります。
 最近は本当に大麻事件が多いですね。このことについても本面会で話になり、委員から私のせいだと言われてしまいました。その時は素直に謝りました。」(後略)──
 
 桂川氏の満期は来年5月11日。再犯刑務所の仮釈放は5ヶ月程度というから、年内ギリギリ出所かと思ったが、5ヶ月では出さなかった。これは桂川氏の落度ではなく、空前の大麻ラッシュに対して、権力は桂川氏を「見せしめ」にしたのだと思う。
 今年は「大麻元年」などと呼ばれている。大麻取締法の制定以来65年、吸う文化としてのマリファナが、欧米のビートやヒッピーによって伝えられてから40年余、「大麻汚染」というマスコミ用語でマインド・コントロールされ、弾圧され、封印されてきたはずの大麻が、闇の世界で無限増殖し、いまや堰を切ったように巷に氾濫し、たそがれ国家の活性化を計っているのである。1人の逮捕者、1グラムの押収物の背後には、その何層倍もの陰の存在があるのだ。
 しかしこの大麻ラッシュの正体は何なのか。インターネットの発達により、ホームグロウが容易になり、大麻愛好家が増加の一途をたどっているとはいえ、大麻取締法違反者の検挙はこの20年来、毎年2000人を越えており、今年だけが特別という訳ではない。しかし今までは、所持1グラム程度の検挙事件など、警察は公表せず、マスコミも報道しなかった。
 ところが今夏、ロシア人3力士の尿検査事件の頃から、警察は過去の大麻事件までほじくって公表し、マスコミは所持0.5グラムでも実名報道するなど、連日のように大麻ラッシュを演出してきた。いったいこの大麻ラッシュの狙いは何なのか。警察の狙いが、ネット販売とホームグロウの時代にそぐわない大麻取締法の「改正」にあることは明らかである。しかしマスコミは少し異なるようだ。
 大麻ラッシュは年が明けても当分続くだろう。それによって長年マインド・コントロールされてきた国民の内から「うちの息子や娘は大丈夫だろうか?」という思いが起こり、「大麻は本当に麻薬なのか?」と考えるようになれば、一点突破である。大麻に対する思考を開始した人に「踏み石理論」や「大麻精神病」などの非科学的な理論で答えていては、マスコミも信頼を失ってしまうだろう。
 「大麻汚染」の嘘が通用しなくなることを予測して、マスコミはオバマ新政権の「チェンジ」に対する、大麻シフトを採りはじめたと見なすべきだろう。先ずは週刊誌から新聞へ、月刊誌や民放TVへと、大麻の無害有益が論じられ、ついに国会で審議されるまでに、「大麻2年」は進むかも知れない。いよいよ面白くなりそうだ。
                                   (12.14)
            


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