40. 桂川直文君の出所と『アナナイ通信2号』

 今年08年は桂川直文君が5年の刑を終えて、晴れて帰還する年である。05年夏の下獄後、獄中と獄外を結ぶミニコミとして『アナナイ通信・創刊号』を発行したのが06年3月。
 このミニコミ通信は半年か1年毎に発行するつもりだったが、06年夏の刑法改正により、刑務所の囚人とも文通や接見が可能となり、桂川君には「麻声民語」のコピーまでが届き、06年12月には富山刑務所にて、1年半ぶりの接見を果たした。
 しかし明けて07年1月、お互いに1度の文通があったきり、それ以後は一切の文通が遮断された。私だけではなく、大麻の活動家全員がだ。暑中見舞も年賀状もシャットアウトだ。もちろん『アナナイ通信2号』を差入れても届くはずがない。旧刑法よりも検閲が厳しくなったのだから、刑法改悪だった。
 このような状況の変化もあって、『アナナイ通信2号』の発行もどんどん遅れ、昨07年は、ついに発行できないで終った。
 この遅れの原因は内容にもあるものと思い、2号のテーマエッセイにしていた「古き良きインドの大麻文化」を外して、新たに「大麻をめぐる40年の闇」という文章を書き下した。(400字詰30数枚)
 1968年ヒッピー・ブームの最盛期、東京国分寺のコミューン「エメラルド色のそよ風族」の仲間5名が、わが国初の大麻事犯として逮捕されてから今年で40年になる。この間数万人の心優しき人々が「麻薬犯人」のレッテルを貼られ、社会的制裁を受けてきた。この不当弾圧に対していつの時代にも権力に抵抗し、大麻解放をめざして戦ってきた圧倒的マイノリティたちはいた。そこで大麻取締法と最も果敢に戦った「麻の戦士」の帰還を前に、40年に及ぶ弾圧と運動の歴史を物語っておこうと思ったのだ。
 なお桂川君の刑期は7月頃が満期のはずなので、一般的にはそろそろ仮釈放が可能なのだが、最高裁まで争った者には仮釈放をくれないとか。また仮釈放については敗北宣言というべき反省文を書かされるなど、桂川君の主義には受け容れられないと思われ、満期まで勤めることが予想される。そして『アナナイ通信3号』は、桂川編集長のもとに制作・発行されるだろう。
 さてそこで、2号から外した「古き良きインドの大麻文化」だが、これは71年の最初の旅から、82、92、97年と計4回のインドの旅を、大麻道を通して書いたもの。『アナナイ通信』に連載するつもりで、全篇20数話のうち、既に初めの5話まで出来上がっている。そこで「麻声民語」に月1回の割で1話づつ連載したいと思っている。
 現在3話までミニコミ『イマージュ』に連載の進んだ「ビバ・フリークス」は後5話。インドの本は沢山あるが、大麻と、乞食のことを書いたインドものはほとんど無い。これは私にしか書けない超神秘な世界なのだ。乞御期待!!
                                    (08.1.23)


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