27. 危機迫る原発事故と温暖化
 このたびの中越沖地震は、まざまざと原発の危機管理のズサンさを思い知らされた。柏崎刈羽原発の構内を走る道路は、ぐにゃぐにゃにうねり亀裂が走っている。原発の地下に活断層があることや、震度6.8の地震が起こることなどは「想定外」だったと東京電力は言うが、地域住民は30年以上も昔から、大地震が起きる可能性があると主張して訴訟まで行ってきたのだ。破局的な大事故が起こらなかったのは単なる偶然であり、運が良かっただけである。
 このような危機管理能力の欠如が露呈すると、改めて東海地震の活断層の真上にある浜岡原発に対する恐怖を新たにする。既に150年の周期が過ぎ、震度(M)8という超巨大地震が明日にでも襲うかも知れないと言われているのに、中部電力は「浜岡原発は震度8.5の地震にも耐えうるように設計されている」とうそぶく。
 1号機が建設された当初は活断層の存在すら知らず、その後地震学会から東海地震の警告があってからも増産を重ね、現在5基。
 ちなみに震度8とは、小山真人静岡大学教授(火山学・歴史地震学)によれば「静岡県内が破壊的な揺れに襲われる時間は1分半から、場合によっては2分を超える。阪神・淡路大震災を起こした地震(M7.3)の揺れがたった10数秒で終ったことを思えば、永遠にも思われる恐怖の時間であろう」という。更に、この揺れが収まらないうちに津波に襲われる地域もあり、M7級の余震が何発も伴い、1年ほどは油断禁物という。これに原発事故が重なれば、被害は首都圏から中部・近畿地方にまで及び、死者は1千万人を超えるだろうという予想もある。
 浜岡原発を止めるための住民訴訟が5年越しに行われ、今秋10月26日「原子力の日」に静岡地裁で判決が出る。これで住民側が敗訴するようだったら、国際的な道義からも裁判官の精神鑑定をする必要があるだろう。そして今秋11月から六ヶ所村では恐怖の核再処理工場の本格運転が開始される。
 チェルノブイリ事故に見たように、放射能は国境を越えて地球を覆う。地震列島日本の原発事故は世界中に脅威を与え、今回の柏崎刈羽原発についても、IAEAのエルバラダイ事務局長は調査団を送ることを表明した。これに対して政府は余計なお世話だと言わんばかりに断ったが、新潟県知事の要請によってしぶしぶこれを受け容れることになった。
 国際問題といえばもうひとつの危機である温暖化対策、わが国はCO2削減のため原発の増産をアテにしていたのだが、事故を起こした原発は修復までに長期の操業停止が必要とあってこの目論見は破綻。そしてバイオ燃料については未だ何の見通しもつかない状態なのである。
 「気候変動の脅威は最悪の予想よりも悪い」と、NASAのハンセン博士は警告している。温暖化の危機は50年、100年先のことではなく、5年、10年先の近未来に迫っているようだ。
 極地の氷床は恐ろしいほどのスピードで解け、海面を上昇させ、熱波や集中豪雨などの異常気象を招き、台風や竜巻が大型化し、森林を枯らし、山火事が頻発し、砂漠化が進み、多くの動植物が絶滅してゆく。2010年頃からは洪水や旱魃が常習化し、水不足と食料危機が発生、やがて資源の争奪をめぐる内乱や戦争の恐れもあるとか。
 『地球温暖化・人類滅亡のシナリオは回避できるか』田中優著によれば、シベリアの森林伐採による永久凍土の解氷により池や湖が出現、メタンガス(CO2の20倍の温暖化)の発生により、凍土の解氷を更に加速中。なお、シベリアの木材は韓国企業が伐採して、日本が輸入しているケースが多く、これは熱帯林の破壊で国際的非難を浴びた日本が、輸入元を多様化しているからだという。
 カナダの『ナショナル・ニュースペーパー』(2007.1)によれば、シベリアの永久凍土の下にある4000億トンものメタンガスが放出され、破局的な温暖化の暴走(フィードバック)が始まれば、2012年までに45億人(地球人口の4分の3)が死ぬ可能性があるという。2012年といえばあと5年、奇しくもマヤ暦のXディでもある。
 かくの如く、わが国は原子力に依存しすぎたため石油に替るバイオマスの開発をしてこなかったように、木材に替るオルタナティヴな資源の開発をもお座なりにしてきた。その結果、エコロジカルな危機に懸命に取り組んでいる国際的な流れに完全にとり残されてしまい、世界人類に迷惑をかけているのである。ではこの劣勢を挽回し、危機の時代に貢献する方法はないものだろうか?
 あるのだ。例えばバイオエタノールにしても、原料や製品を石油を使って遠距離輸送していてはナンセンスだが、栽培から製造、消費までを地元でまかなえれば良いのだ。そのためには沖縄から北海道まで、高地でも低地でも栽培が可能で、米のように肥料や人手にコストがかからず、農薬や化学肥料を必要とせず、生態系を狂わす外来植物でなく、在来種であること、一年草として毎年豊富な枝葉を繁らせ、おまけに美しく、香り良く、祖先たちに親しまれ、神聖視された植物、大麻こそはバイオエタノールの最適の資源なのだ。おまけにパルプから建築用材まで、大麻は十分に代替できるのだから、熱帯林も寒帯林も伐採する必要はないのだ。
 「この10年以内に大きな変化を起こさなければ、人類は滅亡しかねない」と、前述のジェームス・ハンセンNASA所長は言う。
 この危機の崖っぷちで、日本は60年にわたるマッカーサーのマインドコントロールの呪いを解くだろう。今回の参議選における自民党の歴史的大敗はその兆候である。民意を無視して居直る安倍首相は更なる失政と失言を重ね、自民党は衆議選でも大敗し、完全に沈没してしまうだろう。その反動が大麻取締法の封印を解いて、救世主大麻の真実が国民の前に開示されるのである。
 知るべし! もはやアメリカの世界支配は終ったのだ。
                            07.8.1  ポン


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