主催:大島ハワイ島親善交流協会&ハワイ・ナヴァイイヴィオラ財団

by E.N.

2005年6月1日(水)

古代から連綿と続く伝統文化が、今なお生き生きと伝え守られているハワイ島から、現在最も注目されているクムフラ(フラの指導者)と古典文化継承のリーダーが、御神火様・三原山への儀式に向けて来島します。世界三大火山(ストロンボリ式)として同じ火山信仰を中心にもつ両島の、文化や芸能の分かちあいを通し、アロハの心・和の心の結びつきと、お互いのルーツのつながりを再発見していけますように。

6月3日(金)〜5日(日)

ワークショップ

自然の神々に捧げる 古代フラのうたと踊り

ハワイからの
主なゲスト講師

Kumu KEALA Ching

 フラの儀式や言語等、ハワイに古くから伝わる知恵や文化を伝承する財団NWIO(ナヴァイイヴィオラ)を創設し、子どもから老人まで幅広く教えている。古典のスピリットに基づいた新しいフラの曲や詩や振付を次々生み出している、現代のフラ界における精神的指導者。カリフォルニアやスイス、日本でも教えている。

小田 まゆみ

コナ在住の画家・環境活動家。自然農法で野菜を育てながら、ハワイの数々の伝統・環境保護活動をサポート。米国や日本で瞑想等を指導している。近著に画集「ガイアの園」(現代思潮新社)。

Haliaka AKA Iolani Pule D

7代続く由緒あるハワイのヘイアウ・キーパー(神殿の守り人)の家系に生れ育ち、古典文化伝承者として有名だった祖母イオラニ・ルアヒネのもとで幼い頃から修行を積み、未来のハワイ文化の担い手として注目されている。

詳細内容・スケジュール

大島とハワイ島を結ぶ火山のまつり
6月1日(水) 

伊豆大島・御神火様 山びらき(自由参加)
 火口から蒸気をたち上げ、大自然が生き生きと原始の姿で今もなお存在している三原山火山を、大島の人々は御神火様と呼び、昔から火山信仰を元に生活を営んでき ました。年に一度の「三原講」は、長老達が白装束に身をまとい、山頂の神社で祈りを捧げる古くからの儀式を現代にまで引き継いでいるものです。この神聖な祭事にあわせ、火山の女神ペレが信仰されているハワイ・NW IO財団より文化継承のリーダーが来島し、セレモニーやワークショップを行います。この出会いは、40年前に姉妹島として結ばれた両島と、明治時代より交流のあった日本国とハワイが、今後より深い意味で地球の未来に重要な役割を果たすためにも、その絆を更に強めるきっかけとなるでしょう。
6月2日(木) 

島々に伝わる踊りと歌の共演
 ハワイ・ナヴァイイヴィオラ財団 &
  大島ハワイ島親善交流協会 交流会
 大島の手踊りやハワイのフラ等 ¥5,000

ハワイアン・ワークショップ
6月3日(金) 

アロハの心と生命の力のよみがえり
   by アカ・ドゥーリー
       &クム・ケアラ・チン
  太古からひきつがれるハワイアンの生き方の
  知恵。    ¥20,000

 

ケアラさん、アカさんたちが伝えてくれるのは、火山〜母なる大地の存在を中心に、大自然の神々と生きるハワイの知恵。先祖から伝承され、今なお生活に根づくその生き方から生まれた、聖なる祈りのうた(チャント)やダンス(フラ)、楽器やレイの制作などです。海や山や森から受けとるその豊かな知恵と技術は、私たちの中の 様々なものを呼び覚ましてくれるでしょう。生きとし生けるものと息を交流し、分かちあい助けあうよろこび、そこからわいてくる愛と感謝、それがアロハの心です。みそぎで心身を浄め、自分の中心を見いだし、生命の根源の力とつながるためのワークショップです。

会場・宿泊:
 
大島・ホテル椿園 別棟(旧ユースホステル)
 1名1泊3食付 ¥6,500
 宿泊希望の方は手配します

* 3日am11時頃〜5日夕方迄。
* 水着を持参下さい。

6月4日〜5日(土・日)

大自然に捧げるフラ・ダンス & チャント
   by クム・ケアラ・チン
   火山、海、森、太陽とのつながりより生ま
   れる聖なるうたとダンス。カヒコ(古典)
   の精神をもとに、現代に新しく甦るフラの
   真髄。    ¥45,000

○ 4〜5日通し参加:¥45,000をおすすめしますが、事情で部分参加となる 場合の内訳は以下になります。
○ 4日(土)のみの参加:1日¥25,000(朝〜夜まで)
○ 4日の午後のみの参加:午後〜夜 ¥20,000(午前中のみは¥5,000)
○ 5日のみ:(朝〜午後まで)¥20,000

通し参加費:
(3〜5日の3日間)¥60,000

問合せ申込み TEL:090−2201−0672 FAX:04992−2−3386
または T&F:04996−7−1080(4/21〜) 大島ハワイ島親善交流協会

申 込 書

↑このリンクページをプリントしてFAXでお送り下さい↑

 *電話かFAXにてお申し込み詳細確認の上、指定の口座にお振込下さい。振込確認をもって正式な申込みとなります

郵便振替 00160−2−135432「島を感じる旅・渦」。
または銀行振込→みずほ銀行築地中央支店 大島特別出張所 普通1450311 アマナ 代表小池結実 

*定員に達し次第締切ます。*キャンセルは1週間前以降料金がかかります。*部分参加はお問い合わせ下さい。

大島行き交通のご案内

★ 大島までの交通(船:東京、熱海、横浜発)は東海汽船 03−5472−9999に問合せの上、各自早めのご予約をお勧めします。空の便は ANA:0120−029−222 (羽田)、新中央航空:0422−31−4191(調布)
★ 交通のご予約は各自お願いします。
  送迎の都合等ありますので、出発到着時間は必ずお知らせ下さい。

  参照=伊豆大島へのアクセス(海路・空路の案内)

東京から超高速ジェット船: 平日 (¥6570)
 1、東京発  8:00 〜 大島着  9:45
 2、東京発  8:10 〜 大島着  9:55
 3、東京発 13:40 〜 大島着 15:25
大島から東京 超高速: 平日   (¥6570)
 1、大島発  11:30 〜 東京着  13:15
 2、大島発  16:30 〜 東京着  18:15
 3、大島発  17:10 〜 東京着  18:55

熱海から超高速ジェット船 平日  (¥4130)
 1、熱海発  10:40 〜 大島着  11:25
 2、熱海発  16:20 〜 大島着  17:05
大島から熱海 超高速ジェット船  (¥4130)
 1、大島発   9:50 〜 熱海着  10:35
 2、大島発  15:30 〜 熱海着  16:15 

大型夜行客船(東京〜横浜〜大島) (2等¥4040)
 1、東京発 22:00 〜 横浜着 23:20/横浜発 23:30 〜 大 島着 翌6:00 
 2、大島発 14:50 〜 横浜着 18:20/横浜発 18:30 〜 東 京着 20:00

☆ 席数に限りがあるので早めの予約をお勧めします。東海汽船→03−5472− 9999
☆ 14日前までの早割20%引きや、伊豆七等クラブ割引についても上記にお問い 合わせ下さい。
☆ 週末の時刻表は平日と多少異なります。  ☆ 悪天候の場合欠航になることが あります。 
☆ 運賃は等級により異なります。また時期により変動があります。
☆ 東京・竹芝桟橋へは、JR浜松町、ゆりかもめ竹芝駅、地下鉄大門駅が最寄りです。
☆ 熱海港は、新幹線、東海道本線熱海駅よりバスで15分、タクシーで10分です。
☆ 夜行船は、横浜に寄港しない日もあるのでご確認下さい。

船の残席状況(5/16現在) 東海汽船:03−5472−9999

●行きの便
 6/3(金) 東京発 13:40 〜 大島着 15:25  残80席
 6/4(土) 熱海発 10:55 〜 大島着 11:40  残40席
 6/4(金) 朝の東京発は現在満席。こちらでキャンセル待ちを入れているとこ ろです。
(また、6月4日(土)熱海発10:45〜大島行き高速船、および6月3日(金) 東京発8:10〜 大島行き高速船は念のためこちらでも充分に座席を確保してあり ます。必要な方は事務局までお問い合わせ下さい→04996−7−1080 また は 090−2201−0672)。
★6月第1週の夜行線船は運休。 

●帰りの便
 6月5日(日) 大島発 11:45 〜東京着 13:30 残80席、
             15:45 〜熱海着 16:15 残60席
 6月5日(日) 大島発 16:30 または 17:106は現在満席。こちら でキャンセル待ちを入れているところです。

(また、6月5日(日) 大島発11:45〜東京行き高速船、および大島発15: 30〜熱海行き高速船もこちらでも充分に座席を確保してあります。必要な方は事務 局までお問い合わせ下さい)。 

交通費:東京〜大島間 高速船 ¥6570
   熱海〜大島間 高速船 ¥4130
   熱海〜品川間 電車 ¥1890 (→品川〜大島間 計¥6020)
熱海までの交通: 品川(快速アクティ)〜平塚 〜熱海
         8:29    →9:17→10:06 →熱海駅から港ま で:タクシー10分、バス15分→10:20発、8番のりば「後楽園行き」

大島 〜 羽田 飛行機 (片道¥11100、往復17600、特割1¥1620 0)
 1、羽田発  8:35 〜 大島着  9:10
 2、羽田発 14:55 〜 大島着 15:30
 3、大島発  9:40 〜 羽田着 10:10
 4、大島発 16:00 〜 羽田着 16:35 
☆ANA→0120−029−222、羽田へは浜松町よりモノレール、または京急線

大島 〜 調布 飛行機 (片道¥8500、往復¥16000)
 1、調布発  9:40 、2 調布発 13:55
 3、大島発 13:00  4、大島発 14:45
☆ 所要時間は各35分。調布空港へは、武蔵境駅か調布液よりタクシーまたはバス +徒歩
☆新中央航空→0422−31−4191 
 


大島とハワイを結ぶ火山のまつりにご参加の皆様へ

 お問い合わせ・お申し込み頂き、ありがとうございます。6月1日〜2日に開催される三原講・御神火様山ひらきの行事についてお知らせします。

★ 6月1日(水) 山ひらき は、午前8時より開始です。
 7:30前後に宿泊先のホテル椿園を出発します。案内を希望される方には車をご用意しますのでお申し込み下さい。¥5000。
★ 6月2日(木) 交流会 は、夜7時頃より開始の予定です。
 会場のホテル椿園にお集まり下さい。¥5000(広告に¥3000と掲載しましたが、以下のような理由から変更致しました。ご了承のほどお願い致します。)

 この行事は、「大島ハワイ島親善交流協会」および「ハワイ・ナヴァイ・イヴィ・オラ財団」有志、その他たくさんのボランティアの方々の協力のもと実現し、皆様にご案内させて頂いている次第です。
 現地での様々な準備、またハワイから7名のゲストの方々に来島していただくのに、交通費や滞在費をはじめ、多大な経費を必要としており、かなりの不足があるのが実情です。ゲストの方々を気持ちよくお迎えし、実りある出会いの場を、一人ひとりの参加者の主体的な関わりによって、皆でつくりあげてゆきたいものです。その為 にも、以上の点をご理解いただき、資金の調達にご協力をお願い致します。

 日本とハワイの古くて新しい結びつきを深め、明るい地球の未来へつなげる活動として、このたび「アロハ・オハナ・ファウンデーション」という会を開設しました。 自然のいのちを尊ぶ生活や心のあり方、そこから生まれる芸能・芸術の分かちあい、 学びあいの場づくりをともに支えて下さる会員を募っています。今年度の基金は、6 月の大島でのイベントの資金と致します。詳しくは別紙またはホームページを参照下さい。→アロハ・オハナ・ファウンデーションのページ



日本とハワイ〜太古の記憶のつながり

大島、ハワイ島を結ぶ火山の祭り

伊豆大島とハワイ島は火山島。ここ伊豆大島は三原山火山を中心に大自然がいきいきと原始の地球の姿で今もなお存在しています。ハワイ島のキラウエア火山、イタリアのヴェスビオ火山と並び、世界三大流動性火山でもある三原山火山は地中奥のマグマのスチームを立ち上げ、その母なる大地の愛、生命の根源の静かなる力を感じさせます。
大島の人々は、この火山を御神火様と呼び、この火山と共に昔から生活を営み、そこには、自然につちかわれてきた、火山信仰が根付いています。
現代、都会的な生活が東京から影響されても、この昔ながらの火山と共に生きる民の祭りのひとつとして、年に一度、6月1日、「三原講」の儀式行われつづけられています。島の長老たちによって行われるこの行事は、昔、三原山が年に一度(6月1日)のみ登山することが赦され、一週間海で身を禊、白装束で祈りと共に登山したという儀式を現代まで引きついでいるものです。
今では、毎日観光客が訪れるこの地に年に一度、この日だけは、数人の長老達が白装束で身をまとい、三原山の山頂火口の神社で祈りを捧げます。
ハワイ島の人々はキラウエア火山を、女神ペレと呼び、その存在は、生命をつかさどるおおいなる存在として、尊敬、信仰しつづけてきました。ハワイの文化のもとになる「kahiko」(古典フラ)は、この女神ペレに捧げられる祈りが元に生まれたとも言い伝えられ、今でも昔からのしきたりのなかで踊られます。
今回、この大島での島の長老のみが参加する地元のみの祭りに参加し、共に祈りを捧げたい、とハワイ島から、ふたりのヘイアウキーパー(聖地を守る人々)が来島されました。ケアラケクアベイのヘイアウ(神殿として太古から守られる聖地)を代々(7代目)守るアカ ドゥーリー(Haliaka Iolani Pule D)
さんは、以前にも日本を訪れたことがあります。その時は、彼女が守り続けて来たヘイアウを日本のある大きな企業が壊し、そこにゴルフ場を立てようとしたことがきっかけでした。彼女は、その企業に対し、戦いの気持ちではなく、彼女の祖先からひきついで受け取った祈りと、歌を捧げにやってきました。その祈りや歌は、ハワイ島の人々が昔から生活の根源として行じてきた、自然界の神々とのつながりを人々が常にもっていくための祈りです。この時から、日本のフラを愛する人々に目覚めのきっかけがはじまりました。それまで、フラダンスにふれてきた人々も、この時にはじめて本物のフラ(古典フラ)にふれることになりました。
アカさんの祖母は自然の神々と交流し、いやしをするカフナとして有名なイオラニ ルアヒネといいます。祈りのフラを踊るダンサーとして、伝説的な存在としてハワイ島でも尊敬されるカフナです。アカさんは生まれる前から、イオラニにカフナを継ぐことを予知され、生まれてまもなく、イオラニの元へ預けられ、カフナの修行をしながら育てられたそうです。
祈りから始まった古典フラは、ハワイがアメリカ領土となって以来、まるで封じ込められたように、公に歌い踊ることが禁じられてきました。
ハワイの人が大自然と共に育くんできた、生命の智恵の文化もこのハワイ王国滅亡の時、その祈りの歌や踊りと共にと同時に忘れ去られたように隠されました。しかし、アカさんのようにその大事な智恵と生き方を継承するキーパーたちは、太古からの智恵をまもりつづけ、そして、今、この時に日本の同じくその魂の奥の記憶をもつわたしたち日本の家族の元へ会いに来てくれたのです。それは、火山と共につちかわれてきたハワイ島と、ここ伊豆大島の伝統文化の共通の記憶であり、その記憶の深いところに宿る自然とのつながりの祈りは、太古から未来へ引き継がれる、人類共通の祈りのように感じられます。

もうひとりの来島者アンクルエイブルさんはハワイ島の東南のブラックサンドビーチカバという聖地の守り手です。ハワイの守り手たちの中で、長老として尊敬される方です。ハワイで昔から受け継げられるカヒコの教えのなかでは長老(クプナ)をとても大事にし、その経験を通して伝えられる教えを若い世代が敬意をもって習い、長老は、若い世代たちのからだ、心や魂を思い遣り、祈りをもって、大事に育てます。そこには、血のつながりを越えた家族(オハナ)のつながりが社会の輪の中心となっていることを顕わしています。
今回、ハワイから訪れられた一行は、この、長老のアンクルエイブル、アカ ドゥーリーさんの他、ハワイ島に在住の画家、小田まゆみさんがいらっしゃいます。女神の姿を描きつづける画家のお仕事の他、タロイモ畑はじめ、野菜畑を耕し、育て、アカをはじめ、ハワイの魂を復活しようとしているハワイアンにタロイモを食べさせながら共に活動していられるお母さんのような存在の女性です。そして、もうひとりの日本人女性、ハワイアンの伝統的な智恵から生まれたいやしのマッサージをするちかこ パワーズさん、このふたりの女性との出会い、オハナ(家族のつながり)を感じあい、そこで生まれる信頼がもととなり、この、ハワイと大島のより大きなオハナ家族のつながりが持てたことを、ここであらためて確信します。

わたしが伊豆大島(6年在住)に住むことになったきっかけは、ハワイ島のキラウエア火山、女神ペレの存在との出合いに遡ります。当時、世界平和の活動をし、世界中の国々をめぐっていたころ、イタリアのエトナ火山のふもとに住む目の不自由な日本人女性(エトナ)と出会いました。彼女は視力の弱さとひきかえに生命のエネルギーをより繊細に感じる能力があり、その力を針やマッサージというかたちで、人々のからだのいやしていくことを仕事として、たったひとりで活火山エトナのふもとに住んでいました。彼女がそこに住んでいる理由はエトナ火山に祈ることでした。それが彼女のもうひとつの仕事でした。人体の治療の時にはつぼを押さえます。火山は地球のつぼにあたるのだそうです。わたしは、その後、彼女につきそい、世界のさまざまな火山をめぐり、祈り(治療)を捧げる仕事を共にするようになりました。
「人間は、自分達の勝手な思い、恐怖で、火山の噴火を止めようとしている。
人が、大地や自然と共に生きる生き方に気づいたら、火山の活動は、地球の活動そのものであることに気づき、その活動は讃えられることになる」。9年前、その彼女(エトナ)と出会い、その話を聞いた時、ショックに近い感動と共に目が覚まされたように感じました。そして、彼女とハワイ島の火山の女神ペレへ祈りを捧げる旅に出かけたのです。
そして、わたしにとって、生まれてはじめて、魂の底から起こされる、ペレとの出会いが起きました。エトナと、そして、彼女の盲学校の先生(盲目の老婦人)を連れて、キラウエア火山の噴火によって溶岩が流れ、おおいつくされた村の後に行った時です。道だと思って入っていったところに、噴火によってできた大きな穴があり、車がはまり、溶岩でおおいつくされた地割れや穴があいている土地の上から動けなくなってしまったのです。夕日は沈み、あたりは真っ暗やみになりました。
わたしも目でみる世界を失いました。どちらが出口かもわかりません。わたしたちは、真っ暗ななか、夜中までその蒸気たちあがる熱い大地の上にいることになりました。生まれてはじめて感じる心底の恐怖とともに、目の見えないことで彼女達が感じている存在を感じはじめました。恐怖、畏敬、畏怖、それまで体験したことのない震えとともに、魂の奥の大自然の力に向き合う、祈りがわきあがってきました。自分のおろかな思いや行動が思い起こされ、懺悔の気持ちでいっぱいになりました。体中が、がたがたと震え、「ごめんなさい」とひれ伏すしかありませんでした。
ついには、まったく盲目の老婦人が、落ち木をみつけ、その木をつえがわりにわたしたちは地を這うように歩き出しました。どちらが入り口だったかは、星の位置(新月だったので月はみえませんでした)や、風を感じ野性的な直感を起こし、それを信頼して、四つ足、這うように歩きました。
ついに、その溶岩の上を出て来た時には、真夜中になっていました。
3人で舗装された道を歩きだし、町へと帰るとき、生命をありがたくいただきなおし、生まれ変わった自分を女神ペレへの感謝と共に感じていました。
世界のあらゆるところに火山はありますが、ハワイの火山は、地球の一番奥のマグマを吹き出すホットスポット活動をする世界のおへそといわれる火山です。そして、吹き出されたマグマは海まで流れ、その火と水の出会いから地球上で一番新しい大地が今現在生まれています。
そこは、すべての生命の元、大地の母なる存在をあらわしているように感じます。
ハワイの生き方の智恵は、太古から伝わる、カヒコフラというかたちで伝えられてきています。火山を中心とした生命態系は、世界の縮図ともいわれます。海、大地、森、沢、そして生命の根源の力火山、生命の力が生き生きと生かされ、その力(マナ)をハワイの人々は、大事に考えます。
それまで、さまざまな国々の文化にふれ、さまざまな思想にふれてきましたが、あまりにも当然の、ハワイの智恵にふれたとき、とてもなつかしいふるさとに戻ったように感じました。
これは、わたしだけではない、どんな国籍、文化の違いを越えた、すべての人々にとっての共通の生命のふるさとの記憶なのでは。。と。
平和の活動という旅を終え、大地に根ざし、自分がこの地球に生かされるひとりのひととして本当の生き方を、それまで出会った世界の人たちと共有できたら。。。その夢は、この火山の大きな力の元だったら可能であると感じていました。現実的にも、さまざまな国籍の人種が、ハワイ島のなかでコミュニティーを形成しており、例えば、アフリカにルーツを持つ黒人の人々、日系人、アメリカの白人。それぞれの人たちが、それぞれの良さをあらわし、生き生きと明るく、アロハの心でつながっている世界。それが、ハワイで見た、もうひとつの世界です。
そして、自分が新たに、このハワイの自然の恵み豊かな島に足を踏み入れ、立たせていただく、そしてここで生きて行こう。と決意していた時、「Honaunau Place of refuge」という場所に行き着きました。そこは、その昔、どんな罪人も、行き着いた者は、すべて赦され、自然の神々と共に生きる調和された村の一員として生きて行くことができた、というヘイアウ聖地です。今は、村人はいませんが、当時より村の中心だったテンプル(自然の神々と祈りつながる神社のようなところ)では、今でも定期的にカフナ(神々へ祈りを捧げるシャーマン)が祈りの儀式を続けています。どんな罪人も赦される〜それはその場所のマナの力が強いからだと言い伝えられていました。
すべての人種の生命のふるさと、〜どんな罪をも赦される場。そして地球の生命の元(母なる存在)。ハワイ〜。
伊豆大島は、日本列島を扇のかたちと例えれば、要のところに位置する、活火山を中心とした島です。
東京に位置としては近くとも、ここで育まれてきた生活は、火山を中心とした島文化であり、それは、ハワイ島と共通するものであると感じられます。

三原山火山の火口からは、地中深くから熱い蒸気がたちのぼり、生命の根源の力を感じさせられます。ハワイへ移住を計画していた頃、ここ大島に出会いました。
ハワイに通ううちに知り合った、アカさんや小田まゆみさんは、ハワイで、かつてあった生き方を今に継承し、今、この時代において、あらたなかたちで復興しようと働いていられます。伊豆大島に移ったわたしは、彼女達と出会うことで大島とハワイが共通の同じものを今、ここで思い出し、復興しようとしていることに気付かされていきました。
それは、歴史を遡り、明治時代に、日本を訪れたハワイのカラカウア王と明治天皇が結んだ国交「日本はハワイ、ハワイは日本である」と同じ思いのように感じられます。当時、侵略されようとしていたハワイ王国の危機を感じたカラカウア王が、ハワイと精神を共にする国を探し求めて船の長い旅に出かけた時、ようやく探し着いたところが日本だったといわれます。その後、ハワイで歌うことが禁じられたといわれるカラカウア王がつくった歌「わたしたちはお金をもらうくらいだったら石を食べる」という近代文明におかされそうな自然との共存する生き方をつたえた歌を、カラカウア王の船が日本の港に着く時に、明治天皇の楽団が演奏してお迎えしたと言い伝えられています。カラカウア王は泣きくずれながら、おつきの人たちにからだをささえられながら、看板をおりたともいわれています。しかし、その後、ハワイはアメリカ領土となり、日本もアメリカとの友好条約が結ばれ、ハワイ日本がひとつであるという盟約は実行されることになりませんでした。
しかし、この盟約は、日本国憲法の中では、まだ、生きているそうです。
ハワイからの一行が大島に上陸する少し前より、三原山は活動を18年ぶりに再興しはじめました。(今現在、火山活動7割が動きだしているそうです)それと同時に、大島では、約一年かかり準備した大島ハワイ親善友好協会を発足し、総会をひらき、公にハワイ島との交友活動をはじめようとしていました。
アカさん、アンクルエイブルの来日への資金は、ハワイの智恵を伝えるワークショップを大島の土地で開きその参加者の費用からまかなうということになりました。アカさんは、自分達が大島の祭事に参加させていただくのだから、費用は大島の人たちからはいっさいだしてもらってはいけない、と誓い、ハワイの関係者がそのワークショップを企画し、すべてをまかなうというやりかたをしました。その島への入り方は、島にすむ人間であればこそ理解できる、よそから、そこでくらしているひとたちの文化にいれていただくための礼儀です。
そういうありかたで入ってきたハワイからの一行を大島の人たちは、心から歓迎し、同じ島の家族のように迎えました。
6月1日の祭事の前は、一行は島の町から離れたキャンプ場で、薪で火をたき、自炊しながらのワークショップを開きました。ワークショップで体験されることは、日本の太古でも共通にあったと記憶される、日の出を拝むこと、海でみそぎをすること、ここで共にいる仲間が家族のようにつなぎあうことなどです。
毎朝、近くの洞窟(役の行者〜自然信仰修験道の開祖〜が1300年前にいたといわれる聖地)の中からの日の出を拝みにいきました。アカさんの祖母にあたるイオラニという方は伝説的なフラの祈りをしつづけた女性です。アカはイオラニから伝えうけた祈りとハワイの神話を話して聞かせてくれました。それは、日本の神話のアマテラスオオミカミの話しの元になっているといわれるハワイの聖なる赤い太陽の神「カラマウラ」の存在です。「カラマウラは東に向かい風の神様と結婚し、アマテラスオオミカミが生まれた」という神話に、言葉ではあらわしきれない、深い太古のつながりを、真っ赤な日の出の太陽を拝み皆が同時に感じていました。
日の出を拝んだ後は、今まで体験したこともないような突風が一日中吹き荒れ、天気予報の雨はどこかへ行ってしまったかのようでしたが、カラマウラの神話か、または新しい風か、テントは荷物が入ったまま飛んでいってしまいます。吹き飛ばされないように、皆が同じテントの中にぎゅうぎゅうにつまって御飯を食べました。まるでむかしむかしの家族がそうしたように。
6月1日の三原講の祭事は、雨と霧の中、行われました。去年もそうでしたが、昔から行じられている三原講は、実行され、そのあとの、近代のおまつりは中止されました。白装束を着た島の長老たちと、真っ赤なパレオを着た、頭に大島の自然の花とハワイのティーリーフでつくられたレイをかぶったハワイからの一行がまっしろな霧におおわれた三原山の外輪山の頂上の儀式に参加しました。日本の祝詞とハワイの祈りが共に三原山に奉納されました。儀式後は、恒例の食事をしながらの宴がくりひろげられ、島の長老達の席に同席させてもらった一行は長老達が順々に歌う島の祝い歌を共に手拍子し祝いました。席はだんだんと興に、ハワイのフラダンスと島の神楽が交互に奉納されていきます。(大島では、ほとんどの男性が島の伝統神楽を舞います。大島では火山の神様が女神だということで、男性のみが神社で奉納する神楽を舞うことが赦されています)。大島とハワイの人だけがいると思われていた宴会の会場に、ひと組外からのお客さんがいらっしゃられました。あまりに興に乗った席にぜひ、わたしたちも歌わせて欲しい、と突然参加された、歌は九州の阿蘇火山の歌でした。かつては世界一の大きさだったと言われる阿蘇の火の神の歌を奉納され、会場は、さらに火がついたように盛り上がりました。
素晴らしいことは、食事をしながら、顔を見合わせて一室のなかで、雨や風でもこの特別な日に三原山に登ってくる人たちと共に祈り、歌い、踊り、肩をくみ、抱き合ったことです。本当に同じ島の民の家族のようにひとつの輪ができました。宴会の最後はハワイの歌「アロハオエ」を全員で大合唱しました。
翌日は、素晴らしい青空が出て、ハワイからの一行は三原山の火口に登りました。真っ青な空には美しい虹色の雲が次々とあらわれては消えます。「こんな美しい光景は未だ見たことがない」と山を案内してくださった島の長老の山ガイドの方は、長い間空を見上げておられました。ここにいた誰もがまるで、子供のようにはしゃぎ、感動し、美しい光景(大いなる存在を感ぜずにはいられない)に感謝いたしました。火口の近くで、「この美しい大地と空がすべての地球の大地と空へとつづきますように」と祈りを捧げました。ここにいたるまで、雨、風、太陽、すべてが、必要な祈りの過程だったことを、自然との体験を通して皆が感じていました。
その夜、島の歓迎会が開かれました。島の神楽を若い衆が、そして、島の伝統踊りを島のアンコさん(伝統的な民族衣装を着た女性達)が披露してくれました。ハワイの人と家族のように仲良くなった島の漁師さんが自ら、海に潜り採りたての魚の手料理をだしてくれました。この日は、ハワイ大島のつなぎ手として影の力となってくださっていた小田まゆみさんの誕生日でもありました。ここに集まったすべての人がまゆみさんのお母さんとしての働きに感謝し祝いました。
翌日は大島の富士山への信仰の仲間、冨士講の人たちによる歓迎会に招待していただきました。ふだん、特別な祭りでしか踊らないといわれる、神楽を長老自ら、そして若い衆に踊らせ、披露してくれました。これは、どれだけ、この出合いを特別なこととして、大島の住民が感謝をもって受け取っているかを顕わしている宴でした。宴の空気は神聖な力で興されていました。
このすべての出会いの中で、未来に約束された計画があります。それは来年、ハワイで再興されている祭り『ホウラウレア』を大島で行おうというものです。
すべての生命がつながっていることを称える祭りです。
そして、もうひとつはこの地球の未来へ〜大島にある土地2万坪を、皆の生命のふるさととして、大事に守り、ハワイ、大島のつながりで感じられた共通の生命の記憶を思い出すところとして開いていくことです。溶岩の上に咲く小さい花や草、そして三原山の存在そのもの、海の力〜生命の力(マナ)が起きているこの島では、誰もが生命の元に出会うと感じます。
ただ、わたしも含め、現代の人々が、鈍感になってしまった自然とのつながりの感覚〜(草や木や石と話をして、土地を入っていく方法)「この木は切らないで、と言っている、この石は動きたがらない、この草は身体にいい、これは毒だ、など」を蘇らせていき、その感覚がもどってきた者たちから、土地へ入って行くことを赦される。ということをしていく必要を感じています。すべての人がユートピアを求めています。そしてさまざまなアイディアや、企画が計画されている現代。それさえも一度白紙にもどし、ここにかかわる人ひとりひとりがこの母なる大地にあらためてはだしで立ち、魂の生命の記憶を呼び覚ましていくこと。そうなった時、自然と共に生きる智恵が自然に育まれていくことを感じます。
アカや、小田まゆみさん、ちかこさんも、弟子として尊敬している共通のクムフラのケオラさん土地への入り方を「この土地でとれた野草だけを食べて、大地と一体となる経験を3日間してみてごらん」とガイドしてくれました。
もともと、この土地にあるもので、わたしたちは生きられるというあたりまえのことを思い出していけますように。
ハワイとの出会いで、私たちが本当の日本人の働きに還っていく。日本との出合いで、ハワイはハワイの働きに還っていく。それが最後にアカ、まゆみさん、ちかこさんとシェアしたことです。
長老のアンクルエイブルは、「わたしは、ここ大島に来て、あらためて、自分の役割が、アロハの心(生命の呼吸)を出会う人、出会う生命と交換すること、そして、すべてがオハナ(家族)としてつながっているということを伝えていくことなのだとわかった。わたしはただ、出会った人を愛していく、それがわたしの役割だ」と涙を流して語られていました。
私たち日本人も、ここで、役割を自覚し、世界に放っていけますように、ここ大島に来ていただきたいと思います。
日本とハワイ、そして、すべての生命にとっての共通の生命のつながりを思い起こしていけますように。大島とハワイのつながりで得た、共通の祈り、家族つながり、喜び、自然からの祝福を顕わす祭りを来年起こすことを約束して、ハワイからの家族は発っていきました。見送りには大島の家族たちが大勢やってきていました。大島の人々もみな、アロハ(呼吸を交換するあいさつ)、ハグ(抱き合う挨拶)を笑顔いっぱいでかわしました。
大島ではアロハとオハナ心が生きています。
そしてわたしたちの本来の生き方への帰る道が開かれています。
アロハ マハロ
生きとし生けるものが愛しあい、わかちあい、助け合い、生きていけますように。皆が謙虚に光を感じられますように。
出合いに感謝いたします。 

   小池マナ


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