6/8 Reggae Night in 浜岡 報告


 昼から何となく薄暗く蒸した天気の6月8日。小笠郡浜岡町にあるライブハウス・レ
ストラン「椿」で「レゲエ・ナイト」と銘打ったライブが行われた。
 「空駆ける虹」としての第2弾の企画。このお店を借り切ってのライブだったが、
結果を先に言えば、散々たる結果に終わった。ほとんどが「身内」でお客さんは数え
るほど。準備期間としては1ヶ月ほどもあったが、結局は準備不足、宣伝不足は否め
ない。様々な理由はあるだろうが、勿体無いことをしてしまったと言うのが正直な感
想と反省。
 このお店はあの浜岡原発から西へわずか1キロほどしか離れていない。国道150号
線沿いにあり、黄色いテレキャスター(ギター)の看板が目印だ。その佇まいはまる
でアメリカの片田舎の道路沿いにこつ然と姿を現わすレストラン・バーの雰囲気その
ものだ。うがった見方をすれば、ならず者達がたむろしてもおかしくはない立地条件
と外観。むろん、実際の「椿」はそんなことはなく、近在の人々の憩いの場である。
 もうすでに20年以上も続いているお店の中には、きちんとステージが設置され、
機材もしっかりとしたものが置かれている。それだけを見ればまさしくライブハウス
そのものだが、食事のメニューも多く食事をするために寄る人々が大半だとお店の人
は言う。



 そんなお店でのパフォーマンス。一種場違いな?面々が三々五々集まってくる。入
り口でアピール用の垂れ幕を描いている仲間達。本当の手作り。バンドのメンバーも
徐々に集まってくる。音出し(リハーサル)は入念に行われる。バンドが入るまでの
時間はマイティ・ルーツ・メッセンジャーズのDJ。出演バンドはクルスアケルとバン
ブー・ルーツ。開演時間をかなり遅らせてのスタートとなったが、バンドのパフォー
マンス自体はかなりテンションが上がっていた。約1時間半ほどのステージが終わっ
たあとは澤村浩行の詩の朗読。バックにはバンブー・ルーツやマイティの面々も参加。
澤村はすぐ近くに歴然と存在する浜岡原発の廃炉を詩に託し訴える。
 すべてを終え、お店をあとにしたのは12時近くだった。こうしたライブは「椿」で
は初めてとのこと。快くお店を貸して下さったマスター達に感謝。
 なお、今回のバンドのパフォーマンスをもっと多くの人に見てもらいたく、7月12
日(金)に同じ「椿」でライブを予定している。この日はお店の無料ライブの日であ
り、そこでやらせていただくことになる。次は沢山の人が参加して欲しいものだ。そ
して、何かを感じ取って欲しい。

 この試みはすでに3月30日、浜名湖畔の「パラディソ」において、行われたライブ
を引き継ぐ形で行われました。
 しかし、タイトルや団体名などに使われる「空駆ける虹」とは便宜的なものであっ
て、それ自体が何かの組織を意味するものではありません。通信も出し始めています
が、不定期ですし、今のところ私が個人的に作っている感は否めません。しかし、
「空駆ける虹」とはもっと大きなイメージで考えています。
 ここで若干、「空駆ける虹」についての説明をしておきます。

 「空駆ける虹」とは一体何なのか?どんな団体なのか?いろいろな疑問があちこち
から寄せられる。というのはウソで(笑)特に問いかけがあったわけではないけれど、
疑問に思っている人たちもいると想定して、ここで「空駆ける虹」について少し述べ
ておきましょう。
 これは確かに団体名ではありますが、特定の集まりを差しているものではないこと
を始めに言っておきます。3月30日のライブを行う際に付けた名前であって、それを
そのままその後も使うことは考えていませんでした。しかし、その後の何人かの集ま
りの中で、この名前を使って様々なことをして行くことが確認されたのです。そして、
その通信としてこの「空駆ける虹通信」が存在することになりました。
 運動やイベントを組織して行く際には様々な方法があると思います。その多くは何
人かの中心的な人たちによってアイデアや構成が出され運営されて行きます。そのア
イデアや構成あるいは理念といったものに賛同した人たちがその中へ参加して行く。
それがこれまであった組織の形であり、運動の形であったわけです。
 それが悪いということではないですが「空駆ける虹」はそうした形を片方で取りつ
つ、もっと広がりを持てる形を模索しています。
 大雑把な理念は「現在、私達を取り巻く自然環境を破壊することに反対し、より暮
らしやすい世界を目指す」ということだと思います。また、従来であれば中心的存在
として組織の中心をなす人たちがいるわけですが、ここでは存在しません。ただ、個
別のイベントなどで中心になる人間は当然存在します。しかし、常に同一の人間によっ
て運営あるいは組織されるものとして「空駆ける虹」が存在するのではないというこ
とです。
 簡単にいえば「空駆ける虹」は誰でもが使えるイメージです。先ほど書いた理念に
賛同して何かを仕掛けようとする人なら誰でも使える名称として存在します。この名
称を使うのに誰に許可を求める必要もありません。そして、その個々の運動やイベン
トなどがこの言葉によってつながりを持つことが出来ることを意味します。
 ともすれば、中央集権的なピラミッド型の組織が多い中、こうした組織とも言い難
い組織を意識することは重要ではないでしょうか?すべてが横一線の差別のない構造
を私達自身が作り上げて行く必要があると考えています。これはもちろん、試みであっ
て成功するのか失敗するのかはまったく分かりません。ただ、成功失敗とは何を意味
するのかも考える必要があるでしょう。私自身はこういう試みに失敗は存在しないと
考えています。なぜなら、これは言わば種を蒔く作業と同じことで、そのあと肥料を
与えなければ芽は出ないかも知れないし、放っておいても芽が出て実を結ぶところま
で行くかも知れません。どちらにしても種を蒔かなければ芽も出ないわけですから失
敗ということではないのです。実を結ばなければ成功したと言えないということでは
ないと考えているからです。
 多くの人たちがこうした種を蒔く作業を続けて欲しいと思っています。それゆえ、
一つの組織に結集させることを目指すのではなく、いくつもの「虹を架ける」ことを
考えているのです。
 今、サッカーのワールドカップが日本で開かれています。私自身、サッカーは大好
きなんですが、この「空駆ける虹」はどことなくサッカーに似ています。つまり、選
手一人一人をそれぞれの運動として考えてみましょう。パスをつなげてゴールを目指
す。時には相手にボールを奪われるかも知れません。何とかして取り返して、もう一
度ゴールを目指す。パスをつなげて行くことがまさに「空駆ける虹」の基本理念です。
一人だけではゴールを奪えません。それぞれがそれぞれの立場でゴールを目指します
が、お互いにパスを交換して同じゴールを目指して行く。そうした構造を造り出して
行きたいものです。オウンゴールだけはしないように気を付けましょう。
 「駆ける」という言葉が「架ける」とかけていることはすでにお分かりだと思いま
す。同時に力強く駆けて行くことをも意味します。理念は先ほど書いた大雑把なもの
でいいわけです。
 私達の周りには本当に多くの悲しい出来事、腹立たしい出来事が存在します。あま
りにも多過ぎて卒倒しかねません。それらをどうしたら減らして行くことが出来るの
か?そして、減らして行くことを目指す動きをどうしたら作っていけるのか?様々な
アプローチの方法があるのではないでしょうか?政治運動だけではありません。音楽、
美術、文学、映像・・・諸々の分野でそれぞれの方法でそうした試みをして行って欲
しいと考えています。
 そして、それらが有機的に結合した時・・・その時、少しは世の中が変わるかも知
れません。

 現在、私は数人の仲間とともに浜岡原発の運転を止める闘いに参加しています。そ
れは音楽ライブあり、ウォークあり、キャンプインあり、裁判ありと様々な形での行
動となっています。そして、それをこの通信で報告あるいは紹介して行く作業をして
います。これも一つの形だと思います。皆さんがそれぞれの思いをそれぞれの形で表
現し、それぞれの闘い方をして行って欲しいと思っています。それが「空駆ける虹」
なんです。
 虹は雨のあと、ふっと空に掛け橋を架けていつの間にか消えて行きます。私達自身
がその虹であってもいいわけです。でも、いくつもの虹を空に架けて行きたいですね。


※この通信は現在、私が個人で作成しています。どうしても私の個人的な考え、見方
がこの通信の「色」を左右しているのは否めません。今後は(現在もそうですが)様々
な方からのメッセージを載せて行きたいと思っています。特に10代、20代の方からの
メッセージが重要だと思っています。皆さん、様々なアピール、メッセージを寄せて
下さい。ドアは常に開けて待っています。

 最後に浜松に在住し、以前から浜岡原発の問題に関わって来た鈴木鉄也君の3月30
日のアピールを皆さんに紹介したいと思います。


《 今年中にも起きると言われる東海大地震。その予想される震源の真上で、浜岡原
発が今日も運転を続けている。莫大な量の放射能を抱えて。
 恐ろしくてしょうがない。せめて東海地震が過ぎ去るまでの間だけでも、運転を止
めておく、というのが、人間としてのマトモな対応であるはずだ。
 そんな俺たちの声は無視され続けてきたけれど、最近になってやっと、地震学者や
政治家の中にも同じことを主張する人が増えてきた。おまけにそこへ、浜岡原発1号
機の配管爆発事故、さらに原子炉からの水漏れ事故である。今が浜岡原発を止める大
きなチャンスだろう。
 裁判も始まる。浜岡ピースウォークも続けられている。あなたもぜひ、合流して欲
しい。》

夏にはデンマーク牧場での行動も企画されています。
夏は熱い!
浜岡の夏はもっと熱い!
大勢の方がこの夏、浜岡を注視して欲しいと思います。

                    (文責 清水正登 静岡県浜松市在住)



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