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心の素肌で生きていこう!
メグさんの“性共育”

『女の子・男の子 からだBOOK』メグ・ヒックリング著/三輪妙子訳/築地書館


春!植物界は解放系へとエネルギーを放射していく――。何があっても時は四季をもたらし、あたり前で奇跡的な生命のめぐりに、いとも軽やかに心躍る。そんな自分が恩恵を受けているのは、例えばこんなメッセージなのだと気付いて一冊の本を紹介したい。
性教育…。^ 起きた事を正確に伝える為に小さい頃から科学的な知識を持つ。_ 生活の中でタブーを少なくしておく事が、明るく開放的な人間関係を支える。` 子ども達を共に育てる大人同士の絆を作る。…そしてそれ以上の意味と価値を伝えてくれるのが、メグ・ヒックリングさん(カナダ)の『女の子・男の子 からだBOOK』。(築地書館)
訳者、三輪妙子さんは「とにかく子ども達がニコニコ笑顔で目を輝かせながら学んでいける…。こんな性教育の雰囲気、日本にこそ!と思って」と、メグさんのユーモラスでチャーミングな人柄を語り、全国の親子ワークショップの通訳を務める。
 本はカラフルな絵本でやさしく楽しい、そしてわかり易いページ作り。からだの見える部分、見えない部位の呼び名や仕組みを、絵解きし子ども達に科学の姿勢が伝えられる。
日本でのワークショップで特に日本人ならではの質疑も出て、それをまとめた二部のQ&Aは興味深く、三輪さんによれば『Q&Aは、わたしが質問を選び、メグさんからの答えに、さらに今までの講演での発言や本のなかのことばなどを組み合わせて構成したもの』との事。例えば…。
幼児期のマスターベーション、何歳から性教育を始めたらいいか、十代では手遅れか?逆に「本当にこんな事を教える必要があるのですか?」という声もある。
年齢差の開いた兄弟に一緒に話しても良いのか、セックスを教えると、早くからセックスをするようにならないだろうか?父を嫌がる娘、知的障害のある子どもを性犯罪から守るには…と続いていく。
性情報にあふれた社会で立ち遅れた性の健康教育をていねいに編もうとする。
親のセックスを子どもが見てしまったら?パパとママもセックスをしているの?と聞かれたら?自身が子ども時代に性的虐待のトラウマがある場合。
個々の“悩み”という“コリ”をもみほぐすマッサージの様な応答を読み進むうちに、次代から続く未来への“祈り”のようなものが感じられて感動すら覚えてしまう。

心の汚染?! 自衛しよう

解説の章に、メグさんの日本の講演会を主催している窓口「NPO法人 女性と子どものエンパワメント関西」の田上時子さんが登場する。いわく「自尊感情をはぐくむ性教育」。
加害者の半数近くがアダルトビデオなどをよく観ているという、日本の特に近年子どもに集中する傾向のある性的事件。構造的、文化産業ぐるみ「売れさえすれば!」の野放し、モラル無しの“心の汚染”問題である事が警視庁のデータなどから浮かび上がり、これは自衛手段ですらあるのでは…と分かってくる。
「自分のからだと心を大切にすること、自分を大切にするためにいやな時はいやだと意思表示してもいいのだということ」。そして「メグさんの性教育は、性器教育でも生殖教育でもありません」。 性を教えることは「科学」と「健康」と「安全」を教えひいては人格を肯定され「自分のからだや心を大切にしてもいい」というメッセージを受けることは、子どもの「自尊感情」をはぐくむことにつながり…(略)。
生きてゆくことを根本から祝い直したくなる程、日々は戦争への足音に感性を絶え間なく脅かされ、もの言いにくく、だからこそ…、なのだ。この本にこめられた祈りが光りに思える。
「自分の行動に責任をもち、自己決定ができ、きちんとした自己主張をできる子どもに育つためには、自尊感情は必須のものです。自尊感情を育てるためには、まず、自分のからだと性について知ることが第一歩です」。 30年に渡るメグさんの性教育の現場から届いた実践の心得。ハンディな絵本を学校や図書館にもおすすめしたい。                           (サキノ)



NPO法人 女性と子どものエンパワメント関西
〒665-0056 兵庫県宝塚市中野町4-11
tel:0797-71-0810 fax:0797-74-1888
E-mail:videodoc@osk2.3web.ne.jp http://www.osk.3web.ne.jp/~videodoc

(参考図書)‥‥メグさんの1冊目の本
「メグさんの性教育読本」木犀社(もくせいしゃ)1800円、1999年刊


No.123=2004年3・4月号

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