amanakuni Home Page | なまえのない新聞ハーブ&アロマテラピー | 八丈島の部屋

HOT NEWS

六ヶ所村より03.10.28

再処理工場・避難訓練のレポート

10月28日、六ヶ所村で初めて地元住民の避難(とはいえ小さな集落限定)も含めた原子力防災訓練が行われました。

再処理工場で火災が発生、プルトニウムが放出されるという想定で、今年完成した「オフサイトセンター」を使い、国、県(知事)、村、原燃、各関係機関・担当者がワイド画面を見ながらやりとりするという大規模な訓練でした。

以下、今日午前中、山とある農作業を放り出して、あちこち飛び回って撮った画像のうちの何枚か送ります。

撮りながら、JCO事故の時の映像画と重なり、「とうとうここまで来てしまった…」「どうかこれが現実に起きませんように」とだんだん胸が苦しくなってきました。

ご迷惑とは思いつつも、みなさまにもご覧いただきたく、送らせていただきます。

テレビでは、衆院選公示の話題で、NHK以外は扱わなかったのでは…?


水に落ちる大気中の浮遊物の放射能濃度を測定するため容器に水を張る青森県原子力センター職員(「コンクリート屋内待避所(二又小学校体育館)」の小学校校庭にて)。

この後、体育館の脇にある水道蛇口(緑の土手の上)から水を採取。「環境科学研究所に持って行って分析してもらうことになっている」と係りの一人が言っていた。10/28・9:30〜9:45

後方は放射線測定モニタリング車(手前)と大気中の塵を集めて放射能をはかる測定車(後方)。確か車には「(財団法人)原子力安全技術センター」という文字が見えた─メモ帳が紛失したので記憶を頼りに書いています)。


 「訓練放送です。本日、日本原燃(株)再処理工場で火災が発生し、放射性物質の放出が継続されています。村では、富ノ沢、二又、第三二又、第四雲雀平地区住民に対してコンクリート屋内待避を実施することに決定しました。富ノ沢、二又、第三二又、第四雲雀平地区住民は、少しの着替え、ラジオなど最小限の持ち物を準備し、火元を確認して戸締まりをし、現場係員の指示に従い二又小学校体育館に避難してください。なお、避難する際は、放射性物質を吸い込まないようにハンカチ等で口をふさいで、歩いて避難してください。これは訓練です。」という有線放送が全村に流れた。
(10:15〜10:20 ─ 「平成15年度 青森県原子力防災訓練実施計画」六ヶ所村発行より ─ 当日オフサイトセンター入口受付で入手)

「コンクリート屋内待避所(二又小学校体育館)」に「避難」して来た住民。(10:45頃)

村の健康福祉課の職員が、入口で名前と住所、事故発生時にどこにいたかを聞き取り記入。

新聞(東奥日報)によれば、住民27人と二又小の児童教職員11人が訓練に参加した。

村の人たちは、始めは顔見知りに声をかけたり話をしたりしながら集まって来たが、報道陣やそれ以上にいた関係者(原子力関係機関の記録係)のカメラの集団を見て、物々しい気配を感じたのか、次第に顔がこわばり、声を出す人はいなくなった。

この時点では、避難住民に対しての放射線測定は全くない。(当初から、10キロほど離れた千歳平公民館にバスで移動しそこで測定するという計画だった。)


オフサイトセンター内「現地事故対策連絡会議」。(11:00〜11:30)
原子力・保安院、副知事、六ヶ所村助役、青森県警、ほか、各関係機関から出席(メモを紛失してしまったのが痛い)。

大型スクリーン左上は村の対策本部(村役場内)と思われる(良く確認しなかった)。

左下は知事室か(?)県庁内と思われる。椅子に座ってこちらを向いている三村知事の画像がずーっと流れていた。 

真ん中の画面は再処理工場の見取り図や六ヶ所村の地図、時々、二又小学校上空からと思われる映像が何度か切り替わりながら映る。(「青森県警の協力を得てヘリコプターからの映像を流していただいています」と近くの人が教えてくれた。)右には文字情報で事故発生後の時系列状況が映っていた(以下↓)。

「日本原燃(株)再処理施設
 
 8:00  火災検出装置発報
      (プルトニウム精製塔)
 8:06 二酸化炭素消火設備不作動
 9:00 特定事象発生(原災ほう第10条通報)
 9:40 第1回現地事故対策連絡会議
10:40 緊急事態宣言発出
10:55 第1回原子力災害合同対策協議会
現在   火災継続・放射性物質放出
      さらなる事故の拡大のおそれあり

第1回合同対策協議会開催中」

(取材の時、「プルトニウム」の文字が目に飛び込んできただけでギョッとしたのだ
けれど、いま画像を拡大して文字を確認しながら入力しているうちに、ゾクゾクして
きました…。本当にこんな事態になったら、再処理工場から直線で2〜3キロの位置
にあるオフサイトセンターでは、到着前にみんな高濃度に被曝するに違いありませ
ん。本当にわかってんだろーか…? )


大型バス2台で二又小から千歳平公民館に移送されて来た住民。
「道路封鎖」のためわざわざ迂回して陸奥湾沿いの国道を通ってきた。
付き添いの職員以外、誰も言葉は発しなかった。


上十三の保健所や医療関係者が待ち受ける千歳平公民館で「サーベイメーター」
で放射能汚染の有無をチェック。


この男の子が対面しているのは大型のサーベイメーター。「一度に広範囲の面を検査できるが2台しかない」とか。

「避難住民」は30〜40台の主婦4人ほどをのぞいてあとはほとんど65歳以上と思われる高齢者と子ども。どうしても子どもが気にかかりそばに寄ってしまった…。
近くで検査の様子を見ながら、訓練とは知りつつ、胸が苦しくなってしまった…。


「検査」が終わりかけた頃の全体の様子。白衣とマスクの関係者がズラリと居並ぶだけで、非日常のただならぬ雰囲気が現出してしまう。

ちなみに、本当に住民がプルトニウム他の放射能で汚染されていたら、こんな見せかけの装備では、医療関係者自身が二次被曝してしまうのではないだろうか?

関係者の中には、原燃の医療機関の医者もいると見学の背広のオジサンが言っていたが、データは住民に開示されるのだろうか…?

「これ以上人数が多かったらここでは出来ない」と関係者の一人がお仲間に小声で言っていた。

一人、お仲間の職員と思われるお兄さんが「前髪のあたりに放射能の反応がある」と言われて、初めは訓練でダミー役をさせられるといった顔つきで苦笑いしていたが、カメラが殺到し、鼻に綿棒を入れてチェックするよう指示されたり、「除染作業」をさせられたりして─洗面台で水で洗ったらしい(はっきりとは見えなかった)─何度も何度も検知器でチェックされるうちに、深刻な顔つきに変わっていくのがおかしくも悲しかった…。

以下、「原子力防災訓練実施計画」より抜粋

今回の事故想定

発生箇所
再処理施設精製建屋 火災発生     8:00
          特定事象     9:00 
          第15条相当  10:30
          消火設備復旧 12:35

放射性物質の外部への放出 放出時間 8:00〜12:50(4時間50分)
                   放出率  1.4×10の10乗Bq/h
(9:00以降)
                   放出核種 プルトニウム

被害想定
放出開始(8:00)から14時間後までの予想被曝線量(SPEEDIによる)・
内部被曝による等価線量(プルトニウムによる骨表面の等価線量)

500mSv以上の範囲 なし
100mSv以上の範囲 風下(北北西)3方位の5kmまでの範囲

負傷者等の発生
事業所内、避難村民ともに負傷者はない。
救護所のスクリーニングによる放射性物質による汚染は認められない。

HOT NEWS

amanakuni Home Page