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二十数年におよぶアボリジニーの闘いついに勝利

ジャビルカ鉱山完全撤収


 
今年の4月17日にロンドンで開かれた多国籍鉱山開発企業リオ・ティント社
(旧RTZ)の株主総会にあてた手紙のなかで、ジャビルカ鉱山地区の土地の伝
統的所有者【先住民族】であるミラル【グンジェイッミ語を話すアボリジニーの
一氏族】の代表者であるイヴォンヌ・マルガルラは次のように述べました。

「ジャビルカ鉱山から掘り出したウランは全部もとの穴に戻して欲しい。雨が降
り出す季節がまたやってくる前にそうして欲しい。そうでないと、私達ミラルは
鉱山会社の言葉を信じるわけにはいかない。」

いま、ようやくイヴォンヌの言葉が聞き入れられようとしています。

ジャビルカ現地でウラン鉱山開発をすすめてきたエナジー・リソーシズ・オブ・
オーストラリア(ERA)社(リオ・ティントの子会社)は、現在「凍結」中の
ジャビルカ鉱山の原状復元(リハビリテーション)計画の改訂をすすめてきまし
たが、このほど、ミラル・アボリジニーの主張を大幅にとりいれた環境管理計画
をまとめあげ、先月、北部準州(NT)政府に申請しました。8月1日、準州政
府のヘンダースン資源大臣は、この改訂された計画案を正式に承認しました。

これにもとづき、雨季の始まる11月までにはジャビルカの現状復元工事が完了
する見通しとなりました。

今回、了承された環境管理計画の主要な点は次のようなものです。

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●地表から地下のウラン鉱脈に到達するために掘削された坑道(全長およそ
 1.8KM)はすべて埋め戻される。

●掘削工事で地表に掘り出されたウラン含有鉱石(約5万トン)およびウランを
 含まない岩石土砂(約1万トン)は、すべてこの埋め戻し工事に用いられる。
 (全量を地中に戻す)

●地表の「廃水貯留ダム」(RP)に溜められている放射能汚染水は、埋め戻し
 の前に、すべて坑道の中に流し込まれる。

●これらの処置ののち、坑道の入り口は封鎖される。

●鉱区内の土地は、在来樹種による植林によって、環境復元をはかる。

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さらに、この管理計画とは別に、ERA社はミラル氏族とジャビルカ鉱山の将来
についての新しい協定に署名する予定です。新協定によれば、今後、ジャビルカ
鉱区において、いかなる工事をおこなうにあたっても、土地所有者であるミラル
氏族の全員の同意を文書でとりつけなければならない、とされます。

これら一連の措置は、これまでミラル氏族が一貫して求めてきた要求をほぼ全て
満たすもので、今回の準州政府による計画認可は、事実上、ジャビルカ開発を
「凍結」から「中止」へと移行させるものと言ってよいでしょう。

これまでERA社がとってきた態度・方針を大きく変えることになる今回の措置
は、親会社であるリオ・ティントの高度の政治・経済的判断によるものと言えま
す。(ジャビルカ通信145号を参照)

ミラル氏族、北部土地評議会(NLC)、世界遺産カカドゥ国立公園の管理運営
委員会、ミラル氏族を支援してきた多くの環境NG0は、一様に今回の決定を歓
迎しています。

原生自然協会(TWS)のキャンペーン統括部長アレック・マーは、「ジャビル
カ・ウラン鉱山の終わり」であるとし、「リオ社は賢明な経営上の判断を下した」
と評価します。(TWSの声明に日本語訳をジャビルカ通信の次号に掲載します)

ミラル氏族の声を代弁するグンジェイッミ先住民族法人(GAC)の事務局長ア
ンディ・ラルフは、準州政府の決定を歓迎し、ERA社の積極的な姿勢に敬意を
表する、と述べました。

しかし、実際のところ、同社との粘り強い交渉において、事態を積極的に展開さ
せる主導権を握っていたのはアボリジニー側であったと言えます。

いまあらためて、GACの折々の声明を読み返してみると、世界遺産委員会ケア
ンズ会議(2000)(ジャビルカ通信129〜137号参照)以降、ミラル氏
族の要求事項を企業・政府側がうけいれざるをえないだろうという現実味を増し
てきて、ついに実現したという感慨をおぼえます。

ダーウィンを本拠地とする環境NG0、北部準州環境センター(ECNT)のマ
ーク・ウェイカム共同代表は、「ジャビルカの環境復元は、このウラン鉱山計画
を止めようとしてきた長い闘いの最終的な解決にむけての非常に大きな一歩だ」
と述べました。(ECNTの声明の日本語訳を、おってジャビルカ通信で掲載す
る予定です。)

細川としては、今回の展開を、もちろん喜ぶべき大進展だとは思いますが、決定
的な詰めを欠いているような気もします。それは、すなわち、鉱山借地権の返上
(→ジャビルカ鉱区のアボリジニーへの返還)であり、それが実現して初めて、
ジャビルカの闘いが終結することになるのです。この点、リオ社の「死んだふり」
路線(ジャビルカ通信146号参照)がまだ続いているのではないか、という懸
念はまだぬぐいきれません。

この点、もう少し、分析を続けます。
イヴォンヌからのコメントをもらおうと思って、電話しているのですが、なかな
かつかまりません。
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「ジャビルカ基金」事務局
<itachimaru@nifty.ne.jp>
606-8588 京都精華大学 流渓館213 細川研究室
(郵便振替)01700-1-19686「ジャビルカ基金」
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ミラル氏族のホームページ: 
http://www.mirrar.net
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「脱原発のための和英小辞典」
http://www.cnic.or.jp/data/waei.html

◇ジャビルカ通信 第148号から◇ 

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