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浜岡原発の運転停止を求める声明
(浜岡原発止めよう裁判の会速報より)


「浜岡原発の運転停止を求める声明」                     
              下河辺淳(元国土庁事務次官)          
              相馬雪香(尾崎行雄記念財団副会長)       
              錦織俊郎(元日本高温ソーラー熱利用協会副会長) 
              長谷川晃(元米国物理学会プラズマ部会長)    
              水野誠一(前参議院議員)            
              村田光平(前スイス大使)     (アイウエオ順)


 この声明は、マグニチュード8クラスの大地震の発生が予測されている地域の中心部に位置する中部電力浜岡原発の破局的事故を未然に防ぐため、各界の指導層をめ、国民一人一人が直ちに行動を起こすことを上記の連名で呼びかけるものです。

 静岡県の浜岡原発1号機で、昨年11月、緊急炉心冷却システム(ECCS)の配管破断事故が起きました。2日後、同機の原子炉圧力容器から放射能を帯びた冷却水が漏れていたことも判明しました。その原因は現在に至るまで完全には究明出来ておりません。このような深刻な事故により原子力発電全体に対する信頼はまたもや大きく損なわれました。

 地震予知連絡会並びに地震防災対策強化地域判定会の前会長である茂木清夫東大名誉教授は、昨年11月13日及び12月9日、そして今年 3月5日の静岡新聞の「論壇」で、東海地震と浜岡原発の関係につき3回にわたり警告を発しておられますが、特に次の諸点が注目されます。

1.多くの原発を持つ欧米の先進諸国の地盤は非常に安定しているのに対して、日本は大きい地震が頻発する、地盤が極めて不安定な所である。

2.1995年阪神・淡路大震災の時の高速道路の倒壊などで経験したように、耐震構造の「安全神話」というようなものは頼りないものである。これまで「耐震基準」が大地震が起こる度に改定されてきたという歴史があり、耐震問題には不確定性が避けられないのが現状である

3.地震予知連絡会は、東海地方でM8級の大地震が起きる可能性があることを1969年以来指摘し、引き続き国をあげて「東海地震」の予知並びに災害軽減に努力している。その中で想定震源域のど真中にある浜岡に原発を建設し、さらに増設を繰り返してきたということは異常と言うほかになく、到底容認できるものではない。

 このように説得力のある警告が関係方面により十分真剣に受けとめられていないことはまことに遺憾です。「原発震災」の可能性については 1997年に石橋克彦神戸大学教授も「原発震災―破壊を避けるために」(岩波書店「科学」10月号)の中で地震学者として初めて警告しておられるのです。

 わが国は唯一の被爆国として原子力の軍事利用の犠牲国となりましたが、東海村臨界事故を始め度重なる重大事故の教訓に学ぶことなく原発を推進しております。原子力の民事利用の犠牲国への道を歩むが如くです。下記連名の私達がこの声明を発するに至ったのは何としてもこれを未然に防がなければならないとの決意からです。

 地震が起きて原子炉の運転を即座に止めても、その崩壊熱が安全域に下がるまでに約三ヶ月かかると言われています。その間に原子炉の冷却装置が機能しなくなれば、炉のメルトダウン(溶融)が起こりうる危険 性が高いということです。日本でチェルノブイリ級の大事故が発生した場合どうなるのか、想像してみて下さい。旧ソ連と違い、90万人近い人間を強引に動員して処理する体制は、日本には存在しないのです。現世代はもとより、子孫代々にわたる被害の大きさは測りしれません。鎮圧不能の事故発生地へは、世界からの救援も期待できません。住民はもちろんのこと、事故処理に当たることになる関係企業、地方自治体、さらには消防・警察・自衛隊関係者に及ぶ放射能被爆の被害だけでも想像を絶するものがあります。

 「原発震災」の発生ともなれば、事故処理は全く絶望的となります。日本が世界を壊すという恐るべき事態の現出です。何はともあれ、浜岡原発はあらゆる代価を払っても一刻も早く運転停止すべきことは自明のことなのです。

 2001年9月11日の同時多発テロを契機として世界に存在する430基以上の原発、そして再処理工場などの原子力関係施設がテロの対象となれば、それがすべて大量殺戮兵器となり得るとの認識が深まっております。今年3月19日、ニューヨーク市議会が満場一致でニューヨーク近郊に存在するインディアンポイント原発閉鎖の検討を行うことに合意したのもその現れと言えます。その背景には30の自治体と二つの郡が決議を採決し、7000人以上の地域住民が環境団体の署名集めに協力しております。

 西欧諸国を中心に脱原発の潮流が主流となりつつある背景にはこうした市民社会の役割が決めてとなっております。わが国は現在、低迷を続ける経済、深刻の度を深める失業問題、広がる社会的荒廃など山積する問題に直面しておりますが、「原発震災」は上記の通りこれらの問題とは比較にならない計り知れない壊滅的影響を国民に対し及ぼす問題です。それにも拘わらず国民の間に危機意識が欠けている現状は直ちに改める必要があります。

 浜岡原発の運転を停止しても、一部を他の電力事業者から買電すれば十分対応は出来ます。民間企業に大きな不利益が生じるならば、西欧諸国の場合と同様に、防災や危機管理の見地より国や県が補償すべき なのです。本来、政治に携わる者にとり、「国民・県民の生命と財産を守る」という義務が最優先されるべきことは言うまでもありません。 このような方向で解決を図るためには、国民一人一人が自らの責任を認識して行動を起こすことから始めることが不可欠です。こうして醸成される世論を背景に、浜岡原発の運転停止を求めて地方自治体が動き、そして国会が動き、さらには政府が動くという図式こそが今求められております。このた
めに、各界の指導層を始め、国民一人一人が奮起されることを心から期待してやみません。

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