amanakuni Home Page | なまえのない新聞ハーブ&アロマテラピー | 八丈島の部屋

HOT NEWS

アラファト議長密着取材

フリーランスの記者浅井さんの命がけのメール



 皆さん、お元気ですか?一部の方には、このメールがダブる場合
もありますが、IT化に乗り遅れている僕にはこれが精いっぱいで
すからご容赦を。

 僕は昨日、議長府のあるラマッラから5日ぶりに帰ってきました。
ラマッラは、2週間前から外出禁止令が布かれ、4、5日毎に数時
間解かれる以外は、町から人影が消えます。外出禁止令は、皆さん
が映画で観る戒厳令を思い浮かべていただければ、大体想像がつく
と思います。つまり、路上をうろうろしたりすれば、イスラエル軍
兵士に撃たれる可能性が非常に高いということです。また、家にい
ても撃たれる民間人が後を絶ちません。

今回の僕の取材ターゲットは、議長府と「人間の楯」の活動です。
皆さんも聞き及んでいると思いますが、議長府には現在、2、3百
人のパレスチナ人と25人の人間の楯、つまりはイスラエル軍の攻
撃からパレスチナ人を守ろうと突入した平和活動家がイスラエル軍
の包囲の中、頑張っています。

 今回は、この人間の楯を密着取材しつつ、議長府突入を図りまし
た。計4回、議長府の入り口付近までたどり着きましたが、いずれ
も突入するまでにいたりませんでした。一度は、一人で入り口まで
行ったためでしょう。模擬手榴弾を投げつけられ、足元で破裂した
ため、自慢のお尻がちょいと傷つきました。野球バットで殴られた
ような痛さでしたが、内出血が主で、大した出血はありませんでし
た。昨日あたりはほぼ普通に歩けました。僕のお尻に魅了されてい
る皆さん、後遺症はありませんからこれからも鑑賞し続けてください。

 人間の楯の行動には、正直なところ僕は深い感動を覚えています
。30年間戦争を見続けてきた僕が言うことです、重みがあるので
す(と、僕は勝手に皆さんに押し付けていますね)。

 人間の楯の中でも僕の関心を引いたのが、アメリカ人の二人です
。今や彼らは欧米人で知らぬ人がいないほどの有名人です。ユダヤ
系アメリカ人のアダムはNY出身、婚約者のフエイダは、ミシガン
出身のパレスチナ系アメリカ人です。このカップルが、とにかくす
ばらしいのです。

 アダムは包囲が始まった翌日、救急車に助手として乗り込み、
医者とともに議長府に突入しました。その翌日、今度は50人の
人間の楯がイスラエル軍の意表を突いて突入を敢行、アダムと合流
しました。その中に、フエイダもいました。51名の内、34人が
議長府に人間の楯として残り、アダムは他の活動家やフエイダとと
もに議長府を離れました。その後、9人が健康上の理由で議長府を
離れ(国外追放処分を受けた)、現在も25人が立てこもっていま
す。

 議長府を包囲したイスラエル軍は、後数時間もあればアラファト
氏を拘束出来るまでになっていたようです。ですからまさしく人間
の楯がイスラエル軍の動きを止めたのです。

 議長府の中にいる連中は、電話で話しましたが結構明るくて、
パウエル氏が訪問する前に、2週間ぶりにシャワーを浴びられたと
はしゃいでいました。

 アダムのことは、欧米や中東でですぐに取り上げられました。
多くのアメリカのメディアが、彼のことを、「裏切り者」「テロリ
スト」とこきおろしました。NYポストなどは、ユダヤ系タリバン
と彼を名付けました。その直後からアダムの実家に抗議や脅迫が殺
到、両親と弟は一時的に身を隠さねばなりませんでした。今はFBI
に守られています。彼は、パレスチナに来て2年半になります。
最初は子供たちの面倒を見る運動に関わっていましたが、イスラエ
ル軍の侵略を見かねて、国際連帯運動(ISM)に入りました。
基本的な考え方は、マハトマガンジーやマーティンルーサーキング
師の非暴力運動に近いと考えてください。実際に彼らはこの二人の
名を上げています。

 アダムの凄いのは、白旗を掲げて必要とあらばどこにでも行って
しまうことです。スナイパーがあちこちに銃口を向けているだろう
(こちらからは見えないですが、多くの住民が撃たれていますから
たくさんいることは事実です)に、白旗を降って前を進みます。
当然のことながら戦車や装甲車などが彼の前に立ちふさがることも
ありますが、彼はたじろぎません。それは見事なほど肝が据った態
度です。そしてほとんどの場合、兵士を言い負かして先を進んでし
まいます。そして薬が必要な人たちに届けたり、病人がいれば救急
車を手配します。一部を除いて市内のライフラインはイスラエル軍
によって切られていますから、病人がいても電話が出来ません。
防弾チョッキを着て彼に同行する僕は、自分が何か恥ずかしく感じ
られます。

 身体を張っての抗議活動をする場合は、女性であるフエイダが
先頭に立ちます。彼女の姿も僕の眼には輝いてみえます。

 二人の優しさは、4日間寝食を共にしてみて実感できました。彼
のところには17歳のパレスチナ人の少年がいます。一週間前に道
路に寝ているところをフエイダに発見されて救い出されたのです。
この少年、あまりきちんとした教育を受けていないためでしょう。
彼らのアパートに出入りするパレスチナ人カメラマンによると、
初日は拾われてきた猫のようにおびえていたようですが、2日目に
なると傍若無人ぶりが目立つようになってきたとのこと。われわれ
のカメラや電話を弄り回し、TVもBBCニュースがつけっぱなし
になっているのですが、すぐにパレスチナのものに変えてしまいま
す。それでも二人はしょうがないなあという表情を時折見せますが
、笑みは浮かべたままです。パレスチナカメラマンの怒りが限界に
達していたので代わりに僕がお説教をしましたが、二人にはそんな
ものは必要ないのかもしれません。昨日も、抗議行動にイスラエル
側から参加してきたイスラエル人を抗議行動の後に自分のアパート
に招じ入れました。ところがこの男、遠慮を知らないようで、
たった30分の間に、アパートにある残り少ない食べ物を、それこ
そブタのように意地汚く胃袋の中に入れ、水が出ると分かると、
シャワーを浴びて髭剃りまで済ましてしまう始末。挙げ句の果ては
、壁に張られている連絡先の電話番号をメモし始めたのです。僕が
咳払いをすると、何事もなかったかのようにその場を離れましたが
、イスラエル側から放たれた人間である可能性もあるのに何の警戒
をしていない彼らを見ていると、疑い深い僕が卑しい人間にみえて
きます。

 二人は来月アメリカで挙式します。9月には韓国に来る予定なの
で何とか日本に招くことはできないかと思っています。

 長くなりました。何れにしても僕は元気です。9年ぶりの戦場取
材ですが、まだまだやれるようです。

 このメールを出来るだけ多くの人にまわしてください。そして、
僕の取材活動を含めて宣伝してください。
Kenzo Yamaoka

http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/1404221.htm

HOT NEWS

amanakuni Home Page