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祭りと文化を取り戻す

新しい千年紀の始まりになれたら…/喜多郎

〜満月の十三祭り**喜多郎 in 本門寺〜


( interview 02.6.2 in tokyo by sakino)

 このインタビューは『コズミック・ダイアリー』(ホゼ・アグエイアス夫妻の提唱する“13の月の暦”を日本に紹介した日本語のカレンダー)を毎年著述出版してきた柳瀬宏秀氏の、「もっと月のリズムを感じよう!」という試み「満月の十三祭り」に向けて行なわれました。
 その祭りはシリーズで既に2回行なわれ(第一回目喜納昌吉/2回目山口小夜子.ミネハハほか)今度の7/24〜25が3回目です。7/25は特に「時間をはずした日」でもあります。グレゴリオ暦の元旦にあたる7/26と、前年の大晦日にあたる7/24の間に年に一日、空白の調整日が入るのが、マヤ暦に由来するこの暦の特徴。これまでも毎年「世界一斉アートの日“時間をはずした日の祭り”」を続けて来た柳瀬さんですが、今年は格別平和への祈りがこめられています。…というのも、昨秋の9.11NY事件で、彼は何かふっきれて、今後自由に語り動く為に、もうフリーになろうと決意、会社という組織から離れたそうです。

 一方私にとって、喜多郎と言えば、もう一度「88いのちの祭り」を振り返らずには語れない存在。彼は88年春先、八ヶ岳から長野へと伝わった呼びかけに対して、誰よりも早く「みんなが今、ここにいればそれでいい!という祭りをしようよ!」とメッセージを返してくれました。当時無名の市民がまったく五里霧中から始めた祭りが、社会的に認知されていく過程で、知名度のある彼の協力がどれ程支えになってくれたろうか、と思います。側で一緒に働いた訳ではないけれども、準備の期間中、喜多郎という兄貴の存在からはいつも温かいものを感じていました。そして駆け付けてくれた88のステージは言うまでもなく…。

 チェルノブイリの原発事故以来、放射能の被害というものの実際を知ったわたしたちの、原子力発電や核を操る巨大で複雑なテクノロジー盲信的文明への決別と、じゃぁどういう生活があり得るのか?オルタナティブの実践が集う初めての全国規模のフェスティバルと言えると思います。共時性とはそういうものだと、響きあって呼び合って、シンクロして行く物事の運び方に目を見張る…。事実として体験させてもらった貴重な日々でした。

 それから11月11日に富士の裾野で太鼓を叩く…という喜多郎自身の主催した雪の日の祭りがありました。夜になってtipiテントで火を焚く者達の輪に「足がもうしびれてる!」と、裸足で駆け込んで来てはしばし暖まり、又飛び出して行った…。ハラに響く和太鼓の振動。かがり火と踊る人々。原初的で幻想的なその日の記憶です。

以来の再会。ではインタビューをどうぞ。
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満月の十三祭り

    喜多郎 in 本門寺****7/24(水)25(木)18:00 (詳細は末尾です)

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「細胞から思い返す」

 例えば、映画で『シックス・センス』ってあったでしょ?第5感とか6感とか、そういう人間らしい本質って言ってもいいような大事なものを僕らは失った訳だけど、もともとは誰もが持ってたということを、このところずっと、例えば「4大文明」の仕事をしながら辿り、どういう経過だったのかがよくわかってきた。

この5000年くらいの間に見失なってしまった人間性、本質的なものの低下。特に戦後急激に落ちて来てしまった…それを、細胞から思い返してみたい。「見えない所からやってみよう」ってことが、この祭りの中の自分のパートかな?って思ってる。「思い出したい快感」っていうものもあるしね。祭りを真剣に楽しむ、自分を見つめ直す。満月にみんなが毎月集まって、そこにずっと居るということ。心の中にもある。そういう事をいくつかこれからやりたいなぁ。楽しいですよ、そりゃ。

Q/スピリットを取り戻すということ?(雑誌「アネモネ」記者)

A/その為にも、まずとっぱらえるものはとっぱらってみたい。例えば今の祭りは「第二土曜日」だとか、「最初から8/3に決まってたのに、第一土日しかだめだ」とかって。月に従えばいけるはずのところを、自分達でいつの間にか崩しちゃった。僕なんか奥さんに聞けばいい訳よ、わからなくなったら。いっつも「何言ってるのよぉ!」って簡単。女性は自分が自然と一体なんだもん「全部私に聞きなさいね」って言われちゃう。(笑)

 ほんとにそうなんで、それが何曜日だったとしても満月にいらっしゃい!ってこと。楽しんで、真剣に満月を見つめてみよう。そこで自分達の役割は、みんながみんな感動できる音。ハッと何かがうまれて…。「なつかしい感じ」でもいいかな。…そういう事が今までなさ過ぎた。高度成長期にそれでもよしとして来た、流されて来た。多数派というか。今回はもうこれ以上失うものはないという所まで来てるんだ。

 楽な生活だとか、土日だから…とかいうシステム化されたことを、とっぱらっていければいいなぁ。それで、13祭りからもっと多くの人が集まってくれるかな。アーティストも参加者のひとりとしてそこに居るんだ。僕達はできるだけ自然な形で存在していたいと思う。コンサートっていうよりも、集うというか。

「システム化されてしまった祭りからの改革」

 特に日本の神社仏閣が主催する祭りが形だけになっていること、ひどいでしょ。それが今度のは日蓮の「本門寺」でできるんだから…。ふぅーっと落ち着くかな。それだけでいい。「それだけでいい」という体験をしてもらう為の長い伝統づくりのスタートかもしれないんだ。

 500年の伝統も、ある時にスタートしたという時があるわけで、これからの1000年の祭りをこうやって作っていくってことかもしれない。楽しいですよ、祭りって。

Q/1回目2回目に行ってみて(5/26喜納昌吉、6/25山口小夜子&ミネハハ)その一体感を感じて来ましたが、どうもやっぱり日常生活では戻ってしまう。

A/いいじゃないですか?僕だって戻る。とにかく満月は月に一回必ずある。そのうち新月コンサートもできてきたりしてね。

Q/来た人が生活にフィードバックしてくれたらいいと思う。

A/そう、それを期待してる所はある。精神文化、自分の中でその改革。内面の部分で、「ほんとはこっちなんだけど、でもこっちが楽だから…」ということあるでしょう?こっち(内側)もある、本来こっちの気持ちもありつつ、何度も体験する事で自分のアイデンティテイを確信できる時がいつかくるかもしれない。難しい話になっちゃったけど、考え過ぎないで、日常性の続きで。池上線を降りて歩いていたら、あれ?変だなぁ…って、会場で2時間半それがおこなわれていく。僕達ができる事は、音、演出、一体感。楽しくてしょうがないの、どうやって楽しもうかな!って。

Q/室外と室内のライブで、どういう違いがありますか。

A/そりゃあ屋外はいい、ふぅ〜っと抜けるとこ。(頭の上の方を見て)
 雨降ってもいい。最近はカッパを配るんです。雨でもがんばりますよ。でも実際はカッパも要らない。熱気…必要ないくらいの空間になる。そりゃ大変は大変なんだけどね。こないだ、昌吉のコンサートなんか雨だったでしょ?だけどね、みんなひとつになれた部分でもあるんで…満月も出て来たし。ちゃんとそういう風になっていってるというか…。だから天候のことも何も心配しない。同時体験。「そこに居る事」が次の瞬間からの在り方に大きな影響をもたらすような、そういう体験。なかなか言葉では説明つきにくいよね(笑)。だからその場に居てほしい。見えない世界の話してますからね。

Q/喜多郎さんの音楽は、自然そのものからの影響がすごく大きいと思いますが、自然と音楽について。

A/もう一期一会。瞬間、瞬間しかない。譜面に書けんから、「あれぇえ!今のあれ良かったのになぁ…」ってことは、沢山ある。だけどね、神様から「お前はそれでいい」と言われていると、そういう事だと思ってる。それ以上のことしなくても、それでいいんだって。そう思って。

「聖地に住む」

 コロラドでも長野でも、草刈りと雪掻きの連続なんです。その合間に音楽やってる。ほんとだよ。だけど、ちゃんとその草刈りと雪掻きをしてる時間に自然と触れてる。ズ〜っと草刈りしてるでしょ、でモーターを止める。その止めた時の静けさ!!休んでる時、それ、その静けさ…音楽だと思ってるの。それで、アッと思った時に、コロラドの家だとスタジオはいつも電源入ってるから。走っていって(笑)。そうやって音楽ができてく。贅沢だと思う。でも自分達で建てて来たものだから。全部。ひとつひとつが、宝石です。楽しい。みんな訪ねて来て「大変でしょ」って言うんですけど。だってさ、そうだよね、氷点下30度なんだから。最後の雪が6月…で最初の雪は9月から。あとズゥーッと冬だよね。ネイティブの人たちの聖地。いいなぁ…いい所。大変なんだけど…でもさ、どこでも大変でしょ?暮らすのって、それぞれに大変さがあるじゃない。僕の所は来た人の方が大変かな。標高3000メートル近い。だから軽い高山病になる人もいるの。ちゃんと酸素ボンベありますよ。(笑)

 …365日大好き。コロラドも長野も。もし東京だったら東京でも好きだと思う。今自分が居る所、好きなら。生活は大変だよ。外では熊もマウンテンライオンもいる。ボブキャット、狼。小動物達。でもね、あんまり心配要らない。ちゃんとお互いの事を知ってるっていうか。彼等のテリトリーな訳だから、もともと。そこは彼等の場所で、そこに家を建てて…。マウンテンライオンは2ファミリー住んでいる。シマリスは部屋に来てて膝にも乗って来る。チップス食べるよ。テーブルの上であげる。きつねはもーちゃん、ちーちゃんっていうんだけど、名前ついててね。ある日歩いて来る訳、なんかルンルンってこう、浮き浮きしてて「やばいなぁ」と思った。「大丈夫かな」って。笑ってるのがわかるからさ、スキップしてるんだ。そのあと孔雀がやられてるの。卵も食べられた。あぁ、やられてる!!参ったなぁって。ワイルド・ライフ、甘くはない。でもすごいなと思うよ。笑っているってわかるって。

 したことありますか?ワイルド・ライフ。(と記者に聞くと「まだないですねぇ」。)
白いウサギと白いテンがいるんだけど。ウサギが大きくて、テンの方が小さい。だけどウサギがテンに追い回されているのね、30分くらい。ずっと見てるととうとう僕の目の前5メートルの所に雪のくぼみがあって、そこに追い込まれて。それで、次のほんの2秒。パッとテンが立ち上がってこっち向いてるの、口の周り真っ赤にして。…とうとうやられた。で、テンは自分の家族を呼びに行く。飯だぞぉ!って感じで。その間に僕は埋めてあげたのね、まだあったかいウサギ。だからテンは帰って来て「あれ!どこいったんだろ」って探してたよ。確かこの辺だったけど…おかしいなぁって。

 山に住むのはもう長い。26〜7年になります。テレビも新聞もない生活。社会がどうあろうが関係ない。それで僕は助かってるんですけど。うん?そうインプットされないから。現代社会というもの。

「魂が揺り動く叫び」
 
 だけどちゃんと友だちがいる。例えばオノ・ヨーコ、ジョン・レノンとも友だち。あぁ。ジョンが亡くなった時は一ヶ月知らなかったなぁ。…。うちの奥さんがある日電話して来て。日付け見たら「もう一ヶ月経ってるじゃない」って。だけどさ、もしその日に知ったからと言って…、と思う訳です。僕はいい音楽を作る…これが目的だから。ヨレヨレになってても、いいメロディが口ずさめればいいと思っています。

 それよりも情報が多すぎるでしょ?ちゃんとしたものかどうかの吟味もない。情報を出している側の責任です。何でも出しちゃう。制限なくて、悪いものいいものっていうラインを誰がつけるのか?そういう人も居ないし、だいたいラインをつけようとしていない。僕らはスタッフと話すんですよ、「良いか悪いかは置いといて…」ってよく言いますよね、じゃなくて、いいこと、悪い事って、ちゃんとしようよ。置いとかないで、悪い事を減らす。

 今の2002年、有史以来の把握、どう発達してどう衰退してきたのか?冷静に評価して。今推進している側って武器売りたいとか、そういう事でしょ?「平和のために戦争をしよう!」っていう。どういうことだろうね。…だからなのかもしれない。21世紀に入って2002年に今、こうやって13祭りが始まるのって必然かもしれないですよね、柳瀬さん(13祭り呼びかけ人)が会社をやめる…1000年前から決まってたかもしらん。祭りを言い出す人、それに賛同する人たち…。もっと素直になって、日本の精神文化を見つめてみたい。魂が揺り動く叫び。自分の叫びとして叫べる人が出て来る。今までは叫ばせてくれない社会だった。でも社会の方がおかしいのがわかってきたんだから。

柳瀬/そうですよね、社会っていうものを考える時、マスコミがどう報道してるかは大きな役割だと思いますけど、おかしいですよ。例えば13祭りの終わったあとに「どういう感動があった?」という話を一切聞かないです。その報道を受け取る側も何も聞かなくなっているのかもしれない。

喜多郎/祭り心…。そういうものが失われて来た。町内会で決めちゃうのはおかしい。魂の叫びのような強いもので引っ張っていく人たちは居なかった。終戦後からバブル経済にいくまで、その間なんでもできた。経済主体で、これだけ儲かりますよ!っていう事はなんだって。僕らは何もしらないからね。そういうもの無しに、踊るだけだっていいんだ。でもいい。色んな人たちの、色んなムーブメントがあって、自分達の本質的な所に少しでも触れられる。特に日本人って快楽的。快楽的な刺激に慣れていない。三つのSって言ってるんだけど。「スポーツ」「セックス」「スクリーン」。三つの洗脳。スクリーンはまぁ、エンタテイメントのことだけど。ハリウッド映画みたいな、ものすごい資本をかけた映画の繰り返し。ワンパターン。この三つの洗脳をどうやってカットしていくか。

 目を奪われている。脳まで…。残虐シーンとか…。イタリア、フランスの映画では、ひとつのショットでずうっと。ゆっくり風景を撮っているとか、素晴らしい映画が沢山あります。ハリウッドの資本主義的、経済主導の作りとの対比ですけど。システムを変える前にまず、内面を変える。その為の祭りごと。東南アジアや日本も、祭りって言うと昔ながら男が駆り出されるでしょ。それがいい。女が家事や畑を仕切っていて、男の人たちは遊び。バリ島の御葬式に出逢った事があるけど、忘れられない。一頭の牛丸ごと広場のまん中で焼かれるんだけど。村ごとに違う踊りやしきたりがあって、みんな一緒に踊り、その踊りの衣装を男達が作っている…素敵でしたよ。そんな風な祭りの文化。取り戻して行きたい。

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 最後に去年亡くなった三省を偲ぶプライベートなお話をされ、三つの遺言を伝えてインタビューを終えました。最後はガッツポーズです。生きてる私たちががんばらなくっちゃねって。

 短い時間に他の記者さんの取材に同席させてもらう形でしたが、特に追加する質問もなくて、ちょうどいい時間、あいづちを打ったり話に加わって楽しいひと時でした。精悍な姿は変わる事なく、変わるべくもない淡々とした山の暮らしの、その山の霊気ごとまとって東京に出現!みたいな喜多郎。もうすぐまたコロラドへ戻り、祭りに帰って来てくれるでしょう。音楽という天命を生きる人。祭りにいのちを吹き込まんと。(あとがき/sakino)

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 満月の十三祭り
        喜多郎 in 本門寺****本門寺
 http://www.honmonji.or.jp

日時:7/24(水)25(木)開場18:00 開演19:00
会場:東京池上本門寺野外ステージ(雨天決行、荒天中止)東急池上線「池上」下車
入場料:ブロック指定(S.A)
前売S.¥8,000 A.¥7,000
当日S.¥8,500 A.¥7,500(税込)

チケット発売中チケットぴあ03-5237-9999/ローソンチケット03-5537-9999
CNプレイガイド03-5802-9999/e+(イープラス) http://eee.eplus.co.jp/
キョードー東京03-3498-9999

お問い合わせ;満月の十三祭り運営事務局03-5548-7501
http://www.13moon.net

主催;イキイキ推進委員会 共催;TOKYO FM  企画・制作;満月の十三祭り運営事務局
後援;東京商工会議所、東京コンベンション・ビジターズ、大田区、大田区まちづくり芸術支援会
協力;東京急行電鉄、キョードー東京

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